このブログは、スウェーデン人の俳優(兼ミュージシャン。仕事の重さからすればミュージシャン優先かな)ビョルン・アンドセン(Björn Johan Andrésen)の記事でも、ある程度アクセスを稼がせていただいています。そして彼の『ベニスに死す』以降の人生についてもとりあげたドキュメンタリー映画が公開となります。この関係の記事が発表された22日は、しばらくぶりに拙ブログのgooでのアクセス数順位が、100番以内となりました。
>「ベニスに死す」の美少年、ビョルン・アンドレセンの衝撃の真実 ドキュメンタリー「世界で一番美しい少年」12月17日公開
2021年10月22日 11:00
ルキノ・ビスコンティ監督作「ベニスに死す」(71)で主人公を破滅に導く少年タジオを演じた、ビョルン・アンドレセンの衝撃の真実を描いたドキュメンタリー「The Most Beautiful Boy in the World」(原題)が、「世界で一番美しい少年」の邦題で12月17日から公開される。
“世界で一番美しい少年”として一大センセーションを巻き起こしたのは、巨匠ビスコンティに見出され、映画「ベニスに死す」のタジオ役に抜擢された当時15歳のアンドレセン。同作は1971年のカンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され「25周年記念賞」を受賞、日本でも高い評価を得て長年に渡り多くの人に愛され続ける名作だ。
その容貌と圧倒的な存在感で同作を強く牽引したアンドレセンは、同作の日本公開年などに来日、CM出演などの芸能活動も行い、日本のカルチャーに大きな影響を及ぼした。劇中、マンガ「ベルサイユのばら」の作者・池田理代子氏が、彼が主人公“オスカル”のモデルであったという事実を明かす。そして50年後、かつて伝説のアイコンまでになった彼は、日本でも大ヒットしたアリ・アスター監督作「ミッドサマー」(19)の老人ダン役を演じ、話題を集めた。
映画では、アンドレセンが、熱狂の“あの頃”に訪れた東京、パリ、ベニスへ向かい、ノスタルジックにして残酷な、自らの栄光と破滅の軌跡をたどる。“世界一の美少年、タジオ”を探すために壮大な規模で行われたオーディションなど「ベニスに死す」の裏側、“世界で一番美しい少年”と呼ばれその後の人生を運命づけられてしまったひとりの人間の栄光と破滅、そして心の再生への道のりを豊富なアーカイブ映像と共に描き出す。
12月17日からヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテほか全国で順次公開。
(映画.com速報)
映画の製作については、私も情報を仕入れていましたので公開を心待ちにしていましたが、ついに日本公開ですね。いやあ、よかったよかった。
上の紹介文でもそのようなことを書いていますが、アンドレセンの人生は、彼自身が語るところを引用すれば、
>ぼくのキャリアは、最初にすごい頂点に立ってそれから下がり続けるというめったにないものです
>それはさびしいものです
というわけです(拙訳)。
ビョルン・アンドレセンについての2003年の記事(2)しかし人気だけの問題ならまだいいわけです。人気が高くてその後パッとしなくなるというのなら、そんな芸能人はいくらでもいます。しかしアンドレセンはまさに時代のアイコンになってしまったし、そして彼は、映画に出てくるタジオのイメージを押し付けられてしまいました。彼は同性愛者ではないし(ていうか、映画でだって、アッシェンバッハが勝手に想い続けていただけであって、別に彼が同性愛者だったという設定ではありませんでした)、実のところ彼は、ポーランド人貴族ならぬ、スウェーデン出身の、家族関係にも恵まれない(父親は出奔し、母親は自殺しました。彼の祖母が、ステージママのような立場だったとのこと)音楽好きの少年にすぎませんでした。しかし世界は、そんな常識的な解釈を彼にしてくれず、あくまで映画に出てくるタジオの姿を彼に求めました。そしてそれは、彼にとっては苦痛以外のものでしかなかったわけです。
彼が来日した1971年の日本での様子も紹介されるようですので、これはやはり必見の映画ですね。読者の皆様もぜひどうぞ。私ももちろん観に行きます。