Quantcast
Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
Viewing all articles
Browse latest Browse all 4143

妙な陰謀論やトンデモ科学にはまると、なかなか逃れられない(ルーズヴェルト陰謀論についての入門書を読んで勉強したい)

$
0
0

昨年末、真珠湾攻撃の日程に合わせて、次のような記事を発表しました。

陰謀論もこじらせるとあまりに荒唐無稽な話になり始末に負えない(ルーズヴェルトはそんなすごい戦略家でもないし、米国だってそこまでひどい国ではないだろう) この人たち(本多勝一氏と進藤栄一氏)大丈夫かと本気で思った(デマ本を真に受けて、ルーズヴェルト陰謀論を本気で信じている馬鹿な人たち)

その記事の中で、ルーズヴェルト陰謀論(真珠湾攻撃陰謀説)を支持する本や、それらの本を真に受けてルーズヴェルト陰謀論にはまってしまっている(いた?)筑波大学名誉教授である進藤栄一氏と本多勝一氏を私は批判しました。ただ進藤氏については確認できませんが、本多氏は、かなり以前から、ルーズヴェルト陰謀論を支持あるいはある程度の信ぴょう性を感じていたようですね。地元の図書館に入っていた本が昔の本でそれを参照したのですが、これは新しい本でも収録されていたと思うので引用しますと、1971年発売の旧版の『殺される側の論理』(p.276)に、

>真珠湾攻撃は、ルーズベルトの仕掛けたワナだったという説も有力だが、一応ここでは、一般のアメリカ人が理解してるような日本軍の奇襲だったとする

とあるわけです。

これは1969年に発表された記事を71年に発売された本の中に収録したものですので、本多氏は遅くとも1971年には真珠湾陰謀論についてある程度支持する態度だったということなのでしょう。しかしそれでもこの時点では、上のようにある程度の留保をした態度ですが、それから約30何年後では本多氏は、『「真珠湾」からイラクまで― アメリカ式謀略戦争の実体』という本の中で、

>そういう歴史的ないろいろな状況証拠から考えれば、真珠湾攻撃も謀略だと疑わざるを得ないわけですけれども。(p,21~22)

といっているわけです。

>歴史的ないろいろな状況証拠から考えれば、真珠湾攻撃も謀略だと疑わざるを得ない

ていうのもすさまじい牽強付会ぶりですが、そのあと本多氏の対談相手の進藤氏は、

>歴史家のロバート=B=スティネットが一九九九年に『真珠湾の真実 ― ルーズベルト欺瞞の日々』(Days of Deceit)という決定版ともいえる本を出します

などと寝ぼけたことをほざき、私が前記事で

>「この人たち大丈夫か?」

と評したキチガイ沙汰の話になるわけです。詳細については、前記事をお読みください。

本多氏と進藤氏が真に受けている本の著者であるスティネットは、英語版Wikipedia では、American conspiracy theorists(米国の陰謀論者)のカテゴリーに入っていますが、進藤氏についてはそこまで言えるほどの知識はありませんが、本多氏は相当長期にわたる陰謀論者めいたものを感じますね。本多氏や進藤氏に、「スティネットって、米国では陰謀論者として扱われていますよ。いいんですか、そんな人物に依拠して」とか聞いてみても、まあ芳しい返事はないのでしょうね。お答えなしか、スティネットは陰謀論者ではないとか強弁するのでしょうね。まーったく馬鹿につける薬はないというレベルです。それにしても前記事でも指摘しましたように、しょせんは米国の歴史や国際政治について素人でしかない本多氏はまだしも、それの研究で法学博士号を取得している進藤氏が、こんな世迷言を堂々と主張して恥じないのではお話にもなりませんね。学者失格というレベルの不始末だと私は思います。だいたい前にもご紹介したように、スティネットの本は

> 細かい注釈をやたらと多く付けているのも、この本の特徴の一つです。第2章の最後の注釈には「米陸軍参謀総長ジョージ・C・マーシャル大将は1941年11月15日にワシントンで秘密の記者会見を開き、アメリカは日本の海軍暗号を破ったと発表した」とあります。これも作戦暗号の解読に成功していたことを印象づける記述ですが、「秘密の記者会見」の開催を裏付ける証拠や会見内容を詳述する資料はまったく示されていません。都合のいい断片的な事実、あるいは事実と言えるかどうかも怪しいようなことを散りばめて、「日本海軍の作戦暗号は真珠湾攻撃の前に解読されていた」と印象づけようとしています。

という指摘までされている始末です。そもそも「秘密の記者会見」て、

>アメリカは日本の海軍暗号を破ったと発表した

って、そんなことを記者に明かす馬鹿がいるのか(苦笑、呆れ)。まともな人間なら、これだけで「この本も著者もまともではない」という結論に達するでしょう(笑)。なおマーシャルは、戦後国防長官や国務長官をつとめたきわめて優秀な人物です。マーシャル・プランの人です。

で、本多氏らは論外としても、やはりルーズヴェルト陰謀論についてもきっちり勉強しないといけないなと私も考えました。というわけで、いくつか本を読み、私が次に読んでみたいのがこちらの本です。

新書796真珠湾の真実 (平凡社新書) 

この本については、Amazonに

>日本はなぜ真珠湾を奇襲したのか。〈真珠湾〉の論点を整理。ルーズベルト陰謀論などの史実の誤謬と神話化の構造にメスを入れる。

>日本はなぜ真珠湾を奇襲したか。定説になっているのは、日本にその意図はなかったが、米国への通告文書の手交が遅れたため、結果的に奇襲になったという釈明だ。だが、その「史実」はどこまで本当だろうか。開戦への過程を仔細に確かめると、現場の駐米大使館員に責任を押しつけた外務省と大本営の欺瞞が見え隠れする。歴史修正主義の原点として真珠湾奇襲を捉え、史実の誤謬と神話化の構造にメスを入れる。

とあります。

何回も同じ記述を引用するように、1回いかがわしいインチキ科学を真に受けると、「科学とニセ科学」レジュメ(ver.2)が指摘する

>信じたいと思うことを提示してくれる。一部の人たちにとっては、「信じたい」と「信じる」がほぼイコールなのではないか。特にいわゆる船井系(船井幸雄氏が支持するもの。波動・EMなど)を受け入れる人たちには(船井氏自身も含め)そのような傾向が強いと思える

>自説の誤りを指摘されたときに、それにきちんと対応できないとニセ科学の道にはいる

>ニセ科学研究者(および強固な信奉者)は説得できるか:これまでに見聞したかぎりでは、残念ながらニセ科学研究者も信奉者も説得はできない。 ニセ科学批判は、まだニセ科学に道に踏み込んでいない人々への教育のためと考えるべきなのだろう

ということなのでしょう。信じたいことを提示するというのは、まさにルーズヴェルト陰謀論を支持する人たちにスティネットは都合のいい話を吹き込んだわけだし、本多氏も進藤氏も、自分たちの意見の間違いに対応できているようには思えない、そしてそれは、彼らは説得されても聞く耳を持つような人間ではないということなのでしょう。

となると、私はせめて、ニセ科学の道には踏み込みたくないので、ここはそうでないものを学ぶことにします。上のような本を読んで私もいろいろ勉強する必要があるし、つねにいろいろな情報も仕入れていかないといけません。実際、世間一般ではきわめて優秀であるとされる人物が、お話にならない無様で無残な事態になることもある。bogus-simotukareさんが、

知名度の高い人がトンデモな主張をする場合、どっかの変な人物の主張をたれ流すというパターンがありそうだ

の記事にコメントをくださったように、山本五十六は、

>1939年(昭和14年)水から石油が採れると主張した科学者に海軍共済組合で実験させた。海軍省先任副官・一宮義之らは反対したが、山本は「君達のように浅薄な科学知識ではわからない。深遠な科学というものはそうではない」とたしなめたが、その科学者は詐欺だった。

という不始末をしでかしています(引用は山本のWikipediaより)。余談ですが、bogus-simotukareさんは、コメントで、

>本多氏の居直りとほとんど同じである点にげんなりします

と指摘しています。「本多氏の居直り」というのは、本多氏がトンデモ本『はるかなる東洋医学へ』の中で、

>ただしこういった説明は、いわゆる近代科学による絶対的証拠があってのことではありません。実は西洋・東洋を問わず、あらゆるクスリのなかで「なぜきくか」が薬理学的にしろ疫学的にしろ明白に解明できている例など、むしろ少ないのです(引用者注記:これほんと?)。医学とは何か、という根源にたちかえれば、要するに病気を治して健康にすることですから、結論として治ればよろしい。「手術は成功したが患者は死んだ」の伝で、いくら立派な理論や証拠があっても、治らぬのでは話にならない。「迷信としての近代科学」としての側面もあります。有名な丸山ワクチンは、ガンにきくかどうかで争われてきたようですが、「科学的」究明よりも臨床的・経験的にきくかどうかがより重要でしょう。(単行本p.261、文庫版p.252~253 文中青字の部分は原文傍点)

と主張していることです。科学的に道理が合わないという指摘に対する態度が、山本と本多氏とで酷似しているのはどういうことか(苦笑)。たぶん本多氏は、山本の強弁なんか知らないだろうしね。だいたい本多氏は、

>「科学的」究明よりも臨床的・経験的にきくかどうかがより重要でしょう。

と主張しますが、じゃあほんとに本多氏が称賛する東洋医学は、臨床的・経験的に治療効果があるのかよとかいう話になると、東洋医学に統計学はそぐわないとかむちゃくちゃほざいて検証を逃げますからね。デタラメ、インチキにもほどがあるというものです。なおbogus-simotukareさんは、この件で記事を書いておられるので、ぜひご一読を。

「ライプツィヒの夏」の記事にいろいろとコメント(2022年12月2~6日記載)

いずれにせよ『検証・真珠湾の謎と真実―ルーズベルトは知っていたか 』『真珠湾<奇襲>論争 陰謀説・通告遅延・開戦外交』はすでに読んでいるので、これからもいろいろな参考文献をあさり、よりこのブログの内容を充実させていくことを目指したいと思います。直接記関係する記事を書くかは未定ですが、今後の内容にはいかせると思いますので乞うご期待。また昨日図書館から次の本を借りました。

水を石油に変える人 山本五十六、不覚の一瞬

詐欺師がカモを引っかける場合、つまりは詐欺師は、カモが求めるものを提起します。それは時に金だったり、恋愛だったり(結婚詐欺など)、あるいは友情だったりもします。前にご紹介した、元学友のSNSにつながったらあっという間に詐欺に巻き込まれた女性は、たぶん旧交を温めるということが、彼女の求めたことの1つだったのでしょう。山本五十六には、安価な石油という話を持ち出すし、怪しい東洋医学の関係者であるS氏(≒境信一氏)は、いかにも本多勝一氏が気に入りそうな与太をさんざんほざいて、本多氏をとりこにしちゃったわけです。

けっきょくこれらの本を読めば、本多勝一氏の東洋医学の本など根本から崩壊してしまう(高橋晄正氏の著書)

S氏(≒境氏)の与太と、そんなでたらめな話をすぐ真に受けちゃう本多氏の無様で無残な姿は、またあらためて記事にしますので、こちらもご期待を願います。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 4143

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>