このブログで何回か、旅でもっていく本の話を書いています。
旅行の際には大量の本を持っていってしまう 旅行の最中にどういう本を持っていくかということを考えてみる 旅行で、「本を5冊」持っていってみた昨年末~今年初めの韓国旅行では、3冊だけ本をもっていきました。以下の本です。写真の大きさについては、例によってAmazonからいただいた写真をそのままいただいただけですので、他意はないということでお願いします。
ガイドブックは別として、『ペスト』は読めず、『ハックルベリー・フィンの冒険』の冒険は読み切りました。上巻はすでに読み終えていたので、私としても読みやすかったのは確かです。
ところで桑原武夫という人が、『文学入門』という有名な本を著しています。1950年のはるか昔の出版ですが、いまだに新しい刷が出ているくらいです。
で、この本で有名なのが、巻末にある「世界近代小説五十選」です。これをちょっと引用してみます。原書では、翻訳のヴァージョンも指定されていますが、これはさすがに時代にそぐわないところがあるので、省略します。めんどうですので、こちら様から引用することにしました。本来ならそうしなければいけないのでしょうが、作者のお名前と著作のWikipediaへのリンクは、面倒につき省略します。また題名も、引用者の方が適宜現代的にアレンジしてくださっていますことをお断りします。
>ボッカッチョ「デカメロン」
セルバンテス「ドン・キホーテ」
デフォー「ロビンソン漂流記」
スウィフト「ガリヴァー旅行記」
フィールディング「トム・ジョウンズ」
ジェーン・オースティン「高慢と偏見」
スコット「アイヴァンホー」
エミリ・ブロンテ「嵐が丘」
ディケンズ「デイヴィト・コパフィールド」
スティーブンソン「宝島」
トマス・ハーディ「テス」
サマセット・モーム「人間の絆」
ラファイエット夫人「クレーヴの奥方」
プレヴオ「マノン・レスコー」
ルソー「告白」
スタンダール「赤と黒」
バルザック「従妹ベット」
フロベール「ボヴァリー夫人」
ユゴー「レ・ミゼラブル」
モーパッサン「女の一生」
ゾラ「ジェルミナール」
ロラン「ジャン・クリストフ」
マルタン・デュ・カール「チボー家の人々」
ジイド「贋金つくり」
マルロオ「人間の条件」
ゲーテ「若きウェルテルの悩み」
ノヴァーリス「青い花」
ホフマン「黄金の壺」
ケラー「緑のハインリヒ」
ニーチェ「ツアラトストラかく語りき」
リルケ「マルテの手記」
トーマス・マン「魔の山」
ヤコブセン「死と愛」
ビョルンソン「アルネ」
プーシキン「大尉の娘」
レールモントフ「現代の英雄」
ゴーゴリ「死せる魂」
ツルゲーネフ「父と子」
ドフトエフスキー「罪と罰」
トルストイ「アンナ・カレーニナ」
ゴーリキー「母」
ショーロホフ「静かなドン」
ポー短編小説「黒猫」「モルグ街の殺人事件・盗まれた手紙他」
ホーソン「緋文字」
メルヴィル「白鯨」
マーク・トウェーン「ハックルベリィフィンの冒険」
ミッチェル「風と共に去りぬ」
ヘミングウェイ「武器よさらば」
ジョン・スタインベック「怒りのぶどう」
魯迅「阿Q正伝・狂人日記他」
このブログでは、引用分は原則グリーンですが、青字は既読のものです。さすがに73年前(この記事執筆・発表時)の時点のものですので、たとえばカミュの「異邦人」くらいはあったってええんじゃねとかフォークナーあたりも入れるべきだとかいろいろなご意見はあるでしょうが、ただ1952年時点ということを考えると、
>マルロオ「人間の条件」
(中略)
トーマス・マン「魔の山」
(中略)
ミッチェル「風と共に去りぬ」
ヘミングウェイ「武器よさらば」
ジョン・スタインベック「怒りのぶどう」
魯迅「阿Q正伝・狂人日記他」
あたりは、当時の最先端の文学ということになろうかと思います。ちなみに「人間の条件」が1933年、「魔の山」が1924年、風と共に去りぬ」が1936年、「武器よさらば」が1929年、「怒りのぶどう」が1939年、「阿Q正伝」の出版が1923年であり、特にスタインベックの小説は、わずか13年前に発表された小説のわけです。
それにしてもたった12冊しか読んでいないというのは、我ながら勉強不足も甚だしいですね。これではいけません。というわけで、いずれ読むなんて言う悠長なことを言っていたら一生かかっても読めないので、1年以内に、桑原先生ご推奨の50の小説のうちの未読作品を読んでみることとしました。といっても長い小説は読むのが大変なので、まずは短い小説を読んで長い小説にチャレンジするの精神でいきたいと思います。2024年の1月に、その結果についてご報告できればです。完読できればそれに越したことはないし、そうでなくても進捗状況についてお伝えすることで、積極的な読破を心がけていきたいと思います。申し遅れましたが、「ハックルベリー・フィンの冒険」を読んだのも、このリストの小説を消化する過程というわけです。
余談ですが、覚せい剤で複数回パクられて実刑判決が確定し、服役していた小向美奈子は、
>刑務所の図書館からトルストイの『戦争を平和』や『アンナ・カレーニナ』を借りましてね。『戦争と平和』は4巻もあって、登場人物も多い。最後まで読むのが大変でした――
と語っています。それが事実であるとすると、彼女もなかなかの読書家ですね。刑務所でしかも独居房だったので、そうやって時間をつぶしていたのでしょうが、小向美奈子を見習い、私も本を読まなければいけません。38冊を、月3冊のペースですか。できなくはないですが、かなり大変そうです。長編小説はきつい。ともかくやるだけのことはやってみます。
最後に。スマートフォンがあるので、本はガイドブックを入れても3冊で十分のような気がしますね。旅行の際に、海外の小説を持っていくというのを私はしているので、これからは読み切れるかどうかは別として、旅行の際は海外文学をかならず持っていくようにしたいと思います。