2023年2月5日は、愛知県知事選挙などいくつかの地方首長選挙が行われましたが、私が注目したいのがこちら。
>京都 舞鶴市長選 新人の鴨田秋津氏が初当選
02月05日 22時28分
任期満了に伴う京都府舞鶴市の市長選挙は、新人で、日本維新の会府総支部の京都維新の会が推薦した元・舞鶴市議会議員の鴨田秋津氏が、初めての当選を果たしました。
舞鶴市長選挙の開票結果です。
▼鴨田秋津、無所属・新。
当選、1万5686票。
▼多々見良三、無所属・現。
1万1580票。
▼森本隆、無所属・新。
2857票。
▼竹内昌男、無所属・新。
2650票。
日本維新の会府総支部の京都維新の会が推薦した新人の鴨田氏が、自民党と公明党が推薦した現職や共産党が推薦した新人らを抑えて、初めての当選を果たしました。
鴨田氏は舞鶴市出身の41歳。
警視庁の警察官などを経て、平成30年からことし1月まで、舞鶴市議会議員を務めました。
鴨田氏は「明るい希望のある舞鶴を取り戻したい、みなさんの力が結集した結果だったと思う。市政運営のかじ取りは困難が続くと思うが、みなさんとこれからの舞鶴をつくっていきたい」と述べました。
今回の選挙の投票率は、50.70%で、前回を9.55ポイント上回りました。
この選挙で私が注目したいのは、これが大阪以外で初の維新単独推薦候補の首長選挙勝利だということです。地元の京都新聞の記事を。
>京都・舞鶴市長に新人鴨田氏が初当選 府内初の維新系、自公推薦の現職下す
2023年2月5日 22:09
任期満了に伴う京都府舞鶴市長選は5日に投開票され、無所属新人で元市議の鴨田秋津氏(41)=維新府総支部推薦=が、無所属現職の多々見良三氏(72)=自民、公明推薦=ら3人を破って初当選を決めた。維新系の首長が誕生するのは京都府内で初めて。
(中略)
鴨田氏は市長報酬の3割カットや退職金の受け取り辞退を表明し、小中学校の給食費無償化など次世代投資を公約に掲げた。前市議会議長が不祥事で辞職した問題を受け、政治不信の解消も強く打ち出した。選挙戦では維新の国会議員や地方議員の支援を受けたほか、有力な企業経営者らのバックアップで支持を拡大した。
維新の党本部によると、党か都道府県総支部の単独推薦候補が市町村長選で当選したのは、本拠地の大阪府以外で初めてという。
多々見氏は国や京都府と連携したインフラ整備の推進など3期12年の実績をアピールしたが、加速する人口減少や地域医療政策などへの不満が根強く、票が伸び悩んだ。
(後略)
舞鶴市の市長多々見良三氏に関しては、拙ブログでも以前記事を書いたことがあります。2018年の記事です。
公けの場で倒れるのは、不幸中の幸いなのかもしれない(4月7日更新)ちょうど市長が大相撲の巡業の最中くも膜下出血で倒れ、拙記事から引用すれば
>土俵に上がって心臓マッサージをした女性に対する「土俵から降りてください」というアナウンス
があったという何ともひどい出来事があったわけです。そんなこと言っている場合ではないだろう(呆れ)。たぶんアナウンスをした行司が、気が動転してそんなことを言ってしまったのでしょうが、それにしてもです。さすがにこれは、理事長が陳謝の談話をしています。詳細は、「女性は土俵から降りてください」をご参照ください。なお私も知らなかったのですが(この記事を執筆している2月7日に知りました)、件のアナウンスをした若手行司は、その年の6月で日本相撲協会を退職したとのこと。記事を。つまりは詰め腹を切らされたということでしょう。
>三段目格行司の木村昌稔が辞職
[2018年7月3日14時41分]
日本相撲協会は3日、三段目格行司の木村昌稔(本名・宇戸昌平、23=千賀ノ浦)が辞職願を提出し、6月30日付で受理されたと発表した。
余談が過ぎました。このあと多々見氏は、2019年の選挙には勝ちましたが、今回の選挙で落選したわけです。で、こちらのスクリーンショットを。
で、過去の市長である江守光起氏(1995-2007の計3期市長)のWikipediaから引用すれば
>京都府北部は伝統的に強力な保守の地盤であった為に、町井も江守も選挙では革新系候補との一騎討ちで圧倒的な勝利を収める形を取って来た。逆に言えば、有力な対立候補も無く、市議会も共産党を除いてオール与党体制であり、市民の選択肢は非常に狭かった。特に舞鶴市は造船や硝子といった重厚長大産業の大工場が立地し、大規模な労組が存在したため、他の北部地域と比べリベラル色が強い地域であったが、舞鶴軍港があったために自衛隊擁護の論調も根強くあった。
というわけであり、基本自民党が強い土地柄です。そういうところで、自公が推薦している現職に4,000票以上の差をつけて勝ったというのは、かなりの強さということなのでしょうね。
では、京都府全体で、2022年の参議院選挙における京都府選挙区の比例代表の開票結果によると、維新が獲得した票は242,681票、自民党は263,621票であり、自民党に匹敵する票数です。舞鶴市では、維新が9,289票、自民党が9,761票であり、自民が強い土地柄でもだいぶ維新が食いこんでいます。です。ちなみに共産党は、2,418票、公明党は4,052票です。
自民+公明なら、本来の票数であればさすがに維新を十分うわまわりますが、しかし今回の選挙のように浮動票あるいは立憲民主党や国民民主党に投票していた人で維新候補に入れる人もいるとかなると、自公候補でも勝てない場合があるということなのでしょう。なお共産党の候補は、最下位の竹内昌男氏で、これは昨年の参議院の比例の共産党の得票数とほぼ同じですね。前回の選挙から、5,000票も票数を減らしています。
つまり、いままでだったら「反市長」という意味で共産党に投票していた有権者も、今回は、勝てる可能性のある候補ということで鴨田氏に入れたし、そして有権者は3,000人も減っているのに投票率が10%弱もあがり、よって総得票数も増えて、その分の多くが、維新候補に入ったということでしょう。これは、その前と後の選挙よりだいぶ投票率の上がった2009年の政権交代のあった衆議院選挙と同じ構図です。
というわけで、そう見ていると、京都あたりは、かなり維新の力が強そうですね。となると、現職に対してやや不満がくすぶっていてある程度強い人物が維新の名のもとに立候補したら、ことによったらじゅうぶん当選の可能性があるということになりそうです。とすると、今回の当選も、来るべきものが来たということになりそうですね。実際地元の財界についても、記事によれば
>有力な企業経営者らのバックアップで支持を拡大した。
とあるくらいです。
ところで当選した鴨田秋津氏なる人物はどのような経歴かというと、氏のHPのプロフィールからその一部を抜粋しますと、
>拓殖大学経済学部卒業(平成16年)
警視庁(平成17~19年)
会社役員(平成19~30年)
平成30年執行 舞鶴市議会議員選挙 当選(1,775票をいただき、2位当選)
新会派市民クラブ舞鶴議員団結成 幹事長に就任(令和3年4月)
舞鶴で初めて日本維新の会公認議員となる(令和4年2月)
京都維新の会舞鶴市支部を立ち上げ 支部長に就任(令和4年6月)
令和4年執行 舞鶴市議会議員選挙 再選(2,416票をいただき、トップ当選)
とあり、選挙にはかなり強い人みたいですね。
ともかく現在の維新は、大阪では断トツの第1党、京都でも、かなり強くなっている。私はアンチ維新だし批判的な人間ですが、ともかくそうとうな実力を蓄えてきているということは確かです。2021年の衆議院選挙から、共産党はもちろん公明党をも上回る比例選挙の得票数であり、その実力は侮れません。こちらの記事もご参照ください。
公明党の退潮ぶりも明らかだ(創価学会の団塊チルドレン世代があまり選挙に動いてくれない?)これからもこの関係について私もいろいろ見ていきたいと思います。