安倍晋三が殺害されたのは、2022年7月8日です。読者の皆さまのご記憶にもあるでしょうが、彼は、2022年7月10日に執行される第26回参議院議員通常選挙直前の金曜日に、奈良県奈良市の近畿日本鉄道大和西大寺駅前付近にて行っていた当地の候補への応援演説の最中に殺害されたわけです。で、明日が、彼が殺害されてから1年ということになります。
で、安倍ときわめて近い立場にある元ジャーナリストである櫻井よしこ(彼女は、現在は完全な政治活動家でしょう)のこちらの記事はどうか。一部抜粋してご紹介。
「 「シラス」と「ウシハク」 」 | 櫻井よしこ オフィシャルサイト
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安倍晋三総理が亡くなって一年が経とうとしている。自民党がバラバラになっていきつつあるのを実感する。中心軸が消えてしまってこのままでは漂流しかねないというのは、外交・安全保障の分野においてよりも、国内問題において、より強く感ずることだ。一例がLGBT法である。2年前に浮上した時には自民党が止めた。今回再浮上した時、自民党は止められず、法制化した。
具体的に言えば、2年前は安倍氏が止めた。今回は岸田文雄首相が推進した。安倍氏はなぜ止めて、岸田氏はなぜ止めなかった、というより、なぜむしろ推進したのか。両氏の差は日本の国柄を奥深くまで知っているかどうか、日本の国柄を大切に思っているかどうかの違いから生まれるのではないか。
松浦氏の表現を借りれば「無日の心の荒野」の弊害に気付いているかいないかの違いではないか。
何を安倍のことなんぞを過大評価しているんだか。単に、bogus-simotukareさんのご指摘を借りれば、
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◆首相秘書官をLGBT差別暴言で更迭に追い込まれたこと(LGBT法に反対すれば秘書官の差別暴言がまた蒸し返される)
◆LGBT法反対運動の有力スポンサーに宗教右翼(特に統一協会)がいることが安倍暗殺で表面化したこと
◆自民党国会議員内で最もLGBT法に否定的な安倍が死んだこと(しかも安倍は統一協会醜聞を暴かれて死亡し、安倍派は後任会長を決められない惨状)
◆自民支持層ですら反対派は少ないこと
◆米英仏独の駐日大使がLGBT法成立を要請したこと
という程度の話でしょう。特に、日本でG7首脳会議を開く年に、各国駐日大使がそのような要請をしたことは、決定的ではなかったか。あと、安倍が死んだことは(当然ながら)。やはり大きな影響はあったでしょうが、安倍が現在首相だったとして、各国大使の要請を拒否できたかどうか。たぶん安倍は、こんなことに固執する意志もなかったのではないか。
というようなことを書くと、いや、安倍さんはそんな人間ではないという人もいるかもですが、安倍は彼が首相時に、中国の国家主席(中国共産党総書記)である習近平氏を国賓として呼ぼうとしましたよね。あれは、新型コロナウイルスの関係などでとん挫しましたが、それがなければ実現したでしょう。仮にそうでなかったとしても、つまりは安倍という人は、そういう人間であって、櫻井がいうほどそんなことに固執する人間でもないでしょう。また安倍は、当の櫻井を、中央教育審議会の委員に任命しましたが、再任をさせなかったのも、やはり安倍にとって櫻井が負担になっている部分があったのではないか。また、これも最近bogus-simotukareさんがコメントをくださったこちらの記事の件はどうか。
ここまで白を黒というレベルの嘘をついてどういうつもりなのか(苦笑)(日本に国籍をかえた楊海英静岡大学教授)詳細については記事を読んでいただければいいとして、つまりは、自分の側近かつ外交・安保ブレーンの人物の練り上げた習国家主席への親書を、安倍が、自民党幹事長と首相秘書官(肩書は当時)の意見を取り入れて、中国側に寄り添う姿勢のものになった(それを、外交ブレーンは激怒した)という話です。それを、某大学教授(上の記事の題名にある人)は、それは側近の書き換えである(だから安倍には全く責任はない?)とデタラメを述べているのですが、こんなの、安倍支持者、安倍信者、安倍狂信者、安倍なんかどうでもいいが安倍を支持するポーズを見せることで、右派系の中で自分の位置を保ちたいと考えている人(タイトルに出した某教授は、そうだと私は考えています)たちが、どれだけ詭弁強弁嘘800デマデタラメ、そうでなくても見て見ぬふりをしでかしたところで、安倍が中国と仲良くしたほうがいいと考えるにいたったのは明らかでしょうに。そんな人物に拘泥してどうしようというのか。いや、私は、安倍が反中をやめたのは、正しい選択だと思いますが、連中はそうは考えていないでしょう。
あるいはかつて〈2017年1月)、櫻井は、
天皇陛下の譲位、総選挙、憲法改正 国政は今秋から大仕事がめじろ押し
という記事の中で、産経新聞の当時の政治部長の言などを紹介していましたが、改憲なんぞついに実現しなかったし(ていうか、発議さえもできなかった)、当の政治部長(石橋文登)も、産経を退社する始末です。だったら櫻井は、安倍のことを「口先だけだ」と批判するべきですが、それはしない(苦笑)。どんだけデタラメな野郎なんだか。
政治部長が早期退職したのだから、産経の経営の悪さも相当なものだが、櫻井ほどの安倍狂信者ではさすがになかろう日本経済新聞のこちらの記事をどう読者はお考えになるか。
中国がウクライナ仲介に乗り出す日 安倍晋三元首相の懸念 - 日本経済新聞
会員限定記事ですので、大して引用はできませんが、
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「中国が仲介役になろうとするのを注視すべきだ。羊の皮をかぶったオオカミに惑わされてはいけない」
ロシアがウクライナへの侵略を始めて1週間ほどたった2022年3月上旬、安倍晋三元首相が取材でおもむろにこう話し始めた。「戦争が長引くのを望んでいるわけではないが」と前置きしつつ、中国への警戒感をあらわにした。
って、中国国家主席を国賓で呼ぼうとしたてめえが、そんなこと言えた義理か(苦笑)。そもそもこの時点で安倍って首相を辞任してから1年半以上たっているので、安倍にこんなインタビューをするというのも根本的に変な話ですが。ていうか、安倍ってほんとにこんなこと言ったのかという気もしますね。言ったとしたってしょせん「死人に口なし」のたぐいでしょう。bogus-simotukareさんもご指摘のように、
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安倍が今も存命で、この記事が果たして書かれたかどうか?
じゃないですかね。
そもそも安倍って、かつては自他ともに認めるプーチンと親しい政治家(と、少なくとも安倍はしていた)じゃありませんでしたっけ。そんな人物が、こんなことを(いくら少なくとも取材時はオフレコとはいえ)話すか(苦笑)。
けっきょく日経および(この記事が正しいのなら)安倍(ら)って、中国が仲介する和平なんてものは歓迎できない、軽快すべきだとか考えているんですかね? 前にこんな記事を書きました。
反中国も、こじらせるとここまで馬鹿になる日経は、サウジアラビアとイランの国交回復に関して、
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中国主導による中東の大国の和解実現は米国の指導力低下を印象づけ、長期的には世界秩序を揺さぶるリスクとなりかねない。
とまで書いていましたからねえ(呆れ)。記事の出典他は、拙記事を参照してください。一体どんだけてめえら反中国をこじらせているのかですが、これでは首相在任時の安倍のほうがよっぽどまともじゃないですか。少なくとも安倍は、存命時には、首相辞任後も、上のような発言を公然とはしなかった。しかし日経は、そんな人物の威光(?)をバックにして、自分たちの反中言説を正当化しようとしている。中国国家主席を国賓に呼ぼうとした人物をそんなことに利用してどうすると思いますが、それは日経や産経新聞、櫻井よしこらの安倍狂信者連中にとっては、「なかったこと」「見て見ぬふりをすること」「それは安倍さんの本意でない」「すべて他の政治家と役人、側近が悪い」とかいうことなのでしょう。どんだけ安倍のことを好きなんだか。馬鹿でクズにもほどがあるというものです。こんなやつらが、よく北朝鮮とかの個人崇拝を笑ったり馬鹿にしたりできるものです。日本では、安倍を称賛しなくても、左遷はあっても粛清はされないでしょう。
なお上の記事は、bogus-simotukareさんの複数の記事を参考にしました。感謝を申し上げます。またこの記事の本論とは無関係ですが、暗殺の後で私が現場を訪れた際の記事を下にリンクします。
安倍晋三が殺害された現場に行ってみた(追記あり)