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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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台湾の交通、公共交通というのもどうも危険なような気がする

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日本経済新聞に、面白い記事が出ていました。会員限定記事なので、bogus-simotukareさんの記事からの再引用です。

>今回、起きた脱線事故は台湾の鉄道史上、最悪といわれる。だが今回の事故は決して特殊ではない。台湾の鉄道は何度も脱線事故を繰り返しているのだ。
 公開資料によると、2012年から直近の2019年までの過去8年間で、台湾鉄道は実に計90回もの脱線事故を起こしていたことが分かった。
 30年以上も赤字が続き、2019年12月期までの累積損失は1177億台湾㌦(約4600億円)と1000億台湾㌦の大台を突破した。1990年代から民営化議論が何度も繰り返されたが、政治家や労働組合の激しい抵抗で実現せずに終わっている。
 「累積損失はもはや解消されることはない。資金不足によるずさんな管理で、今回の事故も起こるべくして起こった」とも指摘される。
 今回の問題は台湾鉄道の問題にとどまらない。台湾では大型事故が頻発しているからだ。2016年には台湾北部で中国人観光客を乗せたバスで火災が起き、26人が全員死亡した。2017年にも観光バスが台北市で横転し、33人が死亡。2018年には北東部の宜蘭での脱線事故で18人が死亡、215人が負傷した。
 最近でも2020年11月、中部の南投県でバスが横転し、乗客1人が死亡、20人が重軽傷を負った。今年3月にも宜蘭で観光バスが壁に衝突し、6人が死亡、39人が重軽傷を負っている。安全管理に問題があると言わざるを得ない。
 台湾には、その歴史から二面性がある。戦後、必死で成長機会をうかがい、今や世界トップに育った半導体産業が台湾を支える半面、取り残された企業も実は少なくない。台湾鉄道も後者にあたる。

上の記事にもあるように、台湾の公共交通の事故というのはかなり多いですね。思い出しましたが、脚本家の向田邦子も、台湾の国内線の飛行機事故で亡くなったのでした。彼女がもし長生きしていたら、先日亡くなった橋田壽賀子と同じく、文化勲章も夢でなかったかも。文化功労者は可能だったでしょう。

いろいろ検索してみると、やはりこの事故は台湾では起こるべくして起きた事故であるという指摘もあります。たとえば

重大鉄道事故で浮上した台湾鉄道網の構造的欠陥

台湾の鉄道事故は起こるべくして起こった…重大事故を繰り返す台湾国鉄という“病”

など。そして上にも書きましたように、話は鉄道事故に限りません。私がかなり強く記憶に残っているのが、上の記事でも紹介されている

>2016年には台湾北部で中国人観光客を乗せたバスで火災が起き、26人が全員死亡した。

という件ですね。さすがにバスで火事が起きて、全員が死亡したなんて事件は、日本ではなかなか聞くことがない。あらためて考えるに、どうも事故が多いなあと思わざるを得ないですね。こちらによると、

>昨年、2019年、台湾の交通事故による年間死亡者数は2865人でした。一方で、過去最少だった日本は3215人。交通事情も異なり、単純に比較できないとはいえ、中華民国台湾の人口が日本の5分の1以下と考えますと、やはり圧倒的に多いですよね。

とあります。台湾がこと交通事情という点では、かなり危険というのは間違いなさそうです。

たとえば日本でも数年前高速バス、深夜バスなどで残念な事故が何件か起きました。かなり世間でも話題になったものをあげると、軽井沢スキーバス転落事故関越自動車道高速バス居眠り運転事故などがあるかと思います。軽井沢は2016年、関越自動車道は2012年です。

それでこれらの事故は、未熟な運転手の存在や、労働条件の問題などが指摘されまして、行政も動いたし、またバス会社などもさすがにそれなりの対応はしているかと思います。そしてここ最近は、これらの事件のような大規模な事故は起きていないかと思います。さらに鉄道に関しても、この十何年にわたって、脱線で複数の人間が亡くなった事故というのは、日本では発生していないんじゃないんですかね。2005年にJR福知山線脱線事故JR羽越本線脱線事故が起きていますが、その後このような大規模な鉄道事故は起きていないのではないか。前者は107名、後者は5名の方々がお亡くなりになっています。それ以降は、2006年の保線作業中の事故(3名死亡)がありましたが、これは脱線事故ではない。

こういうところをみていると、日本の道路行政や鉄道行政、あるいはバス会社をはじめとする公共交通の会社、JR、私鉄、公営企業(都や政令指定都市などが運行する地下鉄など)といった鉄道会社は、事故の再発を防ぐための努力をし、またそれらはそれなりに機能しているといって問題ないでしょう。台湾も努力はしているのでしょうが、日本ほど機能しているとは言いがたくないか。

また台湾に行った際にたぶん誰もが印象に残るのが、原付バイクの異常な多さでしょう。その原付バイクに、以前はヘルメットなしで2人以上の複数の人間が乗っていました。最近はさすがにヘルメットは多くの人がかぶっているかと思いますが、原付バイクの多さは壮観です。あれでは交通事故も多いし死者も多いでしょう。そういうあたり、台湾は交通インフラが整っていない、不備が多いということなんでしょうね。台北も地下鉄がだいぶ整ってきてはいますが、ほかは台北の地下鉄とつながっている桃園と高雄くらいしかない。後はバスとタクシーくらいしか公共交通はありません。台湾の経済力などを考えれば、もう少しあった方がよくないか。地下鉄が通るまでは、台北⇔桃園空港のアクセスは、バスかタクシーしかありませんでした。新しくできた空港であるということは確かですが、香港国際空港も仁川国際空港も、鉄道のアクセスは充実しています。

日経の記事にもあるように、

>台湾には、その歴史から二面性がある。戦後、必死で成長機会をうかがい、今や世界トップに育った半導体産業が台湾を支える半面、取り残された企業も実は少なくない。台湾鉄道も後者にあたる。

となると、どうも台湾は、台湾鉄道ばかりでなく、発展から外れてしまったものの1つが交通関係のインフラ整備でもあったのかなと思います。韓国なんかは、この何年間で地下鉄ほかもだいぶ整備されているし、道路なども大分よくなっている。韓国と立場の似ている台湾は、そういう点が遅れているように感じます。ちなみに2020年の韓国と台湾の1人あたりのGDPは、こちらによれば韓国が31,496.77USドル、台湾が28,305.92USドルであり、韓国のほうが上ではありますが、そんなに差があるわけではない。

どこの国でもパラダイスのわけがなく、それは台湾にもいろいろ足りない部分があるのは当然ですが、やはり交通インフラというのは文字通りその国、都市、社会の根幹ですからね。台湾はそういったことを改善させるだけの経済力もあるのだから、もう少しきっちりしてもらいたいなと思います。正直飛行機の国際線などもふくめて、事故が多すぎる。bogus-simotukareさんもご指摘なように、

>「台湾のコロナ封じ込め」について産経など反中国メディアがやたら台湾を持ち上げていたが「台湾だってバラ色じゃない、だからこういう鉄道事故も起こる」という記事です。

ということかと思います。なおこの記事は、bogus-simotukareさんの記事からヒントを得ました。感謝を申し上げます。


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