前回の記事の続きです。
日本で、この何十年かで自民党(と、連立後は公明党)が、過半数を取れずに負けた選挙というと、だいたいこのようなものですかね。以下時系列です。
第15回参議院議員通常選挙(1989年)
第40回衆議院議員総選挙(1993年)
第18回参議院議員通常選挙(1998年)
第21回参議院議員通常選挙(2007年)
第45回衆議院議員総選挙(2009年)
青字にした選挙が、政権交代となった選挙です。93年の選挙に関しては、「政権交代の名に値しない」という意見も多いかもですが、自民党政権が短期間とはいえ下野したのは事実なので、(当然ながら)政権交代が実現した選挙ということになります。日本はそもそも衆議院で与党となった政党が政治を牛耳りますから、当然ながら衆議院で勝たないと、政権は握れません。ただし1989年と2007年の参議院は、その後の政権交代のさきがけにはなりました。
98年の選挙は、直接政権交代に関与したとは言えませんが、07年の選挙は、09年の政権交代とワンセットの選挙であることは確かかと思われます。で、89年の選挙も確かに93年の選挙の前段ではありますが、しかし翌90年1月に行われた衆議院選挙では、自民党は過半数を確保しています。512議席中275議席を取っています。当時は中選挙制度でしたが、自民党には3,000万票以上が投じられました。これでも86年の選挙より20議席減らしています。で、89年の参議院選挙で自民党が選挙区で得た票が1,750万票弱、比例が1,530万票強です。つまりこの時の自民党への低投票数は、有権者が自民党へお仕置きをしたというものではないか。たかだか半年くらいで1,250万人の有権者が自民党への投票に回帰したのですから。つまりは、この時期の自民党は、それくらいの手厚い支持層をもっていたわけです。投票率の低減もあるので一概には言えませんが、2021年の衆議院選挙で自民党が得た票は、選挙区が2,730万票、比例が1,880万病、22年の参議院では、選挙区で2,060万票、比例で1,825万票です。そう考えれば、先日の衆議院補選で自民党が敗北、不出馬により議席がとれなかったというのも、それに近い性質があるのではないかと私は考えます。
で、2021年の選挙では、事前の世論調査では、自民党が苦しいのではないかという予想がもっぱらでしたが、実際には自民党が15議席を減らしたとはいえまずまずの結果と評され、野党第一党の立憲民主党の代表が辞任となったわけです。
自民党が予想以上に強かった理由についてはいろいろあるでしょうが、やはりトップ(総裁≒日本の首相)のすげ替えが大きな原因でしょうね。菅義偉ならいやだが、岸田文雄ならまだましくらいな。で、選挙があったのが21年10月31日であり、それから2年半でこの始末ですからねえ。画像の引用は、こちらより。
自民党を勝たした2年半後にこのざまですか。日本の有権者ってどんだけ馬鹿なんですかね。いや、自民党岩盤支持層にそんなこといったってしょうがないし、私は自民党に投票していないんで関係ないんですが、でもおそらく1千万人とまではいいませんが、数百万人の有権者が、実に安易に自民党に入れてしばらくしたら、「岸田はだめだ」なんていっているんでしょうね(苦笑、いや笑ってすむことではない)。こんなことでは自民党が喜ぶだけです。このままでは、例えば選挙の直前に石破茂あたりが自民党総裁(=首相)になったら、また自民党が勝つなんていう毎度おなじみの構図になるんじゃないのという気がします。もちろんどうなるかはわかりません。
英国はたしかに今度の選挙で労働党が勝つ可能性がきわめて強いのでしょうが、日本ではこのような前科が多々ですので、「どうせ首相が変わったら嬉々としてまた自民党に投票するんだろ」という予測を現段階しています。いや、別にこんな予測が当たってほしいわけでもありませんが。