先日このような事件がありました。
>岸田首相 同性婚「見るのも嫌だ」などと発言の荒井秘書官 更迭
2023年2月4日 18時22分
同性婚をめぐって「見るのも嫌だ」などと発言した荒井勝喜総理大臣秘書官について、岸田総理大臣は、政権の方針と相いれない発言で言語道断だとして、更迭したことを明らかにしました。
荒井秘書官は3日夜、オフレコを前提にした記者団の取材に応じた際に、同性婚についての見解を問われ「見るのも嫌だ。隣に住んでいたら嫌だ。人権や価値観は尊重するが、認めたら、国を捨てる人が出てくる」などと発言しました。
しかし、発言への批判が相次いだことから改めて取材に応じ、不適切な発言だったとして撤回し、謝罪しました。
岸田総理大臣は、訪問先の福井県で記者団に「大変深刻に受け止めており、秘書官の職務を解く判断をした。本人からも辞意があった」と述べ、荒井秘書官を更迭したことを明らかにしました。
そして、荒井氏の後任には、経済産業省の伊藤禎則秘書課長の起用を決めたと説明しました。
その上で、荒井氏の発言について「今の内閣の考え方には全くそぐわない言語道断の発言だ。『性的指向』や『性自認』を理由とする不当な差別や偏見はあってはならない」と述べました。
また、みずからの任命責任を問われ「任命責任を感じているからこそ今申し上げた対応をとっている」と述べました。
荒井氏は、経済産業省出身で、岸田内閣が発足したおととし10月から総理大臣秘書官を務め、広報やメディア対応を担当し、岸田総理大臣の演説などの原稿の執筆役も担っていました。
4日は岸田総理大臣の地方出張に同行する予定でしたが取りやめていました。
岸田政権が多様性が尊重される包摂的な社会づくりを目指す中、実務を担う秘書官の不適切な発言による更迭は政権へのさらなる打撃となりそうです。
(後略)
ただこれ、多方面から指摘があるように、それ岸田首相も同じだろですね。つまり岸田は国会で、次のように発言しているわけですから。
>同性婚「社会が変わってしまう」は岸田首相自身の言葉 G7で認めないのは日本だけなのに…
2023年2月7日 06時00分
性的少数者(LGBTQ)への差別発言で首相秘書官だった荒井勝喜まさよし氏が更迭された問題で、岸田文雄首相は6日の政府与党連絡会議で「不快な思いをされた方々におわびを申し上げる」と謝罪した。一方、同性婚の実現で「社会が変わってしまう」との首相の国会答弁は法務省が用意した文案にはなく、自らの言葉だったことが衆院予算委員会で明らかになった。自民党を支持する保守層を意識し、同性婚などに否定的な岸田政権には、5月の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)を前に国際社会から厳しい目が注がれている。(大野暢子、柚木まり)
首相は「多様性を尊重し、包摂的な社会を実現していくという政府の方針について国民に誤解を生じさせたことは遺憾」と釈明したが、今回の差別発言が政権の考えと異なるという主張には疑問符が付く。そもそも、首相が1日の衆院予算委員会で、立憲民主党の西村智奈美代表代行から同性婚を認める法制化への見解を問われて「家族観や価値観、社会が変わってしまう課題」と極めて後ろ向きな答弁をしていたからだ。
荒井氏の暴言は首相の答弁の中身を説明しようとする中で飛び出した。共産党の穀田恵二氏は6日の予算委で、首相の性的少数者への認識は「荒井氏と一緒ではないか」と問いただし、立民の安住淳国対委員長は記者団に「リーダーの資質にかかわる」と批判。ツイッター上では「#社会が変わってしまう」のハッシュタグ(検索目印)を付けた投稿や「もう社会は変わっている。変わっていないのは首相や自民党だ」などという書き込みが相次いだ。
多様性を認め合う社会の実現を巡っては、日本の取り組みの遅れが際立つ。国連の委員会は2000年代以降、対応の改善を繰り返し勧告しているが、政府は事実上、放置している。
21年には東京五輪開催に先立ち、超党派議連がLGBTQなどへの「理解増進法案」をまとめたが、自民党が了承せず、国会提出に至らなかった。今年の議長国を務めるG7で、同性婚と夫婦別姓を法的に認めず、LGBTQなどへの差別禁止法も制定していないのは日本だけだ。
岸田政権は昨年8月の人事で、性的少数者らへの差別的な発言が目立っていた杉田水脈氏を総務政務官に起用。その後、批判の高まりを受け、同12月になってようやく更迭した。
与野党からは「LGBTの平等法や差別解消法を政府の責任で今国会に提出することを求める」(共産党の小池晃書記局長)と法制化を訴える意見が相次ぐ。それでも、松野博一官房長官は衆院予算委で「議員立法として議論がある。国会の動きをしっかり注視したい」と述べるにとどめた。
自民党の茂木敏充幹事長は記者会見で「提出に向けた準備を進めたい」と語ったものの、党内には「法律のみならず周囲の理解があってこそ包摂的な社会ができる」(梶山弘志幹事長代行)と慎重論が根強い。
人権問題に詳しい明治大の鈴木賢教授(比較法)は本紙の取材に「同性婚が実現しても誰も困らず、どこにもしわ寄せは及ばない。首相は導入によって何が変わるのか、具体的に語るべきだ」と指摘している。
そして次はどうなったかというと、産経新聞に次のような報道がされたわけです。
><独自>首相、LGBT法案準備を指示 自民、2年前は見送り
2023/2/7 00:14
岸田文雄首相(自民党総裁)は6日、LGBTなど性的少数者への理解増進を図る法案の国会提出に向けた準備を自民の茂木敏充幹事長に指示した。政府関係者が明らかにした。法案は令和3年に自民を含む超党派の議員連盟が提出を目指したが、自民内で「差別は許されない」といった文言に「訴訟の乱発を招きかねない」などと批判が集まり、見送られた経緯がある。
茂木氏は同日の記者会見で「自民として多様性を尊重し、包摂的な社会づくりにしっかりと取り組み、性的指向、性自認への理解増進を図っていきたい」と述べた。超党派議連の会長代理を務める稲田朋美元防衛相は記者団に「成立に向けて頑張っていきたい」と語った。
なんだかずいぶん話が変わってきましたが、これはどういうことなのか(苦笑)。それで私が興味深く感じた記事がこちら。
>
■ <理由1>「見るのも嫌だ」前・首相秘書官の発言
理由の1つ目は、荒井前首相秘書官の発言。
荒井氏は同性婚などをめぐり「見るのも嫌だ」などと発言し更迭に追い込まれた。
「スピーチライターとしては歴代の経産省出身の秘書官の中でも、ピカイチ」(経産省中堅)と評価されていた荒井氏の発言に、野党だけでなく、政府・与党内からも「首相秘書官は政権を支える人なのに足を引っ張ってどうする」「政権の正当性が問われる」などと厳しい声が相次いだ。
(略)
■ <理由2>G7広島サミット“開催前の成立を”
G7広島サミットのロゴマーク
(中略)
理由の2つ目は、今年5月に開催されるG7広島サミットだ。
松野官房長官が記者会見で「日本以外のG7諸国は何らかの形で差別を禁止する法令や、同性婚法、またはパートナーシップ制度を有している」と述べるなど、性的マイノリティーへの対応をめぐっては、日本だけが他のG7メンバーと違い法整備が進んでおらず、「世界に比べて意識が低い」と指摘を受けている。
事実、G7メンバー国の中で同性婚が認められていないのは日本だけだ。海外メディアも「日本にはLGBTQ、女性、外国人への偏見が根強く残っている」(AP通信)、「日本は伝統的な男女の役割と家族の価値観に縛られている」(イギリスBBC)などと批判的に報道した。
政府・与党としては、世界からの冷ややかな見方を払拭するためにもG7広島サミット前にLGBT法案を成立させたいとの思惑もある。
■ <理由3>「安倍氏死去で状況が…」“保守”の変化
安倍元首相の遺影
理由の3つ目は、自民党内の保守派に生じた変化だ。ある自民党幹部は、2年前の国会提出見送りを振り返り「法案は完全な理念法案で、なぜ通らなかったかが分からないくらいの内容。これを今やったとしても何も問題はなく、『差別は許されない』『不当な』などの一部文言の調整があるくらい。あの時、反対していた状況とは安倍氏死去でだいぶ変わってきている」と解説する。
2021年に自民党で法案を審査した際には、党内の推進派と野党が合意した「差別は許されない」とする文言などに保守派が強く反発。「権利を主張する裁判が相次ぐ」「男なのに女だと思って温泉に入ることが起こる」などと主張し、自民党の政調審議会では了承されたものの、最終的に最高意思決定機関である総務会で「党3役(幹事長、政調会長、総務会長)預かり」となった。
その際、反対する保守派を支援していたとされるのが、去年、亡くなった安倍元首相だ。関係者によると安倍氏は、生前、周囲に対して「LGBTの人たちを差別する人は唾棄すべきだと思うが、法律にする必要はない」と話していたという。
また、保守派の議員の一人も「安倍さんは法案に反対していたが、差別を許すことはしなかった」と解説する。
法案推進派の自民党議員は「安倍元首相が生きていた頃は反対せざるを得なかった部分はあると思うが、そんなに反対ではない人もいる」と党内の現状を分析する。
一方で、自民党内からは「安倍さんが生きていたときにまとめたラインを超えると怒る人がいるかも」との声も上がっており、党内で再び議論が紛糾するおそれもある。
(以下略)
上の記事における1と2は、まあそうだろうなですが、おそらくそのような指示を岸田が出すことを可能としたのは、3における安倍の死でしょうね。1は突発的な事件ですから予想はできませんが、2は最初から分かっていた話です。「合わせ技1本」と言いたいところですが、まだ成立していないからそれは尚早として、おそらく安倍が生きていれば、岸田もそのような指示を出すには至らなかったのではないか。少なくともより困難、ハードルが高くなったのは間違いないところです。
そこで私が思い出したのが、私が過去に執筆した拙記事です。
ポスト安倍晋三の、改憲の顔になりそうな政治家が見当たらないのが、改憲派にとって厳しいところだと思うこの記事の中で私は、安倍晋三が首相を辞任した後、ポスト安倍として、改憲をはじめとする安倍の考えや意向を政権中枢に伝えることができて、その動向を左右するだけの実力のある政治家は見当たらないのではないか、少なくとも現段階ではという趣旨の指摘をしました。ここで私がいう「ポスト安倍」というのは、安倍が死ぬなんてことはもちろん考えていないし、安倍の引退という意味でもなく、安倍が首相を辞任したあと、派閥の首領とかいう立場ではあっても、とりあえず首相とかの政府高官や自民党の幹事長などの最高幹部にはならない、そういう状況です。もっとも首相をしたが安倍政権時にえんえん財務相をつとめた麻生太郎もいるし、当の安倍が首相に復活したわけですが、しかしやはり安倍や日本会議ほか右翼系のイデオロギーを継承するポスト安倍の有力政治家が出てこないと発展がない。そんなことを考えていたら、なかなか興味深い記事がありました。
>岸田首相、櫻井よしこ氏と会食
2023年02月06日22時37分
岸田文雄首相は6日夜、東京都内の日本料理店で自民党の萩生田光一政調会長、ジャーナリストの櫻井よしこ氏と会食した。櫻井氏は故安倍晋三元首相を支持してきた保守系の論客。今後の政権運営を巡り意見交換したとみられる。
こんなLGBTQだで騒がれていて、また安倍も死んじゃったのに、こんな時期に同性結婚や夫婦別姓反対の急先鋒である櫻井よしこなんぞと会食する岸田の馬鹿ぶりもひどいものですが(むろんそれ以前から予定があったのでしょうが)、それはともかく。この記事で私が注目したいのが、
>萩生田光一政調会長
というところです。つまりこの会食は、萩生田光一がアレンジしたあるいはなんらかのかかわりをしたと考えられます。ってことはですよ。やはりポスト安倍として櫻井らが期待する有力政治家というのが萩生田ということなのでしょうね。もちろんほかにも下村博文などいろいろいます。で、彼らは、それなりに優秀・有能なのかもしれませんが、といってやっぱり安倍晋三ほどの(なぜか理由は知りませんが)異常なまでの右翼からの信頼感、アンタッチャブルぶり、治外法権ぶり、信じられないほどの優遇ぶりといったものは(当然)ありません。それは当然な話であり、あんなものがはびこったら、日本というのはどんだけ人治国家なんだよという話になりますが、とりあえず安倍以外でそのような力のある人物はいない。それが相当にきいているように感じますね。つまりはそのような時に、それはだめだといえるだけの人物がいないということでしょう。
実際そういうことはほかにも感じますね。東京五輪の関係で、いろいろ汚職事件が摘発されていますが、これも安倍政権下ならもちろんのこと、安倍が存命ならこのように捜査ができたか。難しいのではないか、あるいは不十分、もしくはより困難さが増したのではないかと思います。安倍が存命だったとして、この人たちは逮捕されたでしょうか。記事を。
>組織委元次長、電通幹部ら4人を逮捕 五輪めぐり談合容疑 東京地検
2023年2月8日 13時59分
東京五輪・パラリンピックの運営をめぐる談合事件で、東京地検特捜部は8日、大会組織委員会の大会運営局の元次長・森泰夫容疑者(55)、広告最大手「電通」のスポーツ局長補だった逸見(へんみ)晃治容疑者(55)ら計4人を独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで逮捕し、発表した。
ほかに逮捕されたのは、いずれも業務を受注したイベント制作会社「セレスポ」の専務・鎌田義次(59)と、番組制作会社「フジクリエイティブコーポレーション(FCC)」の専務・藤野昌彦(63)の両容疑者。
特捜部は8日午前10時過ぎから、森元次長と逸見元局長補の自宅、セレスポ、FCCを家宅捜索した。
組織委は2018年、各競技のテスト大会の計画を立案する業務を発注した。会場ごとに26件の競争入札が行われ、9社と1共同企業体が落札した。契約金は計約5億4千万円だった。
全ての落札企業は、その後のテスト大会の実施運営や本大会運営の業務も、入札を行わない随意契約でそのまま受注。随意契約の総額は約400億円だった。
(以下有料部分)
まあほかもそうですよね。そう考えると安倍晋三が首相だった時代というのもほんとめちゃくちゃだったと思いますね。なにしろ山口敬之にたいする逮捕状の執行を、のちに警察庁長官になるような最高レベルに優秀な人物(中村格)が取りやめさせたなどということまであったし、あるいはフジテレビのトップ(日枝久)に、安倍が
>産経が潰れてもいいんですか
といったとかいう話もある。こんな馬鹿なことを頼む首相は安倍以外にいない。いや、他にもいるかもしれませんが、安倍ほど本気で頼む人間はいない(苦笑&呆れ)。
けっきょく安倍晋三が首相であり続けること自体がこの連中の利権になっているのだから、お話にもならないちょうどこの記事を執筆していた2月8日の夜、BS-TBSの『報道1930』を観ていましたら、HPには、以下のような内容が予告されていました。
>
2月8日(水)の放送内容
1930 今夜の視点
日銀“新総裁”人事が本格化
“政治圧力”に屈した?大規模緩和10年の功罪
安倍氏が求めた物価目標2%…問われた日銀の”独立性”
“辞任2度考えた”日銀元副総裁が“危機”証言
「モルヒネは正しく使わないと“中毒”に…」
新総裁が背負う課題とは
ゲスト
木内登英(野村総研エグゼクティブ・エコノミスト)
加藤出(東短リサーチ チーフエコノミスト)
長谷川雄之(防衛研究所研究員)
内容を読んでいただければお分かりの通り、かなり辛辣に、安倍政権時代の金融政策を評していました。おそらく安倍が存命だったら、このような番組は作られなかっただろうと私は思います。ましてや安倍政権時ではなおさら。こういった大きな問題ばかりでなく、夫(三浦清志)の会社が東京地検特捜部の家宅捜索を受けたら、テレビからぱっと三浦瑠麗が消えたのも、安倍が生きていたらこんなにあっさりテレビに出演できなくなったか、そもそも三浦の夫の会社に家宅捜索が入ったかも怪しい(苦笑)。わかりませんけどね。
それにしてもまさに安倍というのはとんでもないにもほどのある人間でしたね。このような人物が、日本憲政史上最も長く首相を務めていたなんで、日本の恥にもほどがあるというものです。あきれかえるとはこのことです。