前にこんな記事を書きました。
今年は、4人(あるいはそれ以上)の死刑が確定するかもしれない(今後は、あらたに1年でこれだけの数の死刑囚が確定することは当分ないのではないか)それでその記事でご紹介した新聞記事を再引用します。今年の6月の報道を。
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自宅で妻子3人殺害の元警察官 10月に最高裁弁論
2023/6/14 17:34
福岡県小郡市の住宅で平成29年、妻子3人を殺害したとして殺人罪に問われ、1、2審で死刑判決を受けた元県警警察官の中田充被告(44)について、最高裁第3小法廷(長嶺安政裁判長)は10月24日に上告審弁論を開くと決めた。2審判決が死刑の場合、最高裁は慣例として弁論を開く。
直接証拠はなく、弁護側は「外部による犯行の可能性を排除できない」などと無罪を主張した。
令和元年の1審福岡地裁の裁判員裁判判決は、3人の死亡時間帯に外部からの侵入形跡がないことから外部犯の可能性を否定。「3人の命を奪った結果は重大」として、求刑通り死刑判決を言い渡した。2審福岡高裁も支持した。
そして、本日が、その10月24日です。弁護側と検察の弁論がされ、後日判決期日が指定され、たぶん1か月後くらいに判決が出ます。重大案件ですのでめったなことはいえませんが、おそらく上告は棄却され、死刑が確定する公算が高い。
私は死刑反対論者ですので、中田被告への死刑判決やその可能性がある死刑確定に賛成するものではありませんし、現状弁護側は冤罪を訴えていますが、それはここでは問わないとして(申し訳ございません)、これはこの事件に限った話ではありませんが、人を殺す前に、そんなに長い時間でなくても冷静になれればいいんですけどね。私が繰り返し取り上げている「宮崎家族3人殺害事件」だって、殺す直前に多少なりとも冷静になれれば、家族3人を殺すということにはならなかったでしょう。家を出るくらいで話がすんだはず。たぶん今回の事件の中田被告も、「殺すことはない」という結論に達したでしょう。世の中殺人事件といってもいろいろですが、家を出て行けば話が済む程度のことで、殺人という最終的かつ究極の手段で解決(成敗)してしまったのは、被害者は当然のこととして、加害者にとっても、加害者・被害者の双方の周囲の関係者にとっても、本当に不幸な話です。もちろん死刑事件に話は限りません。
世の中特異な犯罪者みたいな人もいます。シリアルキラーとか一度に多数の人を殺害する事件など。性犯罪の常習者や殺害をふくむ悪質な犯罪者などそういった人物は正直どうしようもないというレベルですが、宮崎の事件や中田被告、あるいは誘拐事件の犯人などは、その多くは、そんなにものすごく悪質な人間ではないでしょう。死刑になるような重大犯罪をした人物であっても、みながみな、まったくどうしようもない悪質な犯罪者であるということでもないと思います。そういう人たちは、だいたいにおいて精神的に強度に追い込まれている人たちなのでしょうが、やはり殺す前にほんの少しでも落ち着くことですね。いま殺さなくても、明日殺すこともできます。明日は、また同じことを考えればいいのです。たいていの人間はそうしているのでしょう。もちろん話は、死刑に値するような殺人事件に限りません。先日記事を書いた、佐賀県で両親を殺してしまった九州大学の学生(犯行時)も、殺す直前にちょっと冷静になれれば、たぶんあそこまでの事態にはならなかった。
裁判員裁判というのも、重刑・厳刑のために導入されたわけではない(当たり前)(再説)本来なら痴漢とか盗撮、窃盗(万引き)なども、犯行する直前に「こんなことしたらやばい」「自分の人生台無しになる」「やらなくても生きていける」とか考えられればいいのですが、依存症の人間は、それでは犯行をおしとどめられません。が、殺人となると、一部の性犯罪などをのぞけば(性犯罪一般がそうですし、特に連続する殺人が伴う事件は、おそらくなんらかの依存状態にあると考えます。小平事件や大久保清事件、福岡3女性連続強盗殺人事件など。以上の事件は、犯人は全員死刑を言い渡され執行済み)その多くはたぶん依存ということではないと思いますので、思いとどまることは可能です。というわけで、殺人予備軍の方々は、ぜひ殺す前に1分、いや10秒でも冷静になって殺すのをやめてほしいと思います。殺すより、逃げるなどはるかに良い解決方法はいくらでもあります。あえていえば、殺されてしかるべき人間なんてこの世にはいませんが、あなたが殺そうとする人間はおそらくそのほとんどは、殺す価値すらもありません。