先日の記事を。
>三春町ひき逃げ殺人事件 被告「社会で生活する自信なかった」
06月08日 18時37分
去年5月、三春町の国道で、男女2人をわざとトラックではねて殺害した罪に問われている51歳の男の裁判員裁判で、被告の男は、再び刑務所に入るため事件を起こそうとした動機について、「社会で生活していく自信がなかったから」と述べました。
住所不定・無職の盛藤吉高被告(51)は、去年5月31日、三春町の国道で盗んだトラックを無免許で運転し、ボランティアで清掃活動をしていた男女2人をわざとはねて殺害したとして、殺人やひき逃げなどの罪に問われています。
2日目の8日は被告人質問が行われ、検察官が「きのうの初公判で積極的に殺害するつもりはなかったと述べたが、捜査段階で録音録画が行われている中、『殺すつもりで加速させた。確実に死ぬと思った』と供述したことは覚えているか」と尋ねると、盛藤被告は「言ったかもしれませんが、殺害したかったから加速させたわけではありません」などと述べました。
さらに、検察官が「刑務所に戻りたかったのはなぜか」と尋ねると、「社会で生活していく自信がなかった。刑務所では衣食住が保証されているから」と述べました。
また、弁護士が「今でも刑務所に長くいたいと思っているか」と尋ねると、盛藤被告は「今はなるべく早く刑務所を出たいと思っています」と答えましたが、その後検察官から、「2人を殺害した罪に対し、短い刑でいいと思っているのか」と問われると、「だめだと思います」と述べました。
9日は、裁判官と裁判員からの被告人質問が行われます。
それでその続き。
>トラック運転の男に死刑求刑 2人死亡のひき逃げ―福島地裁支部
2021年06月11日13時15分
福島県三春町で清掃ボランティア活動中だった男女2人がトラックではねられ死亡したひき逃げ事件で、殺人などの罪に問われた住所不定、無職盛藤吉高被告(51)の裁判員裁判の論告求刑公判が11日、福島地裁郡山支部(小野寺健太裁判長)であり、検察側は死刑を求刑した。判決は24日に言い渡される。
積極的殺意を否定 2人殺害ひき逃げで初公判―福島地裁支部
論告で検察側は、殺害までの意思決定や経緯は極めて悪質であり「殺害意欲に基づく犯行であることは明らか」と指摘。「2人の命を奪った重大性や自らの責任の重さを理解しているとは思えない。罪責は誠に重大で、死刑はやむを得ない」と非難した。
弁護側は最終弁論で、殺人罪の成立は争わないとする一方、確実に殺そうという気持ちはなかったとして無期懲役が妥当と訴えた。
盛藤被告は最終意見陳述で「取り返しのつかない許されないことをしてしまった。本当に申し訳ない」と述べた。
起訴状などによると、盛藤被告は2020年5月31日朝、同県郡山市内で盗んだトラックを無免許で運転し、三春町の国道で路肩を歩いていた橋本茂さん=当時(55)=と三瓶美保さん=同(52)=を故意にはねて殺害し、そのまま逃走したとされる。
この事件が死刑になるかどうかはともかく(私は死刑反対論者なので、積極的に死刑にしろとは言いませんが)、まあこういう人物は本当に始末に負えないですね。だいたい
>再び刑務所に入るため事件を起こそうとした
ってねえ(呆れ)。世の中刑務所の方が気が楽だというので刑務所に出入りしている人間もいるようですが、そういう人間はたいていは、無銭飲食やタクシー代踏み倒し(ご丁寧に警察署に行ってくれと頼む人もいます)のような詐欺罪、あるいは万引きとかの軽微な罪をするわけで、なにも2人もこんな通り魔的な殺人などすることはない。だいたいこの人物は、トラックを盗難しているのだから、そのまま警察署にいってトラックを盗みましたと自首すれば、すぐ逮捕してくれます。そうすればたぶん裁判にもかけられて、実刑になる。そんなことも頭に回らないような馬鹿でクズなんでしょうね。それにしてたって
>社会で生活していく自信がなかった。刑務所では衣食住が保証されているから
というのもひどいですよねえ(さらに呆れ)。いや、そういう人間は、私たちが考える以上に世の中に少なくないのかもですが、そんなことのために死刑を求刑されるような重大かつ悪質な事件をすることはないじゃないですか。
そうこう考えるとこれまたいつもの話にありますが、たぶんこの人物はかなり強い発達障害のたぐいがあるんでしょうね。おそらく知的障害もあるのではないか。いや、発達障害や知的障害があるとしたって、こんなひどいことをする人物はめったにいるわけがありませんが、それにしてもたぶんこの犯行は、この人物の精神のあり方と何らかの関係があるのでしょう。この事件についてのネットを検索していて、「週刊新潮」の記事が目にとまりました。これを読んでいてさらに「どうもなあ」の気分になりました。一部引用します。
> 盛藤容疑者は、5月29日に出所したばかりだった。そのまま郡山市の知人宅に滞在し、知人の経営する会社で働くはずだった。しかし、31日朝に知人のトラックを盗んだ。およそ5キロ離れた現場に向かい、国道を歩く2人を発見する。いったんは通り過ぎ、Uターンして2人を襲ったのだ。
これ読んだとき私正直絶句しました。
>知人の経営する会社で働くはずだった。しかし、31日朝に知人のトラックを盗んだ。
てめえどれだけ他人に迷惑をかければ気が済むんだよ!!!
>「刑務所に入っていたというのもニュースで知ったほどだから、その辺はよく分からないけどね。でも、以前、会った時は、『塗装の仕事をしている』って言うから、しっかりやれよってハッパかけといたんだよ。カッとなるところがあるのかなあ。昔は結婚もしていたんだけど、女房が出て行っちゃってね。彼女の友人に居場所を聞き出そうとして、車に連れ込んだら警察に通報されて、監禁で逮捕されたこともあった」(同・近隣住民)
別の住民も言う。
「パチンコ屋で球が出ないからと暴れて、警察の厄介になったと聞いたことがある。ただ、あくまで噂だよ」
近隣住民の話がどれくらい正しいのかはわかりませんが、多分ですが当たらずといえども遠からずくらいのところなのかもですね。めったなことはいいませんが。
だいたい前科者は、そもそもそう容易に職などにつけないわけで、この人物は年齢も50歳なわけで、立場としてはきわめて恵まれていると考えられます。いや、その知人の会社というのがすごいブラック企業だったんですかね? そのあたり不明ですが、仮にそうであっても殺人なんかをすることはない(当たり前)。
そしてこの記事は、次のように締めくくられています。
> さて、殺人罪で起訴された盛藤容疑者には、どんな判決が下されるのだろうか。元検事で東京地検特捜部副部長も務めた若狭勝弁護士に聞いた。
「出所2日後の犯罪なら、累犯前科で刑は加重されます。殺人事件であることも明らかで、情状酌量の余地もありません。ただ、2人殺せば死刑などとよく言われますが、強盗目的だったり、チェーンソーで首を切るとか、犯行対応が残忍なものでないと死刑にならないケースが多い。今回の事件の場合、個人的には死刑にしていいと思いますが、実際は無期か懲役30年といったところではないでしょうか。検察としては、残忍性は無論、無差別殺人であることを強調しないと死刑の求刑も難しいかもしれません。死刑の求刑ができれば、1審は裁判員裁判ですから、裁判員の方も納得するでしょうし、何より懲役刑では容疑者の希望通りになってしまいますからね。1審で死刑の判決が下される可能性は高い。しかし、高裁ではひっくり返されると思います」
私も個人的にはこの犯人は、死刑判決にはならないのではないかと思いますが、それはともかく。死刑は求刑されたし、弁護側も無期懲役を訴えているので、多分判決は、軽くて無期懲役だと思われます。無期懲役求刑の無期懲役判決と、死刑求刑の無期懲役判決では、後者のほうが仮釈放ほか厳しい処遇となります。多分ですが、50歳という年齢からしても、この人物は無期懲役判決であっても仮釈放はなかなか認められないと思いますね。それはご当人の不徳のいたすところで仕方ありませんが、どうもこの人物は、事件をするときには、そんなことをほとんど認識していなかったようですね。もっとも死刑事件の犯人なんてのは、公安事件のようにそれなりの覚悟のある犯罪でなければ、たいていは犯行中に自分の行く末なんか考えないものですが。
それにしてもこういう人物って、どう対処すればいいんですかね。報道されているところでは、すくなくともこの人物は、今月犯行20年というのでいろいろ報道されている附属池田小事件の犯人のような異常な人間ではないようだし、前科者としてもそんなに凶悪犯というものではない。たぶんですが、この人物を雇用するつもりだった知人の人も、この人物をそんなにひどい悪人だとは考えていなかったはずであり(そう考えていたら、さすがに雇おうとは思わないでしょう)、誰もがここまでひどい犯罪をするような人物だとは考えていなかったはずです。いや、ご当人も、自分がこんなことをするなんてことは、考えていなかったんじゃないんですかね。よくわかりませんが。
さすがに世の中ここまでひどいことをする人間というのは、そう多くはありませんよ。しかし誰がいつそうなるかというのは予想がつきませんからね。そうなったら「運が悪い」ということになるのでしょうね。通り魔に襲われたら自分の運の悪さを呪うしかありません。被害者に落ち度がないのだからしょうがない。アフリカなどを旅行する際は、米英の大使館には近づくなというのは旅行者の鉄則ですが、東京の地下鉄に乗っていてサリンを撒かれたり、パリの劇場でテロリストに襲われたり、犯罪ではありませんが、飛行機が墜落したりしたって、こっちが悪いわけじゃないのだからしょうがない。運が悪いとしても、それはこちらに何らかの責任があるわけではない。あとは死んだり後遺症があったりしないことを願ったり、弾丸が当たらないことを願ったり、奇跡的に助かることを期待するしかないわけです。そう考えると、せめて不幸や悪運が私たちに直撃しないことを祈るばかりです。
お亡くなりになったお二人のご冥福を祈ってこの記事を終えます。