Quantcast
Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
Viewing all articles
Browse latest Browse all 4143

「それはそうでしょ」というだけの話

$
0
0

過日ネットでみたニュースを。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140328-00000070-jij-soci(リンク切れ)

>学歴・収入で子に学力差=勉強習慣、親の関与も影響―学力テストで分析・文科省
時事通信 3月28日(金)13時7分配信

 両親の学歴や世帯収入が高いほど子どもの学力も高い傾向にある一方、家庭環境にかかわらず宿題をする子も学力が高いことが、昨年4月の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)を基に実施した文部科学省の委託研究で28日、分かった。収入が増えるにつれ塾代などの学校外教育費支出が多くなり、子どもの正答率も高まった。
 経済力など家庭状況と子どもの学力との関係を全国規模で調べたのは初めて。親が子どもに本や新聞を読むよう勧めたり、読み聞かせしたりすることも学力に強く影響していた。
 研究グループの代表で、お茶の水女子大の耳塚寛明教授は、家庭環境による学力格差を克服する上で鍵となる取り組みを示しているとした上で、「学校や家庭でこれらに配慮をした指導を広げていくことが必要だ」と話している。
 昨年5〜6月、全国から抽出した公立小中778校の保護者計約4万人に家庭の状況や教育費、子どもへの接し方などを尋ね、学力テストの正答率との関係を分析した。 

正直

「それはそうでしょ」

「当然でしょ」

「そうでなければおかしい」

という以上の話でしかないように私には思えますけど。

私は、高校はいわゆる進学校でしたが、小中学校は一般の公立学校でした。で、そこでも勉強ができる生徒は、やっぱり親が裕福な人、裕福でなくても教育熱心な親を持つ人、それなりの学歴を持っていて学歴や学問にある程度の価値や意義を見いだしている親を持つ人がほとんどだったと思います。失礼ながら、あまり金がなくて教育熱心でなくて学問や教育に意義を見いださない親を持つ児童が学校の成績がいいというのはなかなか難しいでしょう。

それで進学校に進んだら、やっぱりみんな親はそれなりの社会的地位がある人、知的に優れた人たちが多かったように思います。教員、医者、弁護士などの専門職に就いている人たちも多かった。

で、読者の皆さんの中には、正直子どものころからだいぶ成績が良くて私立大学付属校、国立大学付属校、私立進学校で学んだ方が少なくないと思いますけど、そういった方々の親だってその多くはそれなりの学歴、それなりの収入、それなりの教育熱心さを持っていたんじゃないんですかね。

また、あんまり具体的な固有名詞を出すのは好きじゃないですが、東京大学とか慶應義塾大学のような「いかにも」の大学の保護者が裕福な家庭であるというのもなにをいまさらの話。金持ちや教育程度の高い家庭の子どもが日々の勉強だけでなく受験に強いのも当たり前でしょう

それにしても

>経済力など家庭状況と子どもの学力との関係を全国規模で調べたのは初めて。

っていうのもどうかですよねえ。はじめっから予想できるから調べなかったのか、そういった事情はさだかではありませんが、だいたいにおいて

>家庭環境による学力格差を克服する上で鍵となる取り組みを示しているとした上で、「学校や家庭でこれらに配慮をした指導を広げていくことが必要だ」と話している。

というのは当たり前ですよね。この間の記事で紹介した、スナックのつけを払うために2人の女性を殺害した強盗殺人犯人の死刑囚は、死刑確定時の新聞記事によれば

>逮捕時の簡易鑑定で中程度の知的障害とされ、20代のころの裁判では、刑事責任が減軽される心神耗弱と認められたこともあった。刑務所の知能テストでも小2以下の知的障害と診断された。だが、障害者福祉制度へつなぐ療育手帳を取得させた人はいない。両親は死別し、兄弟も障害のハンディを抱え、とても支援できる状況ではなかった。

とあるくらいで、たぶん実家も極貧、兄弟も障害者のようですから、あるいは親も知的障害などがあったのかもしれません。初めから知的障害である人物はこの調査の趣旨とはまた外れるのでしょうが、極端な例を出せばこのようなバックグラウンドの人では、知的障害がなくても学力をつけるのもなかなか難しいのではないですかね。そこまでひどくなくても、こちらの記事で紹介した今井メロのケースだって、はたして子どもさんにきっちりとした教育が施されるのかという心配も生じます。

いま私が上げたケースは論外にひどいものでしょうが、家庭環境が悪いとなかなか勉強まで行かないのが現実でしょう。私が以前記事にした児童養護施設から上の学校に進んだ子どもたちの話にもありますように、本人が本気で努力すれば家庭は貧しくても奨学金その他で大学は卒業できます。しかしそのような子どもたちの多くは、それ以前の段階で勉強などする気もなくすというのが現実でしょう。それでは困りますが、しかし世の中残念ながらなかなかそこまでいきません。

貧乏人でもそれなりのやる気を出せば大学には行ける社会でなければいけませんが、多くの貧乏人はそれ以前の段階でやる気をなくします。なんとも救いのない現実です。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 4143

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>