番組終了直前の記事で恐縮ですが、文化放送の深夜放送の「日野ミッドナイトグラフィティ 走れ!歌謡曲 - Wikipedia」が明日で最終回です。番組終了発表時の記事を。
>文化放送の「走れ!歌謡曲」終了へ…50年以上の歴史に幕
2020/11/19 04:00
50年以上続く文化放送のラジオ番組「走れ!歌謡曲」が、来年3月27日の放送で終了することが決まった。18日、同局が発表した。
番組は1968年11月19日にスタート。現在は火曜から土曜の週5日、午前3時から2時間生放送されている。これまでのパーソナリティーには、歌手の川中美幸さんや坂本冬美さんらも名を連ね、未明に働く運転手らに親しまれてきた。
同局は「時代が変わり、番組も役割を終える時がきたと感じた。非常に名残惜しいが、番組終了まで走り抜ける」とコメントしている。
私はこの番組をあまり聞いたことはないのですが(まったく聞いたことがないわけではありません)、局アナ、フリーパーソナリティ、フリーアナウンサー、声優(冨永みーなも担当していました)、女優、そしてもちろん演歌歌手などわりと幅広くいろいろなパーソナリティを起用した番組でした。女性パーソナリティが2時間もっぱら演歌をかけるという番組構成でした。
かつては、午前3時から5時までは、日野自動車といすゞ自動車がトラックドライバーを中心とするプロドライバー向けのラジオ番組のスポンサーをしていまして、基本演歌を中心に放送していたのですが、いすゞがスポンサーだったTBS系列の「いすゞ歌うヘッドライト〜コックピットのあなたへ〜」 が2001年にて打ち切りになり(放送開始は74年)、『走れ!歌謡曲』もそれからもずいぶん頑張っていたのですが、ついに終了となります。上に引用した記事にもある文化放送の方の
>時代が変わり、番組も役割を終える時がきたと感じた。非常に名残惜しい
というコメントが、まさに番組の終了についての想いを言い表しているように感じます。「歌うヘッドライト」の放送終了は、いすゞのスポンサー撤退が最も大きな理由ですが、ほかにも演歌・歌謡曲の衰退、TBSラジオの分社化などの事情がありました(Wikipediaより)。「走れ!歌謡曲」も似たようなところもあったのでしょう。時間が時間だし、私もさすがにちょっと聴いてみようかという気にもなりませんでしたが、やはりラジオの歴史の1つの転換点ではあるのでしょう。
さてさて、これらのパーソナリティの1人に、前に記事にした演歌歌手の村上幸子という人がいます。彼女は、1986年4月から89年3月まで木曜日を担当していました。そして降板した翌年の90年7月、悪性リンパ腫で亡くなります。31歳の若さでした。
若い芸能人の訃報を知って、ある演歌歌手を思い出した(村上幸子)トラックドライバー向けのラジオ番組の終了というのも、ラジオの役割が大きく変化しているということを感じます。かつては運転しながら演歌を聴いて深夜の日本列島を横断、縦断するというのが1つのスタンダードなトラックドライバー像(?)だったのかもですが、スマートフォンが一般的になり、また演歌を好む人たちがどんどん高齢化するとなると、番組のコンセプトをいろいろ変えても、番組の存続は出来ない相談だったのでしょう。
いまにしてみれば、冨永みーながパーソナリティをしていたのなら聴いてもよかったかもですが、でもやっぱりなかなか聴くにはいたらなかったろうなと思ってしまいます。時代も変わって、ラジオの深夜放送が時代にそれ相応の影響があるというものでもなくなってきているしね。
そういうわけで、文化放送の皆様、パーソナリティをはじめとする関係者の皆様、リスナーの方々、みなお疲れ様でした。ともかくラジオ業界の歴史の変化を如実に表している番組だったと思います。こちらの記事で、文化放送の社長氏が
>この番組が終了することは残念でもあり…。これは文化放送個社だけの問題ではなく、音楽を扱うラジオ局にとっては大変、残念な終了であると認識しております
とおっしゃっているのも「そうだよなあ」ですね。なお後番組は、同じ記事によると
>番組への熱い思いをつづった言葉が集まったが、斉藤社長が明かしたとおり、「走れ!」の残した音楽番組の、歌謡曲の“魂”は後継番組に受け継がれていく。
定例会見のゲストとして登場したのが「走れ!歌謡曲」に代わり、29日からスタートする音楽番組「ヴァイナル・ミュージック~歌謡曲2・0~」でパーソナリティーを務めるシンガーソングライター・703号室こと岡谷柚奈(21)、マルチクリエイター・コバソロ(34)、女性シンガー・こぴ(24)の3人だった。
同番組はヴァイナルレコード音源を中心にシティーポップや歌謡曲をオンエアする生放送番組。「古き良きものを新しく魅せ、新しいモノを親しみやすく魅せる」、「音楽を通して時代をつなぎ、世界をつなぐ」をコンセプトに深夜に生活するすべてのリスナー始めオンエア後のオーディオコンテンツ配信で音楽を楽しむ音楽好きな人々をターゲットとする。
とのこと。上の写真は同じ記事より。