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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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昔(1987年)は、赤ん坊の隣で女性が(平然と)煙草を吸っていたようなシーンがあったのだなと思った(『マルサの女』)

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現在「午前十時の映画祭」で、『お葬式』とのカップリングで、『マルサの女』が上映されています(~6月8日)。ご興味のある方はご覧になってください。

それで、映画の出来うんぬん(漢字で「云々」と書く。「でんでん」と読んだ元首相(故人)がいたが、よい子の皆さんは、そのような大人にはならないように)についてはここでは論じません。私が「時代だなあ」と思ったシーンを。

つまり都内のビヤホールで、主人公の宮本信子が、1人ビールを飲んでいます。すると、現在税務調査中のラブホテル(同伴旅館)経営者の山﨑努が彼女の隣に座って話しかけるのですが、話の内容はこの際関係なし。私が「え」と思ったのが、宮本信子の隣の席に、赤ん坊がいます。彼女はその赤ん坊に微笑んだりしているのですが、その隣で煙草を吸い始めるのです。

全くの余談を書きますと、このシーンは、京橋のモルチェという店でロケーションされています(エンドクレジットでも店名が出ます)。最近は全然行っていないのですが、かつてはけっこうここで食事したものです。改装されたから、現在はだいぶ雰囲気は違うでしょうが、スタッフの人に「ここで『マルサの女』のロケーションしたでしょ」と話をさせていただいたこともあります。

それはともかく、さすがにこれは今ではありえない、全くのNGシーンだよね。『お葬式』でも出演している俳優たちがやたら煙草を吸っていました。『マルサの女』もご同様。最近80年代の映画やドラマをわりとよく見ていまして、『お葬式』は1984年、『マルサの女』は87年の作品です。80年代というのは、この伊丹作品に限らず、ドラマでも実によく喫煙シーンがあります。当時は、日本では、まだ「成人男性たるもの煙草くらい吸わなければ一人前じゃない」くらいの気風がありました。私は幸い煙草は吸わないですんでいます。

この映画よりちょっと前の1982年に放送された倉本聰脚本、萩原健一主演のドラマ『君は海を見たか』など、出演した俳優たちが、これでもかというくらい煙草を吸っています。なにしろ当時は、診察室で医者が煙草を吸っていたシーンすらあるくらいです。現在ならコンプライアンスでアウトでしょう。下の記事を参照してください。

何をいまさらだが、昔は煙草を吸うということが大人の男性のたしなみだった(追記あり)

ただ倉本聰という人は、喫煙に特殊な思い入れがある人物らしく、脚本に執拗に喫煙シーンを入れる人ではあるようです。どんだけ時代錯誤なんだか(苦笑)。

喫煙シーン検閲「たばこ描けないなら作品書かぬ」と倉本聰氏

が、大人が大人の中で煙草を吸うのは、時代背景からしてしょうがないとしても、1987年の時点でも、赤ん坊の隣で煙草を吸うのはよくないでしょう(煙草を吸うシーンでは赤ん坊の姿はオフなので、撮影時には近くにいなかったのでしょうが、設定は隣です)。これも時代ですね。

最近はドラマでも、喫煙シーンはなくなってきましたが、ただ復権(?)しつつあるという指摘もあるようですね。それは、宮崎アニメが1つのきっかけではないかという説もあります。下の記事を参照してください。

綾野剛ほか、地上波で喫煙シーン続々解禁 きっかけは宮崎アニメか

私個人は、非喫煙者で煙草は嫌いなので、ドラマなどでも喫煙シーンは好きではありませんが、撮影して公開(放送)するのなら要所要所でのシーンにしてほしいですね。『君は海を見たか』レベルの喫煙シーンの氾濫はよろしくありません。あそこまでのシーンが放送されることは、さすがにないとは思います。


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