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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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けっきょくこの被告人のメンタリティは、佐藤忠志氏と共通するところがあるのだと思う

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先日あった福岡地裁における刑事裁判の判決の記事を。

>【速報】冷蔵庫に両親の殺害遺体 60歳男に懲役30年判決 福岡地裁「嫌なことから目を背けず考えて」
1/6(金) 11:03配信

福岡市で2021年6月、高齢の両親を殺害し遺体を冷蔵庫に遺棄した罪に問われている60歳の次男に対し、福岡地裁は懲役30年の判決を言い渡しました。

判決を受けたのは福岡市西区の無職・松本淳二被告(60)です。

判決によりますと、松本被告は2021年6月、酒店だった福岡市西区の自宅で父親の博和さん(88)の首を電気コードで絞めて殺害し遺体を業務用冷蔵庫に遺棄したほか、母親の満喜枝さん(87)の首も絞めた上で冷蔵庫に閉じ込め窒息死させました。

これまでの裁判で、一貫して罪を認めていた松本被告。

検察側は事件の背景について、「父親からトイレの介助を初めて頼まれた際、鬱積したいらだちが爆発して殺害に至った」「父親の殺害を目撃した母親についても口封じのため殺害した」「介護疲れと呼べるものではなく同情すべき点はない」などと指摘し、無期懲役を求めていました。

一方、弁護側による被告人質問では“35年間、1度も母親以外と会話がない”など松本被告の35年に渡る引きこもり生活の実態が語られ、弁護側は「被告人は孤独を選ぶ人格障害があり被告人の行動と障害には関連性がある」と主張し、「23年ほどの懲役刑が妥当」だとしていました。

1月6日午前11時から開かれた判決公判で、福岡地裁の鈴嶋晋一裁判長は、「ためらうことなく力一杯コードで首を絞め続けていて、強固な殺意に基づく犯行態様は相当悪質」と指摘。

また「犯行を見られたことから母親にまで手をかけたことは理不尽という他ない」などとして、松本被告に有期刑の最長である懲役30年の判決を言い渡しました。

このあと、裁判長は松本被告に以下のように説諭しました。

◆裁判長
「30年の懲役は長く、考える時間がいっぱいありますよね。お父さんとお母さんがどういった思いで育てたか、あなたと暮らしてきたか、考えてもらいたい。嫌なことから目を背けずに、逃げ回るばかりでいいのか、よく考えるようにしてください」

テレビ西日本

いろいろ興味深い記事ですが、私が印象に残ったのが、裁判長の説諭です。

>嫌なことから目を背けずに、逃げ回るばかりでいいのか、よく考えるようにしてください

松本被告は60歳となると、30年の懲役では、無事に出所できるかも怪しいですね。いまは平均寿命も延びていますから、あるいは出所できるかもしれませんが、仮釈放もむずかしいでしょうしね(たぶん身内は引き取らないでしょう)。そうなると、事実上刑務所で死ねという判決に近いものはあります。

ただこれは正直に言いますと、この事件は殺された親にも問題はあるように思いますね。松本被告が、自分たちの介護ができる人間だと思っていたのか。おそらくそうは考えていなかったわけであり、もう少し早い段階で、心を鬼にして、子どもを施設に入れるなりなんなりする必要があったのではないか。そういう努力をしていたのかもしれませんが、あまりによろしくない事態になってしまいました。

それでですよ、タイトルですでにわかっちゃいますが、私が興味深く感じたのが、これってこのブログでの常連さんである佐藤忠志氏の次のセリフを思い出させるというわけです。こちらより。

>バラ色ですよ、ずっと。だって、仕事でイヤな思いも苦労もしたことないんですから

それ仮に強がりじゃなくて事実だとしても、つまりは佐藤氏が、嫌なことから逃げ出して、全部それをおそらくは奥さん(佐藤氏の放蕩に愛想をつかして逃げちゃいました)や周囲に押し付けたということでしょう。そして奥さんが逃げた後の佐藤氏は、食事もろくにとれない有様になり、ほんとの酒びたり、ニコチン依存症が悪化し、生活保護受給→孤独死という最悪のパターンになってしまったわけです。

もちろん佐藤氏は、松本被告のような殺人事件などの凶悪犯罪をしたわけではありませんが、しかしDVをされたと奥さんから警察に通報されて逮捕されている。佐藤氏は、冤罪だと主張していましたが、果たして現実はどうか。かりに物理的な暴力はしていなかったとしても(私は、物理的な暴力があった可能性は高いと考えています)、家をリバースモーゲージのような形で売った売却益で1億円(と称する)の車を購入したら、完全に経済的DVといわれたって仕方ないでしょう。松本被告が、控訴したかは現在確認が取れていませんが、刑務所の中で彼が逃げずにさすがに自分の行いについて考えるかどうかはともかく、佐藤氏は最終的に嫌なことから目を背け、逃げ回り、そして最後の放蕩をして、その代償をたっぷり払うことになったのではないか。あまりにひどすぎます。

いうまでもなく佐藤氏の自己顕示欲の強さとか、見栄などが病的(たぶん一種の精神障害、発達障害の故だったのでしょう)に強かった部分は、松本被告にはおそらくないものだと思いますが、老親を殺すことで、みずからの引きこもり生活に強引な終止符を打つこととなった松本被告と、最終的に奥さんを怒らせてしまい、奥さんが逃げ出した後ほとんど精神的に廃人といわれても仕方ない状況に陥った佐藤氏とでは、かなり共通するメンタリティを感じますね。けっきょく家族をもやり方はともかく、物理的、あるいは心理的に遠ざけてしまったわけです。

ずばり松本被告には精神疾患があったかと思われますし、佐藤氏もおそらくある時点から精神疾患を(たぶん認知症も)発症していたかと思いますが、それで精神科にかからなかったらしいのは、やはりどうしようもありませんね。精神疾患になった子どもが浪費癖などが激しくてついに親が殺してしまった事例がありますが、松本被告も佐藤氏も、社会生活を行う能力がまるでなかったのです。松本被告ほどひどくはないとしても、佐藤氏もとても自分で生計を立てるという力がありませんでした。松本被告にいたっては、親を殺すという事態になってしまったわけです。

たぶんこれからも、佐藤忠志氏をサンプルにした発達障害や精神障害関係の記事を適宜書いていくと思います。彼の話に飽きている方もいるかと思いますが、彼の足跡は、私のような発達障害や精神障害に関心のある人物にはきわめて興味深いものがありますので、そのあたりは乞うご容赦。


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