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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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契約金はもらえたからよかったが、しかしJR東日本の社員という立場を捨ててよかったかは微妙ではないか

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先日の記事を。


巨人の大型右腕が戦力外に、高校時代は山本由伸とともに「九州四天王」、1軍登板はなし
2023.10.05

巨人は5日、2019年ドラフト2位で入団した太田 龍投手(れいめいーJR東日本出身)などの育成6選手に戦力外通告を行った。

6名は太田のほか、高田 竜星投手(遊学館ー石川ミリオンスターズ出身)、奈良木 陸投手(県立府中ー筑波大出身)、阿部 剣友投手(札幌大谷出身)、山本 一輝投手(県立東郷ー中京大出身)、保科 広一外野手(遊学館ー創価大出身)。

太田はれいめい時代、1年春からベンチ入り。甲子園出場はかなわなかったものの、山本 由伸(オリックス)・梅野 雄吾(ヤクルト)・浜地 真澄(阪神)と共に「九州四天王」と呼ばれ、将来が期待された選手だった。

しかし、ここまで1軍の登板はなく、2022年のオフに育成契約となった。190センチの恵まれた体格を誇る本格派右腕の今後が注目される。

この記事で取り上げたいのは、太田龍という人です。当方野球に詳しくないので、この件の記事を読んだとき「太田龍? どっかで聞いた名前だな」と思いましたが、それは別人です。あちらの方は、「竜」ですね。ペンネームだから、どうだっていいのですが。

記事にもあるように、ご当人高卒でJR東日本に入社、19年ドラフトで巨人から2位指名、3年支配下登録されて、23年は育成契約、そして戦力外となったわけです。

JR東日本出身ということで、前に書いたこちらの記事を思い出しました。

ご当人のお考えはまた違うのかもだが、結果論としてはその決断は間違ってはいなかったようだ

その記事で取り上げた山口裕次郎は、2016年のドラフト会議で北海道日本ハムファイターズから6位指名を受けましたが、本人4位以下の指名の場合は入団を拒否する姿勢を示しており、JR東日本に入社。現段階(2022年のドラフト会議まで)最後のドラフト指名されて入団を拒否した人物となっています。山口は、その後高卒社会人としてドラフト会議に指名されることはなく、2022年をもって24歳の若さで引退(社会人野球では「勇退」という)しています。つまりは、高校時代の輝きを失っていたということでしょう。故障もあったかもしれない。そして山口と太田は、2人とも1998年の同じ年の生まれである同級生です。

太田は、入団1年目の2020年に1軍に昇格しましたが、登板に恵まれずついに1軍で投げる機会に恵まれませんでした。ドラフト2位で期待されていたのですがね。

活躍できなかったのは仕方ありませんが、JR東日本をやめて飛び込んだプロ野球の世界で、4年の現役で戦力外というのは、育成契約の時点で半戦力外の言い渡しを受けたようなものですからご当人も覚悟していたでしょうが、やはり悔しいでしょうね。給料がものすごくいいわけではありませんが、JR東日本という日本を代表する大企業を捨ててプロ野球に入って、それで活躍できなかったわけですから。

無論太田は、Wikipediaから引用すれば、


11月7日に契約金7,000万円、年俸1,200万円で仮契約を結んだ(金額は推定)。

というわけで、税金で相当差っ引かれるとはいえこれは「夢の金」と言っていいと思います。が、活躍できれば「勝ち組」でしょうが、最後の1年目は育成契約で4年で戦力外というのでは、これではプロになってよかったといえるかどうか。本人はプロになってよかったと思っているでしょうが、トータルで考えると、あまり感心したものでもない。以下は少々極端な事例かもですが、例えばこちらの方々はどうか。

元プロ野球選手のセカンドキャリアの関係もふくめていろいろ考えさせられる(入来智氏の事故死によせて)

入来智は、プロ野球引退後、上の記事で引用した記事を再引用しますと、


プロ野球界から引退後、転職回数は10回

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当時入来氏は浪費や離婚による慰謝料などで野球選手時代の貯金は底をつき、故郷・宮崎に戻ってもコンビニのアルバイトや酒造メーカーでの短期雇用など日銭を稼ぐその日暮らし。たまたま聡子さんが経営する美容室の前を通りがかったことで再会し、再び交際に発展。結婚することになった。

 次に入来氏が就職したのは聡子さんの兄が家業を継いで経営する仕出し弁当店。子宝にも恵まれ第2の人生を歩み始めたが、2年後に店を飛び出すことになる。から揚げの揚げ方など弁当作りで細かく注意されることが耐え切れなかったのだという。

 入来氏は「自分の中で野球やってたプライドも多少あるんですよ、やっぱり。心の調整ができなかったです」と当時を心境を口にし、聡子さんも「俺様を何だと思ってるのよ、みたいな。俺は入来やぞ、みたいな感じのところがすごく出ていた」と夫の姿勢を振り返った。

 それから仕事もせずに聡子さんの美容室に入り浸るようになる入来氏。その体たらくを見かねた聡子さんは大きな決断をする。「美容室を辞めた方がお互いに2人で頑張っていけるのかなって思って思い切って辞めました」。

 大きな起爆剤を与えられても入来氏はなかなか定職につけないまま。せっかく見つけた住宅メーカーの営業職も一時は精を出していたものの1年で退職してしまった。

 どうすれば夫は第2の人生をまっとうに歩めるのか。悩み抜いた聡子さんは「あの人は私がいない方が、ひとりで頑張れるのかもしれない」という結論に至る。そして離婚話を切り出すと、入来氏はかたくなに拒否。「野球しかしてこなかったから…。野球以外に何していいかわからない」と、これまでの苦しみや胸のうちを全て吐露し、号泣した。

という始末です。甘ったれるのもいいかげんにしろと他人ごとであっても言いたくなるようなレベルですが、けっきょく彼は、介護職をしながら交通事故で亡くなりました。彼も高卒後、三菱自動車水島に入社した後プロに入りましたが、これではプロ野球なんぞ行かなかった方がよかったのではないか。さらにこちらはもっとひどい。ロッテ・オリオンズで速球派投手として活躍した小川博です。

「現実を検討する能力が著しく劣る」というのは、ろくでもない人生を送る人間に共通するところなのだと思う

詳細は記事をお読みいただくとして、小川はギャンブル依存症となり、ついには、強盗殺人までしでかし無期懲役となり現在服役中です。生きて出獄できるかも怪しい。Wikipediaによれば、


両親の反対を押し切って入団した

とのこと。どういう理由で彼のご両親がプロに入るのを反対したのはか知りませんが、たぶん小川の人間性を見たうえでの判断だったのではないか。彼は大卒→プロですが、社会人野球でもしてその後も会社勤めをしていれば、たぶんですが、さすがにここまでひどい人生は送らなかったのではないかと思います。いや、もちろんわかりませんが。

さすがに入来兄や小川は極端すぎますが、話は野球に限りません。先日報道されたこの件はどうか。


宝塚歌劇団員死亡、自殺か 理事長が「哀悼の意」
2023年10月1日 23時05分 (共同通信)
 
 兵庫県宝塚市のマンション敷地内で9月30日、宝塚歌劇団(宝塚市)に所属する俳優の女性(25)が死亡していたことが1日、捜査関係者などへの取材で分かった。県警によると、現場に争った形跡がないことなどから、自殺の可能性があるとみて調べている。
 また宝塚歌劇団の木場健之理事長は1日、宝塚バウホール(宝塚市)で開催された「宝塚舞踊会」の開幕前、観客に向けて「劇団員の死に関する報道があった。謹んで哀悼の意を申し上げる」とあいさつしたという。
 県警によると、女性は宝塚市湯本町のマンション敷地内の花壇に倒れており、近隣住民が9月30日午前7時ごろに110番。マンション最上階の18階に女性のかばんが見つかった。
 宝塚歌劇団は「複数の出演者の体調不良が判明し、公演実施が困難」として、1日の宝塚大劇場での宙組公演「PAGAD(パガド)」「Sky Fantasy!」を中止していた。2日は休演日で、3日以降については改めて発表するとしている。

記事には名前は出ていませんが、これは「有愛きい」という人です。お名前でググった結果です。

彼女の自殺の理由はここでは考えないとして、親御さんほか身内・友人・知人などからすれば、自殺までしなくても・・・というところでしょう。これでは宝塚なんか入らなければ良かったということになる。彼女の人生最良の日は、宝塚音楽学校に合格した日でしょうが、彼女もたぶん宝塚に入らなければ自殺はしないですんだ可能性が高い。ある程度選手としての実績がある入来兄や小川はまた違うかもですが、太田龍はあきらかにドラフト会議で指名された日が人生最良の日でしょう。大学に合格した日、就職先の内定をもらった日が人生最良の日である人は多いでしょうが、あくまでそれはスタートの日でしかありません。厳しいので有名な大阪府立消防学校の主任教官が、初任科の修了式の日に大要「今日がゴールじゃないぞ」と大阪府の各消防の新人隊員(この時は、大阪市の消防隊員は、大阪市の消防学校で初任科を独自に訓練していました。現在は、府立消防学校て初任科訓練をしています)に訓示していましたが、ともかくそれは、一つの節目ではあっても最終的な目標ではない。あるいは、議員の初当選の日なども同じようなものかもしれませんね。

日本じゃないと思った・・・2007年に私が印象にのこった言葉

だいぶ話がいろいろなところに飛びましたが、やはり「人生万事塞翁が馬」という古典的な言葉を思い出しますね。歴代最長期間首相を務めた人物が、恨みを買って暗殺されることもある。また自殺となると取り返しがつきませんし、小川もまさに、あとにもどれなくなるぎりぎりの線を越えてしまいましたが(『カリートの道』での主人公のセリフ)、そこまでいっていない他の人たちは、ご当人しだいでどうにかなるでしょう。入来兄も、けっきょく自分のわがままでいらない苦労をしていただけです(ご当人があるかもしれない(私はあるのではないかと考えています)発達障害の問題などは、ここでは論じないこととします)。太田も山口も、今度どういう人生を生きるかは、本人が切り開けるのみです。ここは、ぜひ頑張ってほしいと思います。やはり


現実を検討する能力が著しく劣る

人生は送ってもらいたくないなと考えて、この記事を終えます。


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