勝新太郎が主演・プロデュースをし、高倉健をゲストとして(世間的には、勝の映画というより高倉健の映画というイメージが強いかもですが、勝プロダクションの製作で、クレジットも勝の方が上)製作された『無宿』という映画があります。1974年の東宝の配給です。『津軽じょんがら節』を見て感銘を受けた勝が、斉藤耕一監督に依頼をした映画です。勝と高倉、さらには梶芽衣子と安藤昇ら当時の人気者を起用しているので興行的にも期待されましたが、東映が強い映画をぶつけたりしたし、またやや企画・内容ともに切れがなく、興行的には惨敗とまでWikipediaに書かれる状況でした。なぜこの映画が実現したかといった背景は、興味のある方はWikipediaをご覧になってください。当然といえば当然かもですが、これが勝と高倉の唯一の共演作となりました。
それでこの映画で、印象に残るシーンがこちら。高倉健が、線路の上をひとり去っていきます。
写真はすみません、こちら様からいただきました。
「お、いいとこじゃん」
と思いました。しかしここはどこか? 映画が京都近辺で撮影されたことははわかりますので、そのあたりというのはだいたい予想がつきますが。
それで引用元からどうやら国鉄片町線(現JR西日本学研都市線)の跨線橋であるらしいことがわかりました。詳細な場所を私がいつも勉強させていただいている「居ながらシネマ」様で確認しました。
『無宿』 (1974)>線路と水道橋
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錠吉が線路の上をひとり去っていくショット。
頭上にレンガ造りのアーチ橋が架かっています。
京都府京田辺市田辺南田
馬坂川跨線橋(ミツマンボ)
上は水路(天井川)。
下の線路は、現JR学研都市線(当時国鉄片町線)。京田辺駅と同志社前駅の間。
カメラ北向き。
ちょうど京都に用事があるので、オリンピック開会式がある7月23日に京都へ向かい、翌日このロケ地に行ってみることとしました。
近鉄京都線の新田辺駅で下車します。もちろん京田辺駅からも行けます。
案内地図です。
一休さんこと一休宗純ゆかりの酬恩庵(一休寺)がある関係で、一休さんの像があります。
暑い中をふうふう歩くと、あ、道路の上に橋がかかっています。
「馬坂橋」とありますね。近くに歩道橋があるので、そこに上がってみることとします。
歩道橋には目隠しがされていたので、腕を伸ばして写真を撮ります。これは北側です。
ちょうど電車が来たので写真を撮ります。南方面、跨線橋方面です。
入れ替わりに(単線です)走る電車の写真を撮りました。
では高倉健に近い気分を味わう(?)ために、近くの踏切へ向かいます。
歩道橋が見えたり架線があるのはまあ仕方ないとして、健さんの時代と比べると線路も雑草などもしっかり除去されているあたりは全く違いますね。なお学研都市線(片町線)のこの地区が電化されたのは、国鉄からJRになってからの1989年のことであり、74年の撮影時から15年もたってのことでした。つまりはそれだけ沿線も開発されてきたということです。
もう少し健さんの気分を味わいたかったのですが、電車にはねられて「鉄ちゃんがまた迷惑をかけた」なんていわれてもしょうがないので(私は大して「鉄ちゃん」ではありませんが、ロケ地に行くことは大好きな人間ではあります)、やめました。が、いずれもう少しいい写真を撮ってみようかとは考えています。
反対側も写真を撮ります。「第一南田踏切」という名称です。
はいよい子の皆さん、線路の中に入るのはやめましょう。私のようなことはしないように。
近くにあって遠きもの・・・ですかね。
また駅に戻ります。1974年に高倉健が映画のロケでここに来たなんてことは、地元の人たちもほとんどご存じないのかもと思いました。いや、実際のところはわかりませんけど。
橋を下から。
本来なら、同じ映画のロケ地である伏見の松本酒造も見学・撮影する予定でしたが、これは後日ということになりました。今年中には撮影したいと思います。