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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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ネパール人がロシア兵としてウクライナで戦死するなんて世も末の極致だが、無茶な戦争というのはそういうものなのだろう

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先日の記事を。

ロシア軍に雇われるネパール人 その実態は?

記事の冒頭を引用します。


ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシア軍。

これまでに30万人以上の兵士を失ったとする分析もありますが、それでもなお激しい消耗戦を繰り広げています。

その前線で相次いで確認されているのが、兵士として雇われる外国人の存在です。

なぜロシア軍に外国人が加わっているのか。“供給地”の1つとなっている南アジアのネパールで、その実態を取材しました。

(ニューデリー支局記者 山本健人 / 国際部記者 野原直路)

詳細は記事をお読みいただければいいとして、一部抜粋して引用します。


そのネパールで、ロシア軍に雇われて兵士となる人が相次いでいます。

ネパール政府は去年12月、その数は少なくとも200人以上に上ると明らかにしました。また、すでに12人の死亡が確認されているということです。


ネパールの平均月収をはるかに上回る、日本円にして30万円余りの月給がもらえることを条件にロシア軍に雇われて兵士になったというのです。

さらに、1年間の兵役でロシア国籍を申請することができることや、戦闘が激しい地域に配属されれば、さらに高い給料がもらえるとも話していました。


こうした中、ロシアのプーチン大統領はことし1月、「ロシア軍などと1年間契約した外国人とその家族は、ロシア国籍の申請手続きが簡素化される」と発表。

長引く戦闘で、兵士不足に陥る中、外国人を兵士として雇い、兵力の増強を進める思惑があるとみられています。

今年の1月初旬私タイのバンコクにあるスワンナプーム空港から香港に向かって出国した際、私が利用した香港エクスプレスの発着ターミナルの近くにアエロフロートが駐機するターミナルがありまして、帰国するロシア人たちが大勢いました。彼(女)らの中には、非ロシア人もいるでしょうが、私が見た人たちはほぼみな白人でした。非白人のロシア国籍と思しき人物は、私の見た限りでは確認できませんでした。いたとは思いますが、あまり見かけませんでした。

もちろんこのロシア人たちはそれ相応に裕福な人たちなのでしょうが、つまりは海外で遊んでいられる人たちもいるということと、外国から前線の兵隊をスカウトして国籍取得などのエサで釣るということが表裏一体なわけです。

で、これは米軍などもご同様。白人の裕福な人間の子弟なんて、徴兵制がある時代だってめったに前線なんか行きはしないし、一兵卒で行ったら『プラトーン』や『ペリリュー・沖縄戦記』の著者であるユージーン・スレッジのように、それ自体がネタになるようなものです。軍隊に行ったって安全な勤務になるし、前線だって幹部の扱いになる。日本だって、「学徒出陣」なんて言葉もあったくらい学生は徴兵を猶予されたし、また陸軍海軍の経理学校のようなところへ行って、より安全な立場に立つことも可能でした。もちろん下士官にすぐなったはいいが、それまでに過酷な私的制裁があったりもしたし、危険な戦場に行ったり特攻隊で突っ込んだ兵士もいましたが、たとえば海軍経理学校卒業者には、中曽根康弘、神奈川県知事だった長洲一二、検事総長だった伊藤栄樹などそうそうたる人たちがいるわけです。いずれにせよベトナム戦争の米軍兵士は、最前線で戦う兵士は黒人が多かったし、白人はプワーホワイトの出身者が多い。現在なら、ヒスパニックが多く前線にいるでしょう。

で、現在戦争で最前線で戦っているロシア兵たちも、人口比からすれば、統計学的有意差をもってロシア系でなく、非ロシア系の人間が多いはずです。裕福なロシア人や学生などは、これからまた状況は変わるかもしれませんが、現段階あまり前線には行っていないでしょう。ようするにそういう連中を戦場に引っ張り出すよりネパール人とかを国籍取得の便宜などをネタにして軍隊に引き入れることの方が、現在とるべき道ということなのでしょう。米軍も、外国人の国籍取得について、兵役で便宜を図っているはず。

考えてみればフランスの外人部隊も、Wikipediaから引用すれば、


入隊から3年以上が経過し、税金を滞納することなく、フランス国籍取得の申請手続きが通ればフランス国籍を取得できる。近年には、戦闘で再起不能の負傷をした者は契約満了を待たずにフランス国籍が与えられることになっている。

というわけで、フランス国籍の取得が、外人部隊入隊のエサのわけです。実際には訓練も非常に過酷なので、だいたいみんな逃げちゃうのですが。

そうこう考えると、けっきょく軍隊というのは、貧乏人、大して教育もない人間のための悪くない就職先であり(公務員ですから、身分保障もあるし、労働災害などにも手厚い)、さらに危険な戦場には、危険手当もふくめて銭や国籍取得などのエサで釣るということなのでしょう。昔は、一銭五厘とかのめちゃくちゃな徴兵がまかり通っていましたが、昨今はさすがにそれはできない。日本でいう防衛大学校とかを出る幹部などはもちろんわずかですが、そうでない人たちにもそれ相応のアフターケアはあります。日本政府が、遺族や傷病軍人たちに膨大な年金を払ってきたことなどはその一環です。そうでもしないとみんな戦争に行ってくれない。

そうなると、ネパール人がロシア兵としてウクライナで戦死するなんてのはまさに世も末にもほどがあるというものですが、しかしそういった構図は昔からのものであり、21世紀の今日でも変わらないということなのでしょう。まさにグルカ兵からの伝統? 詳細はWikipediaをご参照。 日本だって、現段階戦争が起きるというものでもありませんが、今後どうなるか分かったものではない。そういえば以前拙ブログで、バングラデシュ独立戦争の際に、インドにいる亡命チベット人部隊に関して、


亡命チベット人部隊がインドから出撃し、バングラデシュ独立運動にかかわった


インドに亡命していたチベット人たちは、1960年代、ゲリラとしてしばしば中国国内に潜入していました。その彼らが、バングラデシュ独立戦争にも参加していた

といった話を肯定的に紹介している愚劣さを思い出しました。それ完全な、パキスタンへのインドの不当な干渉じゃないですか。この話が事実ならですが、いくら半世紀以上前の話だとしても、とても肯定して紹介できるようなことではないでしょうに。どれだけ非常識なのか(呆れ)。つまりは汚れ役を外国人にさせたということでしょう。さすがに率先してチベット人がそんなことをしたということはないのではないか。拙記事を引用すれば、


そのようなことを「悪い」「問題がある」とは考えていないんでしょうね。むしろ「そういうことをした亡命チベット人たちは立派だ」とでも考えているのでしょう。そうでなければこんな話はしないし、こんな文章も書かないでしょう。どんだけ馬鹿で非常識なんだか。

ということかと思います。

そんな話は、称賛したり自慢したり嬉々として紹介するようなものではない

NHKの記事のラストは、次のようにまとめられています。


“供給地”は25の国と地域 3000人に
ロシア軍に加わる外国人はネパール以外の国からも確認されています。

NHKが各国政府の発表や報道などをまとめたところ、その規模は、少なくとも25の国や地域から、およそ3000人に上ることがわかりました。

▼中東のシリアが最も多く2000人以上、▼ネパールと中央アジアのキルギスが少なくとも200人、▼キューバが少なくとも199人以上、▼中央アフリカがおよそ150人などとなっています。

イギリスの公共放送BBCも、ロシアの独立系メディアと行った調査で、多くがアフリカやアジア、それに中米などの新興国や途上国の人たちだと伝え、実際の死者は「はるかに多い」とも推定しています。

プーチン政権は、3月の大統領選挙に向けてロシア国民の追加動員を避けるためにも、外国人を軍に勧誘する動きを強めているものとみられますが、ネパールだけでなく中米のキューバや中央アジアのカザフスタンなどの友好国からも反発がでています。

貧しい人たちが豊かな生活を求める気持ちにつけ込まれ、見知らぬ土地で命の危険にさらされながら戦っている実態。

ロシアによるウクライナ侵攻の影響が、経済的に脆ぜい弱な途上国の人々にまで及んでいる悲しい現実の一端を示しているように感じました。

そういうことです。戦争というのは、弱者が前面に立つことが多く、国内でまかなうより外国人をスカウトしたほうが政治的にもさまざまなコストの面からしても有利であると判断されればそこまでするということです。まったくもってひどいものです。

なおこの記事は、inti-solさんの記事に投稿したコメントをもとにしています(コメント自体は、inti-solさんの記事の趣旨とは、必ずしも対応していません)。inti-solさんありがとうございます。


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