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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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営業の自由を不当に侵害するどうしようもない新聞

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産経新聞がどんな記事を書こうといまさら驚くまでもないのですが、しかしこれまたひどい記事です。

>【島が危ない 第2部 佐渡に迫る影(2)】

疲弊する経済「中国でもどこでもいい、ホテル買って」(魚拓魚拓魚拓

2014.4.7 11:10   やれやれ、対馬の次は佐渡ですか。   >新潟県・佐渡島の老舗ホテル「両津やまきホテル」(佐渡市秋津)は、勇壮な「鬼太鼓」で宿泊客を出迎える。自らバチを握るホテルの山口勤次会長(70)は、台湾からの観光客40人を歓迎した後、こう話した。

 「これからどんどん、外国人観光客を誘致していく」

 このホテルは30年あまり前から、台湾ルートを開拓してきた。日本人客が減少する中、台湾からはリピーターも多く、年間平均で約3千人が宿泊に訪れる。

(中略)

 佐渡は世界遺産を目指している佐渡金山をはじめ、日光東照宮の塔を模した五重塔で有名な妙宣寺、順徳上皇の火葬塚である真野御陵など観光資源が豊富で、一時は年間120万人の観光客であふれていた。ところが長年にわたり減少が続き昨年は53万人にまで減った。島の主力産業だった観光業界は縮み続けている。

つまり日本人の観光客は減少して、観光産業が困っているということです。

> 甲斐市長は中国による観光施設の買収にも言及した。「中国が山林をあさっているという形跡はないし、ホテルを買い占められていることもない。むしろ、反対に高く買って経営でもしてくれればありがたいくらいだ」

 そこには、経済疲弊から脱却するため、韓国に近づいていった長崎県・対馬と同じ構図が見えてくる。

>そこには、経済疲弊から脱却するため、韓国に近づいていった長崎県・対馬と同じ構図が見えてくる。

で、それの何が問題なんですか? 国内の観光客がのぞめず、海外からの観光客を誘致できる可能性があるのなら、佐渡に限らず日本中、世界中どこの旅館・ホテル・観光業界でも積極的に外国人観光客を受け入れるのでは?

例をあげるのも馬鹿馬鹿しいですが、ソウルのホテルは日本人客に大きく依存しています。ソウルのホテルが、日本の旅行会社その他に積極的に営業をかけ、設備を日本人向けに整え(ソウルのホテルは、ウォッシュレットを設置しているところを多く見かけます)、スタッフなどにも日本語のできる人を雇用あるいは教育するのは当然でしょう。ハワイのオアフ島のホテルなどもご同様。

日本人観光客に話はかぎりません。バンコクのホテルなどは、タイ人向けの宿ももちろんありますが、もっぱら外国人を客として前提とするホテルもたくさんありますし(私のバンコクの定宿は、日本人御用達の宿です)、華僑向けの宿も世界中にあります。そもそも日本て、2020年の東京オリンピックを控えて外国からの観光客を大勢迎える方針なわけで、こんなことで足引っぱってどうするつもりなんですかねえ(呆)。

実際、この記事も、思わせぶりな書き方をしてはいても、具体的に何が問題なのかが全然指摘されていません。そんなもの指摘のしようもないわけで、日本人観光客を呼ぶことが困難であり、中国をはじめとする海外からの観光客を呼ぶ方がずっと効率がいいと判断すれば、当然海外からの客を呼び寄せることになるでしょう。客商売である以上、海外からの客を断るなんてことをするわけがないし、実際記事でも触れられているように

> 島の観光業の深刻さを表す数字は多い。平成24年度末現在で佐渡市の固定資産税滞納者をみると、滞納額の1位から9位までがホテル、旅館業者。1位は1億2255万円、2位は7307万円、3位は4102万円…と8位までが1000万円以上だ。水道料金滞納者も、滞納額の1位から5位までがホテル、旅館業者。1位は3397万円で2位は965万円。いずれも100万円以上を滞納している。

という深刻な事態なのであり、外国人だから・・・なんて世迷言を観光業者がほざくわけがないでしょう。ていうか、佐渡の観光業者は、海外からの客を呼び寄せるしかほとんど手だてがない、といって過言でないのでは。産経だって、それ以外の何か有効な方法を提起しているわけでは(当然)ありません。

だいたいこの記事で、産経新聞は何を主張したいんでしょうか。中国人を呼ぶのはけしからんとか、あるいは一部の馬鹿を煽って、佐渡へ抗議に赴けとでも?

要するにこれって、完全な営業妨害、商売の自由の侵害じゃないですか。どこまで他人に迷惑をかければ気が済むのでしょうか。ほとんど絶句しますね。この記事にそこまで影響力があるかは別として、最悪馬鹿が佐渡の現地で中国人とトラブルを起こして、中国人観光客が激減するなんてことだってあり得ない話ではない(ていうか、それが目的の記事だといわれたって否定はできないでしょう)。それで倒産したとしたら、中国人相手に商売をしようとした当然の報いだ、とでもいうんですかね。

これ、佐渡市や佐渡市議会、観光業者の組合や商工会議所のたぐいは、産経新聞に厳重な抗議をしたっていいんじゃないんですか。こういう不当な言いがかりに対しては、きっちりと意見すべきでしょう。

なお、この記事を書くにあたって、bogus-simotukareさんの記事を参照しました。感謝を申し上げます。


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