まさに産経新聞や「ニュース女子」並みのひどいデマ報道ではないか（NHKの信用度を考えれば、それよりなお悪い）

bogus-simotukareさんとやぶれかぶれさんからコメントをいただいているように、この報道はまたすごいですね。

＞ＮＨＫ、不適切な字幕で謝罪　ＢＳ１の五輪関連番組
2022年01月09日20時49分

　ＮＨＫ大阪拠点放送局は９日、昨年１２月２６日に放送したＢＳ１スペシャル「河瀬直美が見つめた東京五輪」（同３０日に再放送）について、不適切な内容の字幕を放送したとして謝罪した。

　同番組は、東京五輪の公式記録映画監督である河瀬直美さんや映画製作チームに密着。五輪期間中に男性を取材した場面で「五輪反対デモに参加しているという男性」「実はお金をもらって動員されていると打ち明けた」との字幕を付けた。
　男性は取材時に「別の複数のデモに参加し、現金を受け取ったことがある。五輪反対デモにも参加し、お金を受け取る意向がある」という趣旨の説明をしていたが、放送後の調査で、実際に五輪反対デモに参加したかどうかの確認ができていなかったことが分かったという。
　同番組と公式記録映画は異なる内容で、同局は「河瀬さんらに責任はありません。字幕の一部に不確かな内容があったことについておわびいたします」とコメントしている。

そしてさすがに、会長の陳謝に至りましたね。こちらも記事を。

＞NHK会長、字幕問題で陳謝　「チェック機能不十分」

2022年1月13日 20:02 (2022年1月13日 20:42更新)

NNKの前田晃伸会長は13日の定例記者会見で、昨年12月放送のBS1スペシャル「河瀬直美が見つめた東京五輪」が不適切な内容の字幕を放送した問題について「河瀬さんら映画関係者、視聴者の方々に改めておわび申し上げる。チェック機能が十分働かなかった」と陳謝した。

番組では、匿名で取材に応じた男性について、裏付けを取らないまま、五輪反対デモに金をもらって動員されたと字幕で説明。インターネットなどで事実関係を疑う声が相次ぎ、NHKは1月9日、デモへの参加も、金をもらっていたことも確認できていなかったとして、BS1の放送で謝罪した。

前田会長は「率直に言って非常にお粗末」とし、放送に至った経緯の調査を続ける意向を示す一方、検証番組などの制作は考えていないとした。

番組は大阪放送局が制作し、東京五輪の公式記録映画の監督を務める河瀬さんに密着取材した内容。「五輪についてさまざまな考えの人を取り上げる」との意図で、最初の編集段階から問題の場面は入っていたという。

大阪放送局の角英夫局長も13日、同局の定例会見で謝罪。放送前に担当の管理職らが加わって試写が行われたが、「番組の構成に意識が向き、（字幕の）事実確認という視点でのチェックが不十分だった」と釈明した。〔共同〕

私はこの番組を観ていませんので、番組自体を論評することはできません。そもそも放送を知らなかった。知っていても観なかったと思いますが、それにしてもすごいですねえ。これ完全なデマ報道、捏造じゃないですか。

そもそもなぜ

＞東京五輪の公式記録映画の監督を務める河瀬さんに密着取材した内容

という趣旨の番組で、このようなものが取り上げられたかというのもいまひとつわからないのですが（そういうことを取り上げるのなら、別の番組ですればいいではないか）、五輪反対のデモに、なにがしかの金銭が支払われて動員がかけられたというのが事実なら、これとんでもない話ですよ。

そもそも論として、五輪反対デモに参加した人にそのような人を選んで「ほれみろ、五輪反対の連中なんてこういうクズ野郎どもだ」なんていう印象操作を試みるということ自体、典型的な媒概念不周延の虚偽というやつですが、そんなことを満足にも話してもいないのに字幕をだしてでっちあげるなんてねえ（呆れ）。

だいたいそういう話を聞いて仕入れたというのなら、いったいいつどこで行われたデモなのか、主催者はどこなのか、いくら金をもらったのか、領収書はもらったのか、その人がそのデモに参加したことを証することのできる人物はいるのかとか、確認することがいろいろあります。それで当然これは、デモの主催者にも確認をしなければいけません。そうでなければ怖くてこんな話報道できません。しかしNHKは、こんなものを堂々と放送したわけで、これはほんとひどいですね。私が前にご紹介した、沖縄県警に確認しないで米軍関係者がからんだ交通事故について因縁をつけた報道や、南京の南京事件の祈念館に確認しないで、祈念館が写真を撤去したなんていうデマ記事を発表したとか、東京都の複数の特別区が、自衛隊に失礼な態度を取ったとかいうデマ記事のレベルの、最低最悪レベルのデマ報道ではないか。

あるいは、DHCシアターの「ニュース女子」の、沖縄関係のデマ報道にあった、落ちていた封筒に2万円と書いてあった、これは謝礼ではないかとかというレベルのキチガイ沙汰の報道でしょう。いや、産経や「ニュース女子」より相対的にはもっと悪いですね。DHCばかりでなく「ニュース女子」を放送した東京MXなんて、世間ではまともな放送局なんて思われてもいないでしょう。なにしろホストを出演させたインチキ番組を放送して、しまいには企画持ち込み人が自殺したなんていう事態まであったくらいです。産経新聞だって、まともな人間から相手にされている新聞では当然ない。しかしですよ、NHKだっていろいろ批判はされていますが、さすがに産経新聞やDHCシアターなんかよりは、世間からまともだと思われているでしょう。NHKを私は、非常に国営放送に近い公共放送だと考えていますが、世界のまともな国営放送だって、こんな幼稚な捏造はしないでしょう。

そして再調査（？）をしたら、即「確認できませんでした」なんて、馬鹿も休み休み言えです。どこの馬鹿が、こんなものを流すというのか。それで私、これも何回もご紹介していますが、福岡のローカルタレントで、元福岡親善大使だった田上真理子という人が、自分の福岡愛はうそだったなんて話を地上波でえんえんして、番組放送直後に陳謝した愚劣さに近いものを感じますね。あれは馬鹿なタレントが、全国放送に舞い上がって馬鹿言ったというレベルのことなのかもですが、NHKは、大阪放送局だから東京に対抗して馬鹿やったなんてことでもないでしょう。

それにしてもあらためて考えるに、私の知る限り産経ほかだって、反オリンピックのデモでは、参加者に日当が支払われていたなんていう誹謗中傷はしていませんよね。したらさすがにやばいくらいの認識は産経ほかにもある。NHKは、そういった常識をも軽く超越しちゃったのだから、その悪質さたるや想像を絶しますね。しかもこの番組を確認する考査が全然機能していない。こう言っては何ですが、NHKの考査が、こんなことに問題を感じないほど無能だとは、私にはとても思えませんね。

なお今回の記事では、河瀨直美らについては触れないこととします。彼女も、前に記事にした山中伸弥京都大学教授のように、映画が撮れれば（研究ができれば）いい、権力や社会問題への批判精神皆無な人（だから、オリンピックの公式映画の監督のオファーがあったし、それを受けたのでしょう）なのでしょうが、NHKはそんな人物（とその仲間）に密着と称して、めちゃくちゃな番組をつくりあげて、逃げられなくなったらその人物を全力をあげてかばっているのだから、これはNHKの見識が最低最悪だということです。