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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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ともかくよかった(袴田事件について)

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皆さまご存知の通り、冤罪の可能性が強く指摘されていた袴田事件の再審がとりあえず決定し、袴田氏の釈放まで実現しました。これは本当によかったと思います。報道も膨大なので、どこから紹介すればいいか迷いますが…。

袴田事件、再審開始決定=「証拠捏造の疑い」―逮捕から48年・静岡地裁

時事通信 3月27日(木)10時3分配信

1966年に静岡県で一家4人が殺害、放火された「袴田事件」で強盗殺人などの罪に問われ、死刑が確定した袴田巌死刑囚(78)の第2次再審請求審で、静岡地裁(村山浩昭裁判長)は27日、「重要な証拠が捜査機関に捏造(ねつぞう)された疑いがある」として、再審開始を認める決定をした。刑と拘置の執行停止も決定した。
 逮捕から48年、判決確定から34年を経て、裁判のやり直しが認められた。確定死刑囚の再審開始決定は2005年の名張毒ぶどう酒事件以来、戦後6例目。地裁の決定に対して検察側は即時抗告が可能で、その場合、東京高裁で改めて再審開始の可否が審理されることになる。
 決定で村山裁判長は、現場近くのみそ工場タンクから発見され、確定判決が犯行着衣と認定した5点の衣類のDNA型鑑定結果などを、「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」と認定した。
 鑑定では、5点のうち半袖シャツに付着した犯人のものとされる血痕について、弁護側と検察側が推薦した鑑定人2人が、同死刑囚のDNA型と完全に一致するものはなかったとした。ただ、検察側鑑定人は「検出したDNAは血痕に由来するか不明」と信用性を否定していた。
 決定は「弁護側鑑定の方が、より信頼性の高い検査方法を用いている」と評価し、「5点の衣類の血痕は、袴田死刑囚のものでも被害者4人のものでもなく、犯行着衣でもない可能性が認められる」と判断した。
 また、弁護側が行った類似衣類をみそに漬ける再現実験などから、5点の衣類の色は長期間みそに漬かっていたにしては薄く、不自然だとした。 

>袴田巌・元被告、東京拘置所から釈放

読売新聞 3月27日(木)17時42分配信

 静岡県清水市(現・静岡市清水区)で1966年、みそ会社専務一家4人が殺害された「袴田事件」を巡り、静岡地裁が再審開始を決定した袴田巌・元被告(78)が27日午後、東京拘置所から釈放された。

(写真のキャプション)釈放され姉の秀子さん(右から2人目)とともに東京拘置所を出る袴田巌元被告(27日午後5時20分、東京都葛飾区で)=関口寛

正直私は、現実問題として袴田さんが釈放される日は来ないのではないかと考えていましたが、ともかく釈放されて良かったと思います。しかし袴田さんは、拘禁症状がひどく、精神がだいぶやられているといいますし、最近は認知症、糖尿病も悪化しているようです。なんとも気の毒ですが、袴田さんの場合、お姉さまが動いてくれたのが幸運でしたね。袴田さんには子どもさんもいるのですが、現状疎遠なようです。こちらの記事を。釈放直前のものです。

>「袴田事件」再審へ、即時釈放の可能性も

< 2014年3月27日 16:49 >   1966年、静岡県旧清水市で4人が殺害されたいわゆる「袴田事件」で、静岡地方裁判所は27日、袴田巌元被告の再審開始の決定を言い渡した。また、静岡地裁は、袴田元被告の「死刑と拘置の執行停止」の決定を下していて、検察庁の出方次第で即時、袴田元被告は釈放される可能性がある。

 事件から48年、30歳の時に逮捕された袴田元被告は今月10日に78歳の誕生日を迎えた。

 27日午後3時過ぎ、袴田元被告の姉の秀子さんが袴田元被告が拘置されている東京拘置所に到着した。

 秀子さん「巌の拘置を一日も早くといてもらいたいと思って面会に来ました。元気かという言葉と、再審開始になったよと、本人がわかってもわからなくても言ってみようと思います」

 袴田元被告は糖尿病を患っている他、長年の拘禁により精神障害を患っていて、4年ほど前までは自分の名前を答えることもできなかったが、最近は回復していているという。ただ、この3年半ほどは秀子さんも面会できていない状態が続いている。

 静岡地検は「主張が認められず誠に遺憾。上級庁と協議の上、速やかに対応したい」と話している。

袴田事件について言えば、マスコミなどもかなりこの事件については冤罪の疑いを報道し続けており、そういう意味でいうと今回の報道も、だいたいにおいて今回の再審開始、袴田さん釈放を肯定的に評価しているように思います。

こちらも。

>“半世紀ぶりに”釈放された袴田さんの様子を報告

テレビ朝日系(ANN) 3月27日(木)18時0分配信

 一家4人が殺害されたいわゆる「袴田事件」で、裁判のやり直しが決まりました。

 (佐藤真弥佳記者報告)
 姉のひで子さんとは、3年半以上ぶりの再会となります。面会時間は約1時間だったということです。「再審開始が決定した」とひで子さんから伝えられると、袴田さんは「嘘だ」と言って半信半疑の様子だったということです。そして、先ほど同じ車に乗った弁護団と電話で連絡を取りましたが、現在、袴田さんは姉のひで子さんとあまり会話をせずに、車酔いのため、途中で車を止めたりして少しずつ車を動かしている状態だということです。会話はほとんどされていないということです。そして、事件から48年が経ったため、外の様子がかなり変わっていたという表情を袴田さんはしているということです。外の様子が、こんなにも変わったんだというように、少しぼーっとした様子で外を眺めているということです。今後についてですが、27日、袴田さんと姉のひで子さんは東京のホテルに泊まります。そして、今後については、静岡市の医療センターに入る手続きを弁護団が踏んでいるということです。

最終更新:3月27日(木)19時3分

事件が起きた1966年6月30日、ちょうどビートルズの日本公演が行われていました。そして、本当に偶然ですが、この再審決定が下された同じ日、こんな報道がありました。

>2014-03-27

ポール・マッカートニー、5月に再来日公演が決定

ポール・マッカートニーは1942年6月18日生まれですので、日本公演の時は24歳になったばかりでした。そして彼は今、71歳です・・・。そして、1936年3月10日生まれの袴田さんは、30歳で逮捕され、78歳になった直後にようやく釈放されました。歳月というか、時間は万人に平等ですが、袴田さんにとっての48年は、あまりに長すぎるものだったでしょう。

なお、この事件の犠牲者の1人である当時17歳の少女は、7月2日にビートルズのコンサートに行く予定だったそうです。その直前に彼女は惨殺されてしまったわけです。下記『袴田事件』(p.92〜p.94)参照。

おそらく検察は即時抗告をすると考えられますので、もちろんこれからいろいろあるわけですが、なんとか袴田さんの無罪が確定してほしいものです。

では、Wikipediaから、袴田事件についての参考文献を引用しますので、興味のある方は、購入なり図書館なりで入手して読んでいただければ幸いです。

『地獄のゴングが鳴った』(高杉晋吾著・三一書房三一新書・1981年) ISBN 9784380810060 『主よ、いつまでですか―無実の死刑囚・袴田巌獄中書簡』(袴田巌さんを救う会編・新教出版社・1992年) ISBN 9784400615750 『自白の心理学』(浜田寿美男著・岩波書店・岩波新書・2001年) ISBN 9784004307211 『裁判官の犯罪「冤罪」』(木下信男著・樹花舎・2001年) ISBN 9784434007163 『裁判官はなぜ誤るのか』(秋山賢三著・岩波新書・2002年) ISBN 9784004308096 『はけないズボンで死刑判決―検証・袴田事件』(袴田事件弁護団編・現代人文社・2003年) ISBN 9784877981501 『袴田事件』(山本徹美著・新風舎文庫・2004年) ISBN 9784797494280 『自白が無実を証明する―袴田事件、その自白の心理学的供述分析』(浜田寿美男著・北大路書房・2006年) ISBN 9784762825330 『美談の男 冤罪袴田事件を裁いた元主任裁判官・熊本典道の秘密』(尾形誠規著・鉄人社・2010年) ISBN 9784904676059 『裁かれるのは我なり―袴田事件主任裁判官三十九年目の真実』(山平重樹著・双葉社・2010年) ISBN 9784575302271 『袴田巌は無実だ』(矢澤?治著・花伝社・2010年) ISBN 9784763405791 

私も自宅にある『袴田事件』をさっそく引っ張り出しました。再読するつもりです。


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