過日こんな記事を読みました。
「刷り込みに近い食べ物です」「生ガキを食べる時のほうが緊張します」――鹿児島で「鳥刺し」文化が生き続ける理由
一部抜粋して引用してみます。
>日本には数百年にわたってレア状態の鶏肉を「食文化」として受け継ぐ地域がある。その1つ、鹿児島県で、鶏の生食が愛され続ける背景を取材した。
>鳥刺しテイクアウト専門店が存在する鶏肉王国・鹿児島
しかし、そんな中でも現在も鶏肉を限りなくレアに近い状態で食べる地域がある。そのひとつが独自の食文化を保つ鹿児島県だ。
>現代でも手軽に愛されているのが「鳥刺し」。その名の通り、生食の鶏肉である。
主にモモ、ムネ、ササミなどが食されるが、それぞれの肉をあぶり、魚介と同じように薄く切り、甘みや芳醇な香りを持つ「九州醤油」でいただく。薬味はおろしにんにく、おろしショウガ、青紫蘇や青ネギだ。飲食店ではタマネギスライスと共に供されることも多い。価格帯は100グラム前後で500-600円。盛り合わせのような形態で出す店もある。香ばしい皮、噛むと滲み出る旨味、コリコリとした歯応えは、肴としてもおかずとしても人気のメニューだ。
>鹿児島県内ではスーパーマーケットや精肉店をはじめ、一部のコンビニやドラッグストアまでパック詰めされた鳥刺しが並ぶ。安い物で1人前100円から販売しており、200円から400円が相場だ。比較的高い「刺身盛り合わせ」でも1000円を超えることはまずない。求めやすい価格も人気の大きな理由だ。
街には鶏肉専門店や「かしわ屋」が散見する。持ち帰り専門店まであり、こちらも廉価だ。来客は「ムネ、モモ、手羽元を100グラムずつ」、あるいは「1000円の盛り合わせを2皿」などと、慣れた口調でグラムや金額を指定して購入していく。電話で「焼きは軽めでいいから」という細かな注文を受ける店もある。どの店舗も夕方前にはほとんど売り切れてしまうという。「かごんま人ならお気に入りの鳥刺し店がある」は県民の共通認識だろう。
というわけです。いかにもおいしそうじゃないですか。
もちろんこの文化を維持するためには、いろいろと注意を怠ることはできません。記事でも、
>このガイドライン改正では表示基準目標に「生食によるリスクに関する説明」も追加されている。かねて「一般的に食肉の生食は食中毒のリスクがあること」は前提としてあったが、それを強化した格好だ。
これを受け、例えば精肉店には「加熱処理をしていますが、小さなお子様や高齢者、体調が悪いなどの低免疫状態の方が食すると、食中毒になる可能性があります」という貼り紙が、老舗鶏料理屋のメニューには同じく「お子様、ご年配の方、妊娠中の方などはタタキのお食事はお控えください」というただし書きが、それぞれ添えられている。
とあります。
私も、かつて鹿児島で鶏をいただいたことがあります。
鹿児島県に行き47都道府県を制覇した(2019年12月)(Day1-4)写真は再掲。下も同じ。ほかにも宮崎県でもいただいています。
九州新幹線と未乗車在来線を利用しての九州一周旅行(2022年9月)(Day1-3)(3)他にも複数回鶏の刺身はいただいています。
政府(厚生労働省)としては、鶏の生食は禁止したいところでしょうが、鹿児島と宮崎の独自の文化である鶏の生食を無下に禁止するわけにもいかず、慎重な対応をすることによってOKにしているというところなのでしょう。Wikipedia鶏刺しにも
>鶏肉の生食による食中毒の事件が発生しており、その危険性が指摘されている。 畜産生物科学安全研究所では「鶏肉は新鮮でも菌が付着していることがある。基本的に生食は避けるべきだ」と指摘しているものの厚生労働省は規制をしておらず、鶏刺しによる食中毒事件が毎年500件発生している。これらの状況から厚労省審議会が規制検討をしている。
とあり、さらに鹿児島県・宮崎県における鳥刺しとして、
>鹿児島県、宮崎県での鶏刺しは、生食用肉を使用した「刺身」、或いは皮付きのまま表面を炙って薄切りにした「たたき」として食べられる。両県では食中毒を防止するため、独自の基準を設けている。鹿児島県ではまな板および包丁は専用のものを使うことや、器具を温湯により洗浄消毒すること、鳥の内臓を傷つけないように解体する等と言った県独自の厳しい衛生基準「生食用食鳥肉の衛生基準」を設けており、それをクリアした施設で調理されたものが店頭で売られている。宮崎県においても独自に「生食用食鳥肉の衛生対策」を定めている。
また鶏刺しを扱う事業者も、低温の維持、表面の加熱、まな板・包丁の頻繁な交換、細菌検査といった食中毒予防対策を実施している。
と記されています(注釈の番号は削除)。しかしもちろん100%大丈夫というわけではありません。2021年の宮崎市のHPより。
>令和3年11月末現在、宮崎市では飲食店を原因施設とするカンピロバクター食中毒が4件発生しています。
そのうち2件は、11月中に立て続けに発生しており、調査の結果、いずれも加熱用の鶏肉を生食用として客に提供したことが判明しています。
>営業者の皆様へ
・加熱用鶏肉を生食用として提供してはいけません。
・生食として提供する場合は、生食用として処理されている鶏肉を確認して仕入れましょう。
・生の鶏料理(刺し身、たたき等)は、コースメニューに盛り込まず、客の求めに応じてその都度提供しましょう。
・生の鶏料理(刺し身、たたき等)は、免疫力の弱い幼児や高齢者、健康に不安のある方には提供を控えましょう。
・調理器具や従事者の手指等を介した食品の二次汚染を防ぐために、器具の洗浄・消毒及び手洗いを確実に行いましょう。
というわけで、注目すべきは、
>生の鶏料理(刺し身、たたき等)は、コースメニューに盛り込まず、客の求めに応じてその都度提供しましょう。
というところですね。つまり客が注文したときに出せ、客の自己責任の部分もあるという意味合いでしょう。またこのような怖い記事もあります。
法で禁止されていない「鶏の生食」は非常に危険 消費者はどう考えて“レアメニュー”のリスクを避ければいいのか?
実際私も、地元の肉屋へ行った際、生の鶏を食べたという話をしたら、それは怖いと店主から言われてしまったくらいです。なお、鹿児島市出身のグルメな音楽家の方が発表したこちらの記事はなかなか参考になるのでよろしければお読みください。「鶏」「鳥」と表記に揺れがあるのは、オリジナルなので乞うご容赦。
鶏刺しは危険なのか?その安全対策は?鹿児島「地鶏の元」峯元社長に聞いてみた
鳥刺しが鹿児島から送られてきたので食べた|危険?あたるの?その安全性は?
鶏刺しを鹿児島で食べた!危険?大丈夫なのか?法律はどうなってるの?
で、なぜこんな記事を突然発表したかというと、生で鶏を食べるというのもなかなかうまいと思ったからです。しかしやはり鹿児島や宮崎以外で生の鶏を食べるのも危険でありリスクがある。そういうことをあらためて認識したいと思ったからという部分もあるわけです。つまり鹿児島県と宮崎県は、独自の衛生基準を定めて、慎重に対応している。しかしそれでも食中毒は発生しているので、ある程度評価のあるところで食べたいということです。
というわけで、当地を旅行なり仕事なりで行かれる方におかれましては、胃腸に自信があり、体調もよく、食べる気のある人はぜひお召し上がりになってください。なかなかの味だと思います。ただし危険なところもあることはご承知のうえで。
ところで私宮崎県を訪問するのは卒業するつもりでしたが、また生鶏をいただきたいので再度行くこととしました。行ったら、いつとは言えませんが、また記事にします。