このブログで2回記事を書いた死刑判決の事件の最高裁の判決が下りました。私の書いた記事は、こちらとこちら。Wikipedia もあります。報道された記事を。読売新聞の記事です。
>宮崎の家族3人殺害、26歳被告の死刑確定へ
宮崎市で2010年、妻子と義母を殺害したとして殺人罪などに問われ、1審の裁判員裁判と2審で死刑判決を受けた無職奥本章寛(あきひろ)被告(26)に対し、最高裁第1小法廷は16日、上告を棄却する判決を言い渡した。
死刑が確定する。山浦善樹裁判長は「家族から自由になろうという身勝手な動機で、子どもを浴槽に沈めて窒息死させるなど犯行態様も残虐だ」と述べた。
裁判員裁判の死刑判決が最高裁で確定するのは2例目。1、2審判決によると、奥本被告は10年3月、同居の義母(当時50歳)の叱責などに嫌気がさしたことなどから、自宅で寝ていた長男(同5か月)を殺害後、妻(同24歳)と義母をハンマーで殴り殺した。
上告審では、1審で死刑を求める意見陳述をした遺族の一人が「死刑を望まない心境に変わった」とする上申書を提出。弁護側は「裁判員裁判をやり直すべきだ」と主張したが、判決は上申書には言及しなかった。判決後、弁護人の黒原智宏弁護士は「現在の遺族感情が考慮されなかったのは残念だ」と話した。
2014年10月16日 19時58分 Copyright © The Yomiuri Shimbun 最高裁の弁護人は、2審の弁護士と同じ方ですね。つまりは、国選でないのでしょう。 YouTubeの動画もどうぞ。宮崎家族3人殺害事件 奥本被告の死刑確定へ(14/10/16)
上の報道だけでは何とも詳細がわかりませんが、被告人(厳密にはまだ確定していませんが、事実上確定したから今後は「死刑囚」とマスコミなどでは呼称されることになります)がこの凶悪な事件を犯す最終的な引き金になったのは、義母との次のようなやり取りだったようですね。 >今年2月23日、被告の故郷で雄登ちゃんの初節句をすることを巡って、貴子さんと口論。その際、貴子さんから頭をたたかれ、被告の出身地を差別的な言葉で中傷されたことや「離婚したければ離婚しろ。慰謝料をがっつり取ってやる」などと言われたとも語った。 詳しいことは、これだけでは判断できませんが、つまりは被差別部落かなにかの関係の暴言が吐かれたということでしょう。単なる出身地の悪口くらいなら、ここまで重大な事態にはならないはず。 この事件に死刑判決が下った最終的な理由は、義母だけでなく奥さんと子どもまで殺害するに至ったことです。もちろん義母だって殺すなど論外ですが(もし本当にそのようなことを言ったのなら、殺す価値もない人間でしょう)、いずれにせよ最悪の解決策をこの人物は取ってしまったわけです。 この人物に、これといった前科はないようですし(元自衛官です)、そう考えると、私が以前に記事にした「最悪の誘拐殺人事件」同様、その日にちょっと冷静になれれば、その日に変な気まぐれを起こさなければ、おそらくこの事件は起きなかったし、被害者の少年と誘拐犯人(死刑が確定し執行済みです)も死なずに済んだし、義母も奥さんも子どもも死なないで済んで、この人物も死刑が確定しないで済んだわけです。たぶん誘拐事件の死刑囚も、死刑執行の日まで「あの日がなければ・・・」と後悔したでしょうし、それは遺族も同じです。今回死刑が確定した人物も、 >事件については「後悔しております」。「夢であってほしいか?」と聞かれ、「毎日……、毎日思っています」と涙した。 と地裁で語っています。 冷静になれば、いくらなんでも人なんか殺すまではいたらなかったでしょうが、こちらのサイトでは、控訴審で高裁に提出された調査報告書を紹介して >一審判決が死刑を選択した岐路と思われるのは以下のような点であった。「ゼロにしたい→自分だけ自由になりたい」、「分からないの連発→反省が表面的」、「義母はともかく、妻子殺害の理由がわからない」 そして、上記報告書は、それらについて、慢性的睡眠不足による視野狭窄、意識狭窄を起こした状態下で自己危急反応、乱発反射により、義母から受けた自己が破滅してしまうという強い恐怖感から逃れようとした結果、「3人が一体」という思いに至り、3人殺害に及んだなどとしてきちんと説明している。 と書いています。また、2審の際の記事にコメントされた方は >結婚前、彼女の妊娠の責任から自衛隊を自ら辞めた章寛君は、結婚後くみ子さんの滞納していた年金や携帯代を退職金で精算。お金に余裕がなかった様です。しかし義母が引っ越したいと口うるさく章寛君に言っていたみたいです。
以前はくみ子さんの白い軽自動車に乗っていた章寛君ですが、新車購入の理由は章寛君は語ってはくれませんでした。ここは私の推測ですが、これも口うるさく言われていたのではないでしょうか。お金がすべてではないですが、お金にルーズな母娘に翻弄されて心の余裕もないまま追い詰められて行った…そんな印象を受けました。 と書かれています。 このような事件は本当にやりきれないですね。死刑が確定した人物の犯行の重大さを認めるのは当然ですが、もっとよりよい解決策がいくらでもあったのにと思います。以前に紹介した知的障害者の強盗殺人事件同様、いろいろな意味で最悪の殺人事件でしょう。 なお、記事中引用リンクを示さない引用は、私の過去記事の引用です。また、こちらの共同通信の記事は参考になりますのでよろしければお読みください。 【宮崎市の家族3人殺害事件】傍聴席から見えなかったもの 「義母から逃れたかった」 被告が明かした犯行動機 3回続きの(上) (中) (下)