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(聞き手)あなたは乱暴だという噂さえありますが…。
(カトリーヌ・ドヌーヴ)そんなことはないわよ。私は神経質で心配性だわ。それでそれを注意深く隠しているのよもともと、私は自分の不安や困っていることをうまく隠したいのね。他人が私の感情を5分後には想像できるというのは私はいやなの。さらに、私の友人たちについても同じことなのよ。少しずつ友だちたちがどんな人間かを見つけていくのが好きなのよ。その人となりを少し夢みて想像する時間が必要なのね。
仕事のせいで、自分は利己主義者になったとおっしゃっていましたが…。
それは本当にそうね。私は利己主義者になったわ。むしろ自己中心かな。なぜなら私は絶えず、自分を最高に魅力的にするために、自分自身に興味を抱き、言動を慎み、自分を抑え、自分を観察しているから。メーキャップをして髪を結って美しく見せるようつとめて、そうするとナルシズムに身を突っ込んでしまう危険が等しくあるわね。
あなたの人生の中で、自己中心なのですか?
あなたにそんなことは答えられないわ。仕事の中ではそうなっていることはわかっているし、ある程度はそうなりたいっていう動物的本能ね。
敗北するとなると、それを悪く受け取られますか?
敗北する・・・それってどういう意味? この仕事は誰かが勝つとか誰かが負けるというようなゲームじゃないのよ! 問題は、勝つとか負けるとかじゃなくて、興味を惹くようなことをやりながら、自分を維持することなの。あなたがたが失敗だと認める段階に達したいものね。その段階でならキャリアを台無しにするようなリスクなしに危険な試みに飛び込めるのよ。残念ながらこの仕事では、どんなに僅かでも気を緩めれば、高くつくことになるの!
自殺しようとなど考えられますかね?
誰もと同じように考えたことはあるわよ。それ以上あなたに言うと慎みを欠くことになるでしょうけど。
生きている中で、たくさんの一撃のようなものを受けたとお考えですか?
たぶんほかの人と同じように受けたわね。好奇心が強く、そのような目に合うことにも慣れていたから、ダメージは受けなかったわ。さらに幸いにも、反対のことが無関心を明示するの。自殺に容易に導くわ。固い一撃に刺激されて、人生の意味にいたるわね。やり直しをしたい気にさせるわよ。よりよく生きていることの証ね。
監督の中には、あなたを利用した人がいるとお考えですか?
監督さんたちは、あたしを利用したわよ。私も彼らを利用したようなものよ。まず私は、監督たちを注意深く選択したわ。私は、映画というのは主に作家のものだと思うわ。作品の中で、個性や感性をもって時を過ごさせる時、監督は、他のスタッフより上を行くわ。監督たちと仕事をするとすぐに、私の信頼は完全なるものになるわ。自分の知られざる側面を見いだし、わが才能の新たな側面を表すことを助けるために監督さんを当てにするの。自分をよりよく知るためにも監督さんを利用しているわ。
女優としてご自分をどのように見ていらっしゃいますか?
自分じゃわからないわ。自分の姿見えないもん。
あなたにも間違いを犯すことが生じました。私は、「恋のマノン」と「うたかたの恋」のことを言っているのですが。
私は、ジャン・オーレル監督をとても尊敬しているの。「恋のマノン」が大成功しなかったのは、明らかに監督の調子が最高でなかったためね。私も同じく最高の状態ではなかったのよ。「恋のマノン」は失敗だったとはみなしていないわ。あるいはそうだとしても、教訓的側面だけは評価したいわ。「うたかたの恋」はというと、どんな映画になるかはあらかじめわかっていたわ。時代劇に出演したかったし、ロマンティックな人物を演じたいと切望していたの。
あなたが最高に気に入っている想い出の作品は何ですか?
「シェルブールの雨傘」への出演と、「暗くなるまでこの恋を」へのそれね。
「幸せはパリで」への出演のための米国での経験は、あなたに何をもたらしましたか?
別世界での想い出ね。金儲けを心配して働くということが、どんなことか分かったわ。米国人は、ひとが女性であることを考慮に入れないわ。夜明けまで立ち通しだったり、たとえ撮影のない時でも)スタジオのセットにいなければならないわ。それはひどく疲れるわ。
でも反抗心がお強いのでは?
すごい丈夫というわけではないけど、神経質でまあまあ反抗的だわね。
生活の中で、一番お好きなことは?
生きること。とても単純ね。ものすごく好まれている中で、私はすごく愛情を必要とするのよ。家族の中にそれを見いだしているわ。私は完全に家族第一主義の人間だわ。
一番嫌うことは?
自分の本性に支配されなければならないことね。愚痴っぽかったり怠惰だったりすること。身体で努力するってことは、とてもつらいことだわ。それでも必要と感じるから、それをするのよ。
お年を召した際は、映画での仕事はされないとおっしゃっていましたが・・・。
そんなこと言った覚えはないわね。私は26歳にすぎないのよ。老人になることが関係あるとは感じないわね。はるか遠い問題を考えるのも、すごい気力が必要だわ。実際のところ、映画で老人になった日々を演じないなんて誰が言ったの?
黄昏に恐怖を感じるというのは事実なんですか?
そう、あたしがひどく落ち込み、苦痛をもって過ごす時間ね。夜が好きじゃないの。終わること、閉まること、暗くなることが好きでないわ。光の中の娘なの。こんなわけで、夕方の6時では、あなたに話をしているようには話せないの。人って、昼間の終わる時の午後6時ごろが、多くの場合一番打ち明け話をするでしょう。私にとっては、一番調子のいい時間は、午前11時ね。
(了)
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インタビューの題名の意味は、インタビューのラストでご理解いただけたかと思います。
昨日と今日の記事に収録した写真は、雑誌の表紙以外にもこのインタビューが採録されていたサイトに掲載されていた写真です。3人でグラスを持っている写真の一番左の女性は、お姉さんのフランソワーズ・ドルレアックですね。妹も、うれしそうな表情でお姉さんを見ています。それから1番下の写真で、ドヌーヴのそばにいる子どもは、クリスチャン・ヴァディムかな? 彼は1963年生まれだから、たぶん1960年代終わりごろの写真ですかね。
私のフランス語の勉強もかねて、これからもカトリーヌ・ドヌーヴその他女優さんのフランス語のインタビューを拙ブログで発表していきたいと思います。乞うご期待。