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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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「経済のほうが政治よりよっぽど現実(実状)に正直だ」の実例

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bogus-simotukareさんから、コメント欄で面白い記事を紹介していただきました。

ノルウェー、対中配慮でダライ・ラマと距離

2014.5.2 05:00

中国を刺激したくないとして、ノルウェー政府が今月オスロを訪問するチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世(78)との面会を回避する可能性があることがわかった。ノルウェー・ノーベル委員会が2010年に中国反体制活動家の劉曉波氏にノーベル平和賞を授与して以来続く、世界第2位の経済大国との緊張関係を緩和したいという意向の表れだ。

 議会での議論後、ブレンデ外務大臣は記者団に対し、「わが国は中国との関係を重視しなければない。ダライ・ラマ14世と会談すれば関係の正常化が難しくなるだろう」と話し、まだ最終的な結論には至っていないと述べた。

 トムセン国会議長は4月22日、ダライ・ラマ14世との会談を回避する意向を表明した。ダライ・ラマ14世は、ノーベル平和賞受賞25周年を記念して、ノルウェー・ノーベル研究所の招待により同国を訪問する予定。ノルウェー放送協会のインタビューに対し、トムセン議長は「私の課題は中国との関係を改善することだ」と述べた。

 中国は10年、ノルウェーが劉氏にノーベル平和賞を授与したことから、同国との政府高官レベルでの交流を断絶した。2国間の貿易も緊張状態に陥り、中国はノルウェーからのサーモンの輸入を実質的に禁止している。

 中国は、ダライ・ラマ14世がチベットの自治権を求めているだけだと主張するなか、独立運動を扇動したとして同氏を糾弾している。同氏は中国統治への反対運動に失敗したのち1959年にチベットを脱出。チベットの独立を支援する団体によると、それ以降、何十万人ものチベット人が中国政府の統治の結果亡くなっているという。

駐ノルウェー中国大使は昨年、演説のなかで、国交の正常化のためにノルウェーは「レッドポリシーライン(政治的に越えてはならない一線)」を越えないと約束すべきだと述べた。一方、ノルウェー政府はノーベル平和賞受賞者を決定するノーベル委員会に対して何ら権限を持っていない。

 ダライ・ラマ14世は今年初め、米中関係を悪化させるとして中国政府が非難するなか、オバマ米大統領と会談している。

 ノルウェー・チベット委員会の委員長も務めたことがあるトムセン議長は、ダライ・ラマ14世との会談回避は「責任の重い」決断とし、「困難な状況から抜け出し、同じ価値観、特に人権を重んじる人々とともに活動する可能性を高められるかが問題だ」と述べた。(ブルームバーグ Saleha Mohsin、Mikael Holter)

<iframe id="I0_1399462136338" style="position: absolute; margin: 0px; top: -10000px; width: 450px;" name="I0_1399462136338" src="https://apis.google.com/_/+1/fastbutton?usegapi=1&size=medium&hl=ja&origin=http%3A%2F%2Fwww.sankeibiz.jp&url=http%3A%2F%2Fwww.sankeibiz.jp%2Fmacro%2Fnews%2F140502%2Fmcb1405020500013-n1.htm&gsrc=3p&ic=1&jsh=m%3B%2F_%2Fscs%2Fapps-static%2F_%2Fjs%2Fk%3Doz.gapi.ja.FVNa_4Ros3k.O%2Fm%3D__features__%2Fam%3DAQ%2Frt%3Dj%2Fd%3D1%2Fz%3Dzcms%2Frs%3DAItRSTOpuoZIDmyRskb7RXxceSbJCArcKg#_methods=onPlusOne%2C_ready%2C_close%2C_open%2C_resizeMe%2C_renderstart%2Concircled%2Cdrefresh%2Cerefresh&id=I0_1399462136338&parent=http%3A%2F%2Fwww.sankeibiz.jp&pfname=&rpctoken=55310663" frameborder="0" marginwidth="0" marginheight="0" scrolling="no" width="100%" data-gapiattached="true"></iframe>  ノルウェーの態度を支持するかしないか、中国側の言い分をもっともと思うか思わないか、チベット亡命政府やダライ・ラマを支持するかしないか、といったことはこの際問題ではありません。つまりは、中国とチベットやダライ・ラマとの人権問題で、ノルウェー政府はそう公然とチベット側を支持するわけにはいかない、と認識しているということです。これが重要なことです。   つまり、私が   経済のほうが政治よりよっぽど現実(実状)に正直だ   で指摘した   >ともかく政治と経済では、経済のほうがよっぽど現実と実状に正直です。「反中」なんてことをいくら振り回しても、中国に本当に対峙することは現実問題としてなかなかできないと思います。   ということです。   >2国間の貿易も緊張状態に陥り、中国はノルウェーからのサーモンの輸入を実質的に禁止している。   というわけで、経済的にノルウェーもいろいろ追い込まれているわけで中国側に強い態度を取りかねているわけです。これはまさに私の言う   >経済のほうが政治よりよっぽど現実(実状)に正直だ   そのものでしょう。断っておきますが、ノルウェーはEUにも加盟していないくらいだし、原油も産出する非常に豊かで独立独歩の気風の強い国です。   ノルウェーと中国の貿易というのはどれくらいのものか、ちょっと検索してみました。こちらのページの、日本語によるPDFファイルより。     中国は、輸入額で上から3番目、輸出額はずっと低くなりますが、それでも日本の倍を軽く超えます。ノルウェーにとって、中国は日本よりはるかに経済のパートナーとして重要な位置にあります。そうなると、記事には、   >最終的な結論には至っていない   とありますが、仮にダライ・ラマと面談するとしても、ノルウェー側のスタンスとしてはさらなる中国側への配慮をしないわけにはいかなくなるだけの話でしょう。「ダライ・ラマとノルウェー政府高官やノルウェー国会議長らが面談して何が悪い、中国側から何か言われる筋合いはない」なんて居直ることはありません。当たり前の話ですが。   チベット学者の方が次のように書かれています。   >中国との商談を優先し表現の自由を犠牲にする欧州   以下は、某日中関係の政治学者よりご教示頂いたワールドポストの記事で「ヨーロッパ諸国が中国との商談成立を優先するあまり、中国の要人が彼らの国を訪問した際、中国政府に対して市民が平和的な抗議行動を行う、いわば、表現の自由権を抑圧している」という内容のもの。理想と現実はどちらも捨てられない人間のカルマとはいえ、市民社会発祥の地であり、道徳的でありたい欧米にとって、現状は我々が想像するよりずっとストレスになっていると思う。   (後略)   実際にどれくらい欧米の人たちがこの件で   >現状は我々が想像するよりずっとストレスになっていると思う。   のかは私には判断ができませんが、仮に   >ずっとストレスになっている   としても、この件で   >道徳的   (というのは、この方の意味合いは、チベット側に立つ、ということです)な立場に各々の政府が立つというのは現実問題としてなかなかないんじゃないかなと思います。個々の市民はともかくとして、政府は最終的には中国側を支持するでしょう。少なくとも、チベット独立は支持しないし(だから、ダライ・ラマらチベット亡命政府も、これは引っ込めています)、自治権の拡充という話になるし、そうなれば正直、ダライ・ラマとかチベット亡命政府はお呼びではありません。中国側の内政問題になります。日本だって同じです。安倍晋三も現状では、彼の首相復帰後複数回来日したダライ・ラマと会う意思はなさそうだし、会っても(たぶん米国ほどにも)踏み込んだ発言はしないでしょう。   いいとか悪いとかという話はともかくとして、   >「反中」なんてことをいくら振り回しても、中国に本当に対峙することは現実問題としてなかなかできないと思います。   ということに尽きるということです。   bogus-simotukareさんに感謝を申し上げます。

という記事を書いていたら、このような記事を読みました。

>中国、GDP世界一に=購買力平価換算で―世銀推計

時事通信 5月13日(火)17時0分配信

 【ワシントン時事】中国の国内総生産(GDP)が2014年に購買力平価(PPP)換算で米国を抜いて世界一になる見通しとなった。13年の中国のGDPは米国の5割強だが、世界銀行のPPP推計や中国の成長見通しなどを勘案すると、年内に「世界最大の経済大国」となる。
 PPPはモノやサービスの値段を基準に算定した為替レート。世銀が4月に発表した11年時点の推計によると、世界全体に占める経済規模はPPP換算で17.1%を占めた米国が1位。2位は中国(14.9%)、3位はインド(6.4%)、4位は日本(4.8%)で、新興国の購買力の勢いが表れた。
 11年の市場為替レートは1ドル=約6.5人民元だったが、PPP推計では1ドル=約3.5人民元と市場よりも元が高い結果となった。この推計を基に、国際通貨基金(IMF)の12〜14年の各国の成長率予想を当てはめると、中国のGDPは14年に米国をわずかに抜く見通しだ。

PPPでは、中国やインドのような新興国のGDPが高く計算されるということは事実のようですが、それにしても上の記事のような時代になったということです。今後米ドルは、中国元に対してドル安という形になるでしょうし、また中国の予想されるインフレーションを考慮すれば、MER換算でも、現在ではまだ米中でかなりの差がありますが、これもいずれ中国が米国を追い抜くことになるでしょう。慶應義塾大学教授で、京都大学名誉教授の大西広氏は、著書「中国に主張すべきは何か」の中で、中国のGDPが米国のそれを追い抜くのを

>現時点では私は2017年と見ている。(p.27)

とされています(2012年現在の予測)。つまりはそういうことです。世界中、これからますます中国に向かってもの申すことは容易でなくなるでしょう。


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