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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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これもけっきょく暴力の連鎖だと思う(NPB安楽智大の暴力と宝塚歌劇団などの不祥事)

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やや旧聞で恐縮ですが、プロ野球選手である東北楽天ゴールデンイーグルス所属である安樂智大(以下面倒につき、引用を除いて「安楽」と新字体で表記します。乞うご容赦)が、球団内でいろいろよろしからぬことをしたということで、球団側から来年度の契約を更新しない(自由契約とする)という措置を受けました。いろいろ報道されていますが、Wikipediaから引用すれば、


2023年11月25日の朝に複数のメディアが安樂のパワーハラスメント加害疑惑を報じた。報道された内容は以下のとおり。

「アホ」「バカ」など、日常的な後輩選手への暴言や人格否定
後輩選手を食事へ誘う際、1か月先の予定を聞いて何度も参加を強要する行為
食事会の参加を断る回数が多い選手には態度を豹変させ、断った日の深夜に執拗に電話をかける・翌日にあいさつを無視する・「罰金」と称して金銭を強要するなどの行為
球場のロッカールームにて、若手選手を逆立ちさせて身動きが取れない状態にし、ズボンとパンツを脱がせ、露出した陰部に靴下を被せて笑いものにする行為
2021年の春季キャンプ中に選手(報道時点で楽天を退団済み)の頭部を平手でたたいた暴力行為

というものです。注釈の番号は削除します。

正直「これ刑事事件だよなあ」と言わざるをえないもの(ロッカールームの件なんて、一発通報でしょ)があるので、楽天球団側の契約更新せずという判断も当然というものでしょう。で、これ球団フロントだって、選手からの訴えがある前からある程度把握していたんじゃないのとか、一部有力選手が安楽を止めるべきだったとか、いろいろ考えなければいけない部分がありますが、この記事ではその件については触れないとして、やはり安楽という人物は、高校生の時代からよろしからぬところがあったようですね。つまり安楽が在籍していた高校でのトラブルです。


済美いじめ「悪質」1年間対外試合禁止
[2014年9月10日7時1分 紙面から]


 日本学生野球協会は9日、都内で審査室会議を行い、2年生6人による1年生19人への悪質な部内いじめがあった済美高(愛媛)に、8月9日から来年8月8日まで1年間の対外試合禁止処分を科した。1年間は対外試合禁止処分としては最も長い期間で、来春センバツはもちろん、来夏の甲子園出場も絶望となった。

 済美高は春夏の甲子園に通算6度出場し、春は優勝と準優勝、夏も準優勝の実績がある強豪。4月末以降、2年生が1年生に対して、恒常的に顔や腹部などへの暴力を振るい、被害部員が19人と多かったことも、重い処分につながった。

 主ないじめは

 ◆カメムシ事件

 4月の練習試合中、2年生2人と1年生1人がボールボーイ役を務めた。2年生1人が1年生に対してもう1人の2年生にちょっかいを出して怒らせるように指示。怒った2年生が、棒で拾った死んだカメムシを食べるか、灯油を飲むかの選択を迫り、1年生はカメムシを3秒間口に含んで、吐いた。

 ◆ケンカ事件

 5月31日の練習前、2年生4人が1年生同士でケンカをさせることを発案。順番に7組ケンカさせ、「もっと強く殴れ」などと指示した。主導した4人のほか、2年生5人が傍観していた。

 他にも練習中の態度などを理由に、尻をバットでたたいたり、至近距離から硬式ボールを投げ付けたりと日常的に暴力を振るった。レギュラー組が遠征時などが多く、日本高野連・西岡宏堂審議委員長は「悪質で、根が深い」と言った。

 同校野球部には、ドラフト1位候補の安楽智大投手(3年)が所属していた。8月初旬に問題が発覚してから活動を自粛し、秋季愛媛大会への出場を辞退。今月2日には、04年センバツで初出場初優勝に導いた上甲正典監督(享年67)が、胆管がんのため死去した。

記事にもある上甲正典監督は非常に厳しい指導で知られており、まあはっきり言って鉄拳制裁を辞さないタイプだったのではないか。また彼は、Wikipedialから引用すれば


初戦の三重との試合の前の取材では、「球数の問題はプロでもよくいいますね。でもそれは日本の伝統ある高校野球にはそぐわない。肉体の限界を精神力で乗り越える。武士道精神のような厳しさもまた高校野球だと思います」と述べていた。同大会において、地方大会から甲子園敗退まで全イニングを安樂に投げさせた采配などが、高校球児の登板過多問題の一例として一部で取り上げられることもあった。

と発言したくらいで、つまりはかなり古色蒼然とした指導者、生徒にも無茶をさせる人物だったと思われます。そもそも済美高校という高校自体もともと女子高で、2002年度から男子も入学し、その前年の2001年に


同年9月10日に野球部の創部とともに初代監督に就任することが発表された。

というわけで、つまりはこの高校の野球部は、まさに上甲監督の力がすべてだったと思います。なにしろ部の卒業生すらいなかったのだから、あらゆる部分が彼の力によるものではなかったか。そしてそういう高校で上の引用でご紹介した不始末が生じたとなれば、つまりは監督の影響がきわめてその背景にあったと解釈されても仕方ないでしょう。こういっちゃなんですが、上甲監督が絶対そういうことを許さないという態度で接すれば、そんなことが起きるわけがない。

上の不祥事は2年生がしでかしたということで、安楽自身は不問でしたが、「いや、安楽だってかかわっていた」という話もある。そのあたりの真偽はともかくとして、やっぱり彼のプロ(NPB)になってからしでかした不祥事というのが、上に引用したような代物で、とてもまともな大人がするようなものではないということは、高卒でプロに入った彼の高校時代の影響の故でしょう。彼だって、おそらく上甲監督や諸先輩の薫陶(?)を受けなければ、ここまでひどいことはしなかったのではないか。

それで先日私、『拝啓天皇陛下様』という映画を観ました。兵隊作家である棟田博の原作で、野村芳太郎監督の作品です。渥美清が無学な主人公を演じ、長門裕之が兵隊仲間のインテリ兵を演じていました。役名は「棟本博」で、つまりは程度の差はあれ原作者の棟田氏自身を投影しているということでしょう。で、軍隊に入ったら、2年目の古兵(西村晃がさすがの演技を見せてくれました)からいじめられます。古兵が満期となり、二年兵になった渥美と長門らは、今度は新年兵をいじめるわけです。これは、軍隊での毎度おなじみの年中行事でしたが、これだって、西村だって、渥美も長門も、さらには同じく同年兵を演じた桂小金治も、そのほとんどは軍隊以外では、そんな無茶はしないはず。これも暴力・虐待の連鎖です。

そして、これは宝塚歌劇団も同じでしょうね。これも先輩らから代々受け継いでいるよろしからぬ伝統がひどくなった。けっきょく昔ながらの時代錯誤な育成システムや公演システムが継続され、しかし公演数の増加する一方、待遇面の改善が進まず、労働強化は悪化したという側面が大きいはず。ギャラなどでも、団員に要求する労働量は増えて、待遇は安いままという歌劇団側のいいとこどりという側面があり、そして先輩→後輩のラインでの、指導という名の暴行、パワーハラスメントも、代々受けついだということでしょう。

そう考えると明治大学野球部の島岡吉郎監督の指導を受けた星野仙一(彼は、島岡監督から体罰は受けなかったとのことですが)がやたら「鉄拳制裁」とかマスコミから面白おかしく報じられたり、柔道の小川直也が明治大学柔道部でひどいしごき(という名の虐待)を受け、で、ご当人が主将になったら、後輩の吉田秀彦をめちゃくちゃしごいたとかいう話もあるわけで、やはりこれも虐待の連鎖です。

そうとなると、宝塚歌劇団のいろいろな闇の部分を、誰かが食い止めることになりますが、はたして宝塚歌劇団の新理事長らは、どれくらいできますかね。今の代ですべて解決するということも難しいでしょうが、やはり可能な限りのことはしないといけません。それなりのやる気があるかどうか。

旧統一協会やエホバの証人なども、やはり二世以降の信者らが過去に受けた虐待の後遺症により自分の子どもらに虐待をしてしまっているという残念な現実もある。ほかもそうですが、エホバの証人などは、子どもへのムチ打ちをかつてはやたら信者にしろしろと言っていたくせに、問題となったら「それには組織は関与していない」と、うそ八百で逃げるのだから、お話にもなりません。遺憾ながらこのような組織に自浄作用はない。けっきょく被害を受けたご当人と外部が何とかしなければいけないのですが、これもどれくらいできるか。いろいろ考えさせられます。


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