何をいまさらですが、長嶋茂雄が文化勲章を受章しましたね。記事を。
>文化勲章 長嶋茂雄さん ノーベル物理学賞の真鍋淑郎さんら9人
2021年10月26日 14時15分
今年度の文化勲章の受章者に元プロ野球選手の長嶋茂雄さんなど9人が選ばれました。また文化功労者には、俳優で歌手の加山雄三さんなど21人が選ばれました。
文化勲章を受章するのは次の9人の方々です。
元プロ野球選手で元監督の長嶋茂雄さん、本名・長島茂雄さん(85)。
国民的ヒーローとして野球界の発展に尽力したほか、東京オリンピックでは開会式の聖火リレーに参加し、大会を盛り上げました。
(以下略)
スポーツ関係で文化勲章をもらったのは、水泳の古橋広之進以来ですかね。そして古橋は、スポーツで最初に文化勲章をもらった人なので、長嶋(長島)は、プロスポーツ関係では、最初の文化勲章受章者ということになります。
たしかに、野球界に限らず、プロスポーツ界で最初に文化勲章をもらうにふさわしい人間はだれかと考えると、やはり長嶋ですかねえ。王貞治は長嶋より若いし(一応外国籍の人にも、文化勲章受章者はいます)、ほかに誰かいるかと考えると、現在存命の文化功労者では、スポーツ関係の人は、樋口久子、川淵三郎、小野喬、三宅義信、笠谷幸生、加藤沢男といったところです。ちなみに故人ですと、大鵬幸喜、岡野俊一郎が文化功労者でした。
それで、長嶋の受賞はまあいいとして、現在のように国政選挙の最中に長嶋を受章させるというのは、少々与党、政府の恣意的な行為である可能性を感じますね。もはやずいぶん以前の話になりますが、Wikipediaから引用すれば
>2013年4月16日、国民栄誉賞を松井秀喜と同時受賞した。5月5日の東京ドームの巨人対広島戦の試合前に、松井の引退セレモニーと合わせて、授与式が行われ、8年ぶりに公でスピーチを行い、試合前の始球式では長嶋が片手打ちで打席に入り、投手に松井、捕手は巨人の監督の原辰徳、球審は首相の安倍晋三が務めた。
ということになったわけです(注釈の番号は削除)。安倍晋三からすれば、この時点では、自民党の政権奪還、自分の首相復帰からまだ半年も経っていない時点ですから、ここで自分と自民党への支持の追い風にしたいという思惑は当然あったはず。またこれは私もよく知らなかったのですが、同じくWikipediaによると、
>安倍晋太郎と親交があった
とのことで、それなら呼ばれれば病身をおしてでも登場はしますかね。
いずれにせよ昔長嶋は、革新系の政治では野球やっていられないみたいな発言をしたくらいで、まあ彼は保守的な人間ですよね。基本的に自民党の味方です。そういう人を選挙の最中に文化勲章受章者にするというのは、単なる偶然かもですが、やっぱり少々恣意的なものがあると思います。なんだったら来年に受章させればいい。
と考えたのですが、でも昨年受賞して私も記事にした橋田壽賀子は、もう今年亡くなっちゃったしね。
橋田壽賀子が文化勲章をもらえるのなら橋本忍だってもらうべきだと思うが、やはりあの映画がまずかった?で、そういう人は、彼女に限りません。高倉健、河野多惠子、船村徹らは、受賞した翌年に亡くなっていますし、山崎正和は、受賞した2年後に亡くなっています。同じ年(2018年)に受章した長尾真は、3年後、つまり今年亡くなっています。事実今年受賞した牧阿佐美は、今年の10月20日に亡くなり、内示の伝達がその前日だったといいます。
つまりは時間との闘いのわけで、そう考えると、長嶋も正直そんなに健康状態が良好でもないようですから、やっぱり今年の受賞は仕方なかったんですかね。どうなのか。
ところで以前の記事にも書きましたが、役者の関係で文化勲章をもらっている人は、歌舞伎もふくめてその多くが舞台の関係者です。2007年に文化功労者となり2015年に文化勲章を受章した仲代達矢以降で文化功労者となった俳優は、映画中心では、吉永小百合くらいです。松本幸四郎 (9代目)(松本白鸚(2代目))はやはり歌舞伎(歌舞伎の人ですから、彼は長生きすれば確実に文化勲章を受章すると思われます)、ほかも黒柳徹子や杉良太郎ほからも映画の俳優ではないよね。それで吉永小百合以降で、高倉健や吉永小百合ほど(テレビ出演はあるとはいえ)映画中心の俳優は、たぶんいないんじゃないんですかね。いや、いる? いても、なかなか彼(女)らほどの人気や知名度を持っている人はいないでしょう。たぶんですが、吉永小百合以降で文化功労者になる俳優は、舞台の人でなければテレビドラマでも活躍する人になるのではないかと思います。そう考えると、脚本家として初めて受賞した橋田が、映画でなくテレビドラマで主として活躍した人であることは、まさに象徴的ですね。
そういうわけで、別にファンではありませんが、吉永さんには、映画ファンとしてぜひ文化勲章を受章していただきたいと考えて、この記事を終えます。