記事を。グラフも同記事より。
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去年の出生数75万人余で過去最少を更新 「今後さらに減少か」
2024年2月27日 19時46分
少子化対策が進む中、去年1年間に生まれた子どもの数が、さらに減っていることがわかりました。
前年より5.1%減少し、75万8631人(速報値)。統計開始以来、過去最少を更新しています。
結婚の件数も減少していることから、専門家は「今後さらに減少する可能性がある」と指摘しています。
8年連続で出生数減少
厚生労働省によりますと、去年1年間に生まれた子どもの数は、外国人なども含めた速報値で75万8631人で、前の年より4万1097人、率にして5.1%減少しました。
出生数が減少するのは8年連続で、統計開始以来、過去最少になりました。
日本人の出生数は、戦後の第1次ベビーブーム期(1947年~49年)に大きく増え、1949年に最多の269万6638人が誕生しました。
いったん減少したあと、第2次ベビーブーム期(1971年~74年)の1973年には209万1983人が生まれました。
しかしその後は減少に転じ、2016年には97万7242人とはじめて100万人を下回り、その後も出生数は減り続けています。
国立社会保障・人口問題研究所が去年公表した予測では、日本人の出生数が76万人を下回るのは、2035年と推計していて、想定より10年以上早く少子化が進行しています。
一方、去年1年間に死亡した人は、速報値で159万503人でおととしより8470人増えて過去最多となりました。
(以下略)
いろいろな考えや意見はあるかもしれませんが、「やっぱり」「予想通り」のたぐいじゃないですかね。実にいろいろな報道がされていますが、日本の出生率が上がって行く予兆なんてかけらもありません。で、お隣韓国もひどい。記事を。
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韓国の出生率 去年0.72 過去最低を更新 8年連続で前年下回る
2024年2月28日 19時48分
韓国では去年1人の女性が産む子どもの数の指標となる出生率が0.72と過去最低を更新し、少子化に歯止めがかからない状況が続いています。
韓国統計庁は、28日の会見で、1人の女性が産む子どもの数の指標となる「合計特殊出生率」が、去年、0.72だったと発表しました。
おととしの0.78から0.06ポイント下がって過去最低を更新し、8年連続で前の年を下回りました。
また、去年1年間に生まれた子どもの数も、およそ23万人で過去最低となり、10年前と比べると半分近くまで減少しています。
韓国統計庁は、結婚しても子どもを産まない人が増加傾向にあることなどが、出生率低下の要因だと指摘していて、ことしの出生率はさらに下がり、0.7を割り込む可能性もあると推計していると説明しました。
韓国の出生率はOECD=経済協力開発機構の加盟国中、最も低い水準となっていて、少子化に歯止めがかからない状況が続いています。
今後も少子高齢化が加速していくとみられる中、ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領は、「これまでとは違う次元で原因と対策を講じなければならない」と危機感をあらわにしています。
また、与野党はことし4月の総選挙に向け、いずれも少子化対策を公約の柱の1つとしてアピールしていて、実効性のある対策を国を挙げて進められるかが課題となっています。
50年後の推計人口は“4割以上減少”も
韓国統計庁はおよそ50年後の2072年までの推計人口を試算した結果を、2023年12月に発表しました。
韓国の人口は2022年の夏の時点で5167万人ですが、試算によりますと「合計特殊出生率」が0.6から0.8程度で推移した場合、2072年には人口が3017万人となり、4割以上減少するとしています。
また、2036年に出生率が1を回復するとするシナリオの試算でも、2072年には3622万人と、およそ3割減るとしています。
一方、平均寿命は今後も伸びて高齢化率も増加していくとみられ、0.6から0.8程度の出生率が続いた場合、65歳以上の高齢者の割合は2072年に51.2%となり、国民の半数以上が高齢者になると試算しています。
出生率低下要因 結婚しない人の増加や晩婚化進む
韓国で出生率が低下している要因の1つとして、結婚をしない人の増加や晩婚化が進んでいることが指摘されています。
韓国では、結婚に伴って住宅の購入が必要という考え方が根強くありますが、この数年で不動産価格が大きく上昇し、購入は容易ではありません。
また、賃貸住宅も、日本円にして数百万円から数千万円をまとめて支払う韓国特有の保証金の制度があり、結婚を考える若い世代には大きな負担です。
さらに若者の厳しい就職事情もあります。
韓国では大企業と中小企業の賃金格差が大きく、待遇のよい企業を目指す若者は厳しい競争にさらされます。
大学卒業後も希望の職に就けないまま、就職活動に何年も費やし、経済的に不安定な状況が続く人は珍しくありません。
このほか、学歴重視の傾向が強い韓国では子どもの塾通いなどが過熱し、教育費が家計の収入を上回るエデュプア=教育貧困ということばまで登場していて、過度な教育費も少子化の一因と指摘されています。
30代の未婚率は2020年に男性で初めて5割を超えて50.8%となりました。
また、女性は33.6%で、およそ30年前の8倍以上に上っています。
少子化対策 日本円で30兆円余投入も
韓国では、2005年に少子化対策の法律が制定され、韓国政府は2006年からこれまでに280兆ウォン、日本円で30兆円余りを対策に投じてきました。
このうち、子育て世帯の負担軽減策として2013年から0歳児から5歳児までの子どもを対象に、所得制限のない無償保育が実施されました。
2018年には6歳未満の児童に対し、毎月10万ウォン、日本円にして1万円余りを支給する児童手当の制度を始め、その後、所得制限は撤廃されて、対象も8歳未満の児童に拡大されました。
また、育休に伴う給付金として両親が3か月ずつそれぞれ育休を取得した場合、月に最大で300万ウォン、日本円で30万円余りを支給する制度がおととし始まり、ことしになって給付期間は半年ずつに延長されました。
このほかにも公立保育園の拡充や時短勤務の両親に対する給付金、それに新婚夫婦を対象にした住宅提供などの支援策が実施されていますが、出生率の低下に歯止めがかかっていません。
ユン・ソンニョル大統領は去年3月の少子化対策会議で「科学的根拠に基づいて少子化対策を冷静に見直し、失敗した原因を把握しなければならない」と述べていました。
少子化めぐり 女性にも兵役課す選挙公約も
韓国では、ことし4月の総選挙に向けて、与野党が少子化対策を公約として、それぞれ前面に押し出しています。
与党「国民の力」は、出産に伴って父親に1か月の有給休暇を義務づけることや育休中の給付金拡大などを掲げています。
また、最大野党「共に民主党」は、新婚夫婦への新たな融資制度を創設し、出産した子どもの数に応じて利子や元金の返済を免除するとしています。
少子化をめぐっては、兵力の減少に伴う安全保障への影響も懸念されていて、韓国で現在、徴兵制の対象になっている男性だけではなく、女性にも兵役を課す公約も登場しました。
この公約は、選挙を前に結成された新党の代表が発表し、警察や消防などの採用試験を目指す女性を対象に、軍の服務を義務づけるとしています。
韓国国防省の報道官は、先月30日の定例会見で公約について見解を問われると「女性の徴兵制を検討したことはない。社会的な合意が必要であり、慎重な検討や決定がなされなければならない」と述べました。
女性の徴兵制をめぐっては3年前、大統領府のウェブサイトに女性も徴兵の対象にするように求める請願が書き込まれると、サイト上で30万人近くが賛同を示し、話題を呼びました。
韓国の公共放送KBSは今月公表した世論調査で女性の徴兵制について尋ね、▽賛成が54%、▽反対が34%でした。
また、回答者のうち女性では▽賛成が43%、▽反対が40%でした。
ソウルの若者からは経済面での不安を訴える声
韓国の出生率が過去最低を更新したことについて、ソウルで若者に聞いたところ、住宅価格や子どもを育てる費用など、経済面での不安を訴える声が多く聞かれました。
このうち、30代の女性は「子どもを産んだらお金がかかりすぎるので、結婚や出産をみんな諦めているようだ。出生率はもっと下がるのではないか」と話していました。
18歳の男子高校生は「高齢化が深刻になる中で、出生率の数値は衝撃的だ。住宅価格が高かったり、子どもを育てるのにお金がかかったりするので、結婚や出産が難しいのではないか」と話していました。
25歳の就職活動中の男性は「国が発展するためには青年層が多くいなければならないのに、出生率が下がれば減るので非常に残念だ。物価が高いし、ソウルに住宅が集中して住宅価格も高騰しているので、結婚も出産も難しい」と話していました。
37歳の男性は「私の周りで適齢期なのに結婚していない人が多く、私も同様だ。仕事などが優先されて結婚や出産をしようと思えないのではないか。外国の事例も参考にしながら、効果のある政策実行を通じて子どもを産める環境を作っていくべきだ」と話していました。
一方、21歳の女子大学生は「少子化についてふだん考えたことがなくあまり関心がない」とことば少なに話していました。
専門家 “社会全体で意識を変えていく必要”
韓国の少子化対策に詳しいニッセイ基礎研究所のキム・ミョンジュン(金明中)上席研究員は「韓国は、昔のように頑張れば成功できる社会ではない。ビッグデータの分析によれば、韓国の若者は結婚や出産よりは1人で暮らすことを楽しんでいるほか、結婚しても子どもを産まない人が増えている」と指摘します。
そのうえで、「財政支出だけで出生率が改善されないことは、韓国も日本も今までの政策から分かってきたはずだ。なぜ若者の意識が変化しているのか徹底的に分析をしてから対策を取る必要がある」との見方を示しました。
また、「日本と韓国は、特にほかの国と比べ育児と家事を担当する時間が男性に比べて女性のほうが多いのが事実だ。平等に育児と家事をする社会に変える必要がある」と述べました。
さらに、「現在では、結婚をして子どもを育てるだけでなく、結婚をせずに子育てをしたいなど、家族のあり方が多様化している。すべての子育てをする世帯が同じ制度を利用できるようにする政策が必要だ」として、社会全体で意識を変えていくことが必要だと指摘しました。
長い記事ですが、全文引用させていただきました。合計特殊出生率が0.72ってことは、10人女性がいて、1人でも子どもを産む人は7人てこと? 複数の子どもを産む人もいますから、現実にはこれを下回る率ということになります。このままでは、0.7を割り込むのではないかという指摘もあります。
ところで割合少子化にある程度ブレーキがかかっている国というイメージもあったフランスも、どうも景気の悪い話が出ていますね。産経新聞の記事より。
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恋愛大国にセックスレスの波 フランス出生数が戦後最低 温暖化で若者「産まない宣言」も
2024/2/21 01:00
三井 美奈
フランスといえば「アムール(愛)の国」。恋多き国民を手厚い家族手当が支え、欧州一の出生率を誇る。それが昨年、出産件数が戦後最低水準に落ち込み、「いったい、なぜ?」と衝撃が走った。国を挙げての大論争から、セックスレスの進行が浮き彫りになった。地球温暖化への不安から「子供を産まない」と宣言する若者もいる。
フランスの合計特殊出生率(女性が生涯に産む子供数の平均)は昨年、1・68になった。かつては2以上あったのに、この10年は下降カーブに歯止めがかからない。出産数は67万8000人で、15年間でほぼ2割減った。
統計が今年1月に発表されると、マクロン大統領は記者会見で「人口再強化」を宣言。ただちに、育児休暇の取得を促すための制度改革を公約した。
(以下有料プラン限定。まさか産経新聞に、銭を払うわけにはいきません)
フランスの人口は、外務省のサイトによると、
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約6,804万人(2023年1月1日、フランス国立統計経済研究所)
とのこと。日本国の人口が、2023年9月の確定値で1億2434万8千人とのことで、ということは若干タイムラグがありますが、フランスの人口は、日本の54.7%くらいであり、それに対して出生数は、日本の89%くらいであり、となるとやはりだいぶフランスの出生数は多いですね。なお韓国は、上の記事の人口数は2022年時点で5167万人とすると、日本の42%弱であり、出生数は、30.3%ということになり、確かに少子化が深刻です。
で、東南アジアなども少子化が進んでいます。読者の皆さまの中には、タイなどは今でも多産の国とお考えの方もいるかもしれませんが、タイの人口は、2028年がピークという統計を政府機関が出しています。「世界経済のネタ帳」さんからのデータをいただきますと、1990年に2.1を切り、93年に2を下回っています。2028年の人口減という予測が正しければ、1974年に2.05となり人口置換水準(TFR=2.1)を切り2008年に人口減少のトレンドが確立した日本とだいたい同じスパンで、人口減少トレンドになるということです。参考までに日本とタイの、合計特殊出生率の推移のグラフを。「世界経済のネタ帳」さんから作成しました。年によっては、日本の方がタイより出生率が高いくらいです。
ブラック・アフリカなどはまだ出生数が大きくなっていますが、これもいずれは2を下回り、人口減のトレンドに入るのでしょう。世界的に人口は減るというトレンドは避けられないと思います。以前こんな記事を書きました。
やはり儒教文化圏の国々は少子化になりやすいのだろう中国の人口減が発表された際に書いた記事ですが、その記事で私は、次のように指摘しています。
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それで私の思うに、なんとなく、合計特殊出生率の低下というのは、人間があまりに個体が多くなりすぎることを防ぐ神のプログラムのような気すらします。いや、別に私は「神」なんてものを信じているわけでもありませんが、けっきょくそういうことになるのではないか。「豊かな社会(生活)」というものと「子どもをたくさん産み育てる」というのは、人間にとってまったく相容れないものであり、そのあたりを調整するのは、人間にとってできない相談というものなのでしょう。
日本、韓国、フランスあるいはタイの状況は、まさに上の記事で私のいう「神のプログラム」、この記事のタイトルにした「神の見えざる手」じゃないですかね。人間が豊かさを追い求めていき、それがある程度の実現を達成したことは、人口減ということと表裏一体だったわけです。それらに対して人類は、これといった対応ができていない。今後もできないんじゃないんですかね。けっきょく移民を受け入れるといったゼロサムゲームを世界中でするくらいが関の山ではないか。そしてやってきた移民も、やはりあまり子どもを産まないようになるのでしょう。まさに人口が際限なく増えることを防ぐ神の見えざる手ではないか。そう考えると、逆に人間社会というのは、逆説的な言い方ではありますが、わりとうまくできているなと思います。人口が増えすぎて人類が滅ぶとまではいわずとも重大なダメージを受けることへの抵抗という意味合いが、期せずして生じたということなのかもしれません。
ところで最近、地方では、仕事の有無の問題もあり、若い女性の東京への流出割合が男性より高いという指摘がよくニュースなどでもされていますが、しかしその若い女性が集まる東京が、都道府県別合計特殊出生率では一番低い(苦笑)。これじゃあ出生率なんか向上するわけがない(当たり前)。
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合計特殊出生率がもっとも高いのは沖縄県で、もっとも低いのは東京都である。2019年のデータを見ても、1位は沖縄(1.82)、そして47位は東京(1.15)である。ランキング上位の県には、沖縄以外にも九州地方の県が多く見られる。一方で、下位に目立つのは関東・近畿の大都市圏だ。
ということです。都市の方が合計特殊出生率が低いのは、世界どこでもそうでしょう。なおロイターの記事によると、
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出生率は首都ソウルが0.55で最も低かった。
とのことで、ってことは、半数強の女性くらいしか子どもを産まないってこと? で、世界的に都市化も進んでいるしなあ。