一昨日このような記事を発表しました。
日本の社会は、安倍晋三が殺されるまで統一協会と本気で向かい合おうとしなかった(ジャニーズの問題などもご同様)タイトルにもありますように、ジャニーとメリーの両巨頭が死ぬまでアンタッチャブルであり続けたジャニーズと同じく、けっきょく安倍晋三が殺害されるという最終的な事態にならなければ、日本の社会は統一協会という宗教団体にまともな対応をできなかったということを論じた記事です。
それで、ほかにも似たようなことは言えるかと思います。こちらの記事を。
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百田新党「10月17日結党」ネット番組で発表 トリガー条項で「岸田政権は財務省の言うがまま」 著名人からエールも
2023.9/1 11:43
ベストセラー作家で保守論客としても知られる百田尚樹氏と、ジャーナリストの有本香氏は1日、2人のネット番組「ニュース生放送 あさ8時!(あさ8)」で、保守新党「百田新党(仮称)」の結党日を「10月17日」と発表した。党名はその前にも明らかにするという。1日未明には、新党のSNSアカウントも開設した。
「10月17日に(新党を)結党します」「おそらく、その前に記者会見もやります」「あと46日間、皆さんとカウントダウンをしたい」
有本氏は1日の「あさ8」で、こう宣言した。
1日未明には、X(旧ツイッター)に「百田新党(仮)」の公式アカウントも開設された。最初の投稿には、「まだ仮名ですが、何卒よろしくお願い申し上げます。カウントダウンをご一緒にお願いします」とつづられていた。
プロフィル画像には、有本氏が「百田新党」が目指すものを記した夕刊フジの連載「以読制毒」の紙面(8月31日の1面)が使われていた。
連載では、新党結党の理由を以下のように書いている。
《自民党がもはや保守政党ではないことは明らかだ。むしろ、世界で初めて、LGBTに特化した法律を強引に成立させた自民党は、世界で最もリベラルな政党だ》
《中国の暴挙に実効的な対抗策を講じる意思は見られない》
《現在の日本政界は、「なんちゃってリベラル政党」だらけだ。早急に、保守の旗を立て直し、その政策の発信源となるプラットフォームがいる》
百田氏は1日の「あさ8」で、ガソリン高騰の中、税の一部を軽減する「トリガー条項」の発動を見送る岸田文雄政権について、「財務省の言うがまま」「まったく減税など考えていない。国民から金を取ろう、取ろうとしている」などと語った。
著名人からも激励が寄せられている。
全身がんで闘病を続ける「高須クリニック」の高須克弥院長は8月31日夜、自身のXアカウントに「のんびりしてはダメ。これからの日本を担う若者、百田尚樹先生に保守老人かっちゃんからエール」と書き込んだ。
イスラム思想研究者で麗澤大学客員教授の飯山陽(あかり)氏も同日、自身のXに、「(滞在していたタイの)バンコクで何人もの日本人に『百田新党、応援してます!』と言われ、びっくりしました!」と反響の大きさに驚いていた。
この記事は、夕刊フジのサイトZAKZAKからです。ってことは、さすがに産経新聞が公然とこの党結党を支持することは(現段階)避けるとしても、「夕刊フジ」でならこのようなパブリシティの記事を出すのも辞さないということなんですかね。たぶんそうなのでしょう。
で、現状「日本保守党」という名前を名乗ることになったこの政党が、選挙で1議席でも獲得するのは難しいのではないかと思いますが、こちらの表紙を。
支持するとして名を連ねている人たちを見ると、
見城徹 井沢元彦 篠田英朗 一色正春 飯山陽 川淵三郎 島田洋一 織田邦男 早坂隆 門田隆将といった人たちです。だいたいにおいて「いかにも」な連中ばかりですが、どういう人間かは、興味のある方は、ご自分でご確認ください。飯山は、上の記事でも登場していますね。産経新聞の常連執筆者の1人です。百田尚樹や有本香も、いうまでもなく極右の人間であるのは間違いない。しかし門田とか井沢とか拙ブログでもおなじみの島田なら、とくに何とも思いませんが、川渕三郎氏は何を考えているんですかね? さすがに彼が、こんな連中とかかわるほどの非常識な人間だとは私は思っていませんでした。川淵氏の経歴を見ると、彼のWikipediaには、
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2011年6月、東京都教育委員に就任。(2012年11月22日退任)
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2012年11月、東京都教育委員を退任し、東京都知事選に出馬する猪瀬直樹選挙事務所の選対本部長に就任
とあり、石原都政を強く支持していたりその後継者の熱心な支援者だったのかもしれませんが(勝馬に乗っただけなのかもしれませんが)、さすがにこんな政党の支持者に名を連ねるということとは、次元が違うでしょうに。晩節を汚したのかそれとも本音があらわになったのか。呆れたものです。bogus-simotukareさんがお書きになっているように、
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川淵を除けば「政財官界等の大物」は一人もおらず、これで良くも島田も大言壮語できるモンです。
それにしても「石原都政で教育委員を務める」など、川淵が右寄りだとは知っていましたが、「他の連中」はともかく、まさかこんなモンを公然と応援するほど、川淵が非常識だとは思いませんでした。俺も川淵を過大評価していました。周囲に川淵をたしなめる奴はいないのか。
もはや川淵も「JR東海・葛西」と同じで、周囲(サッカー協会等)にとって死もまた社会貢献である(葛西敬之の死についての感想。あと三村会頭の発言になんとなく「ほめ殺し」の雰囲気を感じる) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)なのか?
というレベルではないか(拙記事までご紹介いただいて恐縮です。また注釈の番号は削除させていただきました)。
ほかにたとえば篠田英朗など、「ちくまプリマ―ブックス」という中高生向けの新書にも複数執筆していますからね。大人むけの「ちくま新書」にも書いている。こんな極右政党を公然と支持している人間に、少年少女対象の新書本なんか複数書かせていいんですかね(苦笑)。たぶん筑摩書房に篠田を好きな編集者がいる(そして篠田本もわりと売れている?)ということなのかもですが、次に筑摩から本を出すのであれば、「こんなやつの本そんなに出していいんかよ」と苦情のメールでも出そうか(笑)。もっともさすがにこんな事態では、筑摩も起用に慎重になる可能性はあります。
そういった話はともかく。百田とか、有本、見城、島田、早坂、門田など、彼らは公然と安倍晋三を支持していたかと思います。すくなくともこの連中が、安倍を批判したのを私は見た記憶がない。あるいはしたのかもしれませんが、あったとしてそれらは右翼の立場として、「安倍さんはもっと中国に厳しい態度を取ってほしい」という苦情のようなものでしょう。たぶんそれらは、ほとんどされなかったもしくは皆無でしかないでしょう。
で、そういった安倍晋三にやたら甘いあるいは徹底的に支持していたような連中が、極右新党を結成したりそれを支持したり、それを安倍晋三をこれまた絶対支持していた新聞社の系列タブロイド新聞がパブ記事を掲載するというのは、これは安倍が死んでいなければありえない話です。安倍がガンとかである程度の闘病期間を経て死んだのならまた覚悟というか、ポスト安倍の準備みたいなこともあったかとおもいますが(ただ安倍という人は、自分が首相退任後に自分のイデオロギーを引き継がせる「ポスト安倍」を育てるということをついにしませんでした)、あのような暗殺という突然死というのが、この連中をこういった行動に駆り立てたというのは間違いないと思います。bogus-simotukaresさんも拙記事(安倍とジャニーズの記事)へのコメントで、
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果たして百田が「日本保守党」なんてバカを始めたかどうか。
とお書きになっています。たぶんそうはならなかったと思います。つまりは、山上徹也被告による安倍殺害は、日本の歴史を変えた、大きな影響を及ぼしたということなのでしょう。それまたどうかですが、ともかくかつて私が
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おそらくですが、今回の安倍晋三殺害は、今後の日本がどのような道を進むとしても、かならず「あの事件がなければ」といわれること(に)なるかと思います。
と指摘したことが、やはりそうなったということなのでしょう。なお青字の「(に)」の部分は、原文の表記ミスを補ったものであることをお断りしておきます。
今月中に、安倍晋三が殺害された現場に行くことにしたそれにしてもいくら首相在任期間が歴代最長という大物とはいえ、元首相が殺害されたらいろいろな変化が生じるって、つまりは日本の民主主義というのは、その程度のものだということなのでしょう。これまたひどい話だと思います。そして、これなんか私には本当に信じられないのですが、第二次安倍政権は選挙でも勝ちましたが、内閣支持率も、ポスト安倍の菅とか岸田とかいう人たちよりだいたいにおいて高い水準を保っていた。私は支持していないんだから私にはなんら責任のない話ですが、ともかく日本人の多くが、程度の差はあれ安倍(政権)を支持していたこととなる。なんともお寒い話です。
なおこの記事を書くにあたって、引用したbogus-simotukareさんの記事と拙ブログにくださったコメントを参考にしました。感謝を申し上げます。