櫻井よしこがまたまたすごい記事を書いていました。もちろんほめているわけではない。
皇位継承安定化に必須の学習院再生タイトルだけでだいたい内容は想像できちゃいますし、またそれが正しいのがなんとも(呆れ)。
>
このような問題意識を持って、10月6日、「言論テレビ」は竹田恒泰氏と評論家の江崎道朗氏を招いて学習院問題を論じた。学習院は江戸時代後期、孝明天皇の時代に皇族の子弟のための学校として発足した。明治、大正、昭和を通して宮内省の直轄学校だったが、敗戦でGHQの大鉈に切り刻まれた。まず皇室から切り離され、学習院は単なる民間の一教育機関となった。それまで皇室の資金で支えられていたのが、他の教育機関同様、文部省(文科省)の予算を貰うようになった。一方、戦後の風潮の中で学習院の教育は左傾化していった。そしていま、学習院はかつての姿をほとんど失い、ただの私立の、それもかなり左傾化した学校となっている。竹田氏が語る。
「なぜ左傾化したか。理由のひとつがGHQの政策です。GHQは日本弱体化には国柄の土台を崩し、日本を精神的に骨抜きにすればよいと考えた。第一の標的が皇室だったのは明らかです。皇族を教育する学習院、皇室及び日本国の歴史の真髄を研究する皇學館大学、國學院大學も同じです」
学習院が左傾化したなんて言う事実はありませんが(「左傾化」でなく、まともな大学になったということです)、それがそのまま今日まで続いているのは、つまりは大筋で学習院もそれでいいと考えているということです。それは国民もおなじでしょう。皇室だってそうです。当たり前じゃないですか。
だいたいこれ、上の引用にも名前が出てくる江崎道朗が以前にした「講話」(苦笑)と同じじゃないですか。内容は、下にリンクした拙記事を参照していただければいいとして、賛否以前にそもそも
>
占領軍の上部組織である極東委員会は1946年7月2日、「日本の新憲法についての基本原則」を決定、皇室民主化の方針が打ち出された。その結果、①国政についての発言権が剝奪され、②新皇室典範は憲法の下位に置かれ、③「宮中・府中の別」は否定され、④皇室自律主義も否定された。
これに伴い、明治時代から整備されてきた皇室関係法令、具体的には皇室令80件、付属法令38件が廃止された。当時の政府は独立回復後、関連法令を再整備するつもりであったが、結局は政府や議会の怠慢で再整備されずに今日に至っている。
いったいどれだけ頭が時代錯誤なのか(そんなん日本の安全保障と何の関係もないじゃん。また秦郁彦と田村秀男の堕落ぶりもすさまじい)という意見は、世間でどう考えられているのか。江崎および「国家基本問題研究所」界隈は、だからそれを「再整備」しなくてはいかんという考えなのでしょうが、それ現実性があるのか。怠慢とかいいますが、つまりはそんなことは当時も今も、役人にも保守系政治家にも、「どうでもいいこと」「過去のこと」「不要不急」「自分以外の誰がかやってくれればいい(しかしやらないでもかまわない)」ということでしかありません。中曽根康弘とか安倍晋三とか、国家基本問題研究所が好む首相の時代も、長期政権ではありましたが、そんなことに連中は手を出さなかった(内心はどうだか知りませんが、たぶんそんなことに興味はなかったでしょう)わけです。そういうことを国家基本問題研究所の連中は意図的に無視していますが、中曽根とか安倍とかいう人たちですら全くといっていいほど手を出さなかったことを今後できるのかです。できないでしょ、そんなこと。
それにしても「左傾化」ねえ(苦笑)。でさあ、こんなことはいまさら書くことでもありませんが、こんなこと言われたって学習院だって迷惑でしょうに。学習院の関係者も一般国民も、たとえば学習院大学の、文科省から宮内庁への管轄移管とか(連中が希望しているのは、つまりはそういうことでしょう)など、そんなことを支持するのか。役人や国会議員で、本気でそんなことをどうにかしようと考えている人がいるのか。学習院の中にも、特異な右翼や天皇至上主義者(篠沢秀夫みたいな人)もいるでしょうが、そんなのは少数でしょうに。宮内庁への管轄移管なんて、そんなことが可能なのか。不可能にもほどがある、馬鹿も休み休み言えというレベルでしょ、こんなの。
>
学習院は日本の国柄の基である皇室の藩屏を教育する機関だった。将来、日本を背負っていく責任感と素養を重視した。そのためには初等、中等教育が最も大切なのだ。
「皇室を知る、天皇を知る、日本を知る、そういう授業を組む。初等科から入って、高校を出たら立派な日本人であり、堂々たる皇室の藩屏だねと、みんなが認めるようなカリキュラムが必要です。もう一つ、学習院には日本研究の核となる皇室関係の貴重な資料をはじめ、膨大な歴史資料があります。日本のことを学ぶのに最適な大学が学習院なのです。そのことを前面に出し、世界中の日本研究者に選ばれる大学になることです。そこに本当に日本を守りたいという気概を持っているご家庭のお子さんが入る。そういう本来あるべき姿に戻すことが、学習院が息を吹き返すための最大の鍵なのです」
学習院の再生は皇室及び日本の安定に欠かせない要素なのだ。
そういうことを主張する櫻井(慶應義塾大学中退・ハワイ大学卒)も竹田恒泰(慶應義塾大学卒)も江崎(九州大学卒)も学習院には通っていないのですが、それはともかく。
そもそも前天皇(現上皇)が、米国人女性(エリザベス・ヴァイニング)に教育を受けたり、現天皇が旧敵国である英国(オックスフォード大学)に留学しているなんて状況で(ちなみに現天皇の奥さんは、日本と米国でほぼ半々の期間教育を受けている)、そんなのはまったくの過去の話であり、いまさらそれをどうしようかなんて、まさわに時計の針を逆回転させるようなものでしょう。だいたいいずれ天皇になるであろう悠仁親王は、進学先として東京大学や東京農業大学、筑波大学などが取りざたされて、学習院に進学するという話は現段階聞こえてこない。実際にどこの大学に進学するかはわかりませんが、ともかく皇室→学習院に進学しなければならんという時代ではない。現天皇直系である愛子内親王は学習院大学に通っていますが、東京大学ほか他大学への進学も取りざたされたし、小室眞子や佳子内親王は国際基督教大学(ICU)に進学している。佳子さんは学習院大学を途中退学してICUに入学しており、2人とも高校までは学習院です。どういう事情で2人が、ICUを進学先に選んだのかは知りませんが、本来神道の総元締めであるはずの天皇家の人間ですら、他宗教を建学や教育理念としている大学に進学するのも、今日ではOKということです。そんなご時世にこんなことを堂々と述べるなんて、どれだけ頭の中身が時代錯誤なのか。
櫻井は、
>
左翼勢力も同様に考えた。結果、学習院や皇學館、國學院などは執拗に攻撃され、左翼系の学者達が入り込んだ。たとえば福島瑞穂氏は学習院女子大の客員教授を11年間も務めた。また、佳子内親王が最初に入られた学習院大の文学部教育学科では一時期、第二外国語は中国語と韓国語しか選べなかった。
とまで書いていますが、うんなん櫻井や竹田、江崎レベルの右翼ばっかり教員として雇ったり非常勤や客員で雇用したら学生だって嫌がって入学しないでしょう(苦笑)。親も高校の教員も、そんな大学行かせたがりません。学習院の偏差値が落ちます(笑)。だいたい日本のリベラル系憲法学者の第一人者である芦部信喜氏は、東京大学を定年退官した後学習院大学の教授になりましたが、芦部氏が教授になったので「よし、学習院で芦部先生に学ぼう」と考えた学生は多いはず。「安全保障関連法に反対する学者の会」発起人である教育学者の佐藤学氏も、東京大学を退官した後学習院に行きましたが、これだって実力や見識が認められたわけであり、学習院だって芦部氏や佐藤氏に専任教員になってもらえたのは大変な誇りでしょうに。でもこの連中にとっては、許しがたい学習院の堕落・裏切りなんでしょうね。どんだけ馬鹿で非常識なんだか。
しかしこの文章、竹田や江崎レベルの極右活動家ならこれくらいのものを書いて発表しても不可解ではありませんが、いちおう元(現在の彼女はジャーナリストじゃないでしょう)ジャーナリストの肩書を持っている人間の書く代物じゃありませんね。つまりは、櫻井は竹田や江崎なみの極右政治活動家だということです。たださすがに竹田や江崎は、「週刊新潮」には(現段階)連載はしていませんが、櫻井はねえ(苦笑・呆れ)。
この記事は、bogus-simotukareさんの記事からヒントをえました。感謝を申し上げます。