「イスラム国」に拘束されているとされたジャーナリストの後藤健二さんが、どうも殺害されたということが報じられました。イスラム国側もそれを示す動画を出しています。私は、人が殺されるのを見るのは嫌なので見ませんが、殺害シーンもあります。
後藤さんは、長きにわたって文字通り生きた心地がしない状態が続いたでしょうが、けっきょく最悪の結末となりました。ニセ動画である可能性は極めて低いでしょうから、後藤さんが殺害されたのは確実でしょう。まずは、後藤さんのご冥福をお祈りいたします。
それで、こういうことを書くとよくないでしょうが、イスラム国が後藤さんの前に湯川遥菜さんを殺した理由の一つは、たぶん彼の情状が後藤さんより悪かったためだと思われます。民間軍事会社を経営しているとか、武器を持っていたとかいうのは、彼に対する悪い印象をきわめて強くしたと思われます。ジャーナリストである後藤さんより許しがたいと考えたのでしょう。
しかし、正直私は、2人が並べられているあの映像が明らかになった時点で、たぶんお二人とも助かる可能性が皆無とは言いませんが、極めて厳しかったと思います。タイトルにも書いた通り、ほぼ絶望であることは決まっていたのではないでしょうか。
おそらくですが、身代金が2人で2億ドルなんて話(これは、日本政府の援助金額に合わせたのだというのがもっぱらの話ですが)の時点で、本気で身代金をもらうつもりだったとは思えず、次にヨルダン在監の死刑囚の釈放というのも、日本政府が直接動ける話ではないからこれも極めて難しいところがあります。つまり最初から打つ手もできることも非常に限られていたとしか言えません。いろいろ報道されていたフランスの人質解放などにしても、彼らはたしかあのような形で映像に出ることはありませんでしたよね。つまりは、動画に登場した時点で、身代金の人質としてよりも、殺害するプロパガンダとしての役割となることが決まっていたのだと思います。交渉するのなら、あそこまで行く前の時点でだと思います。
日本政府がそのあたり、具体的にどのように交渉していたのかとかどのようなルートを開拓していたのかというのはわかりませんが(これからいろいろ報じられてくるのでしょう)、おそらく今後の反省、あるいは糧、参考にするとなると、水面下での交渉のほうがより本質的な問題でしょうね。この時なら、政府だっていろいろ動きやすいし、また時間もある。今回の場合世界注視だし、なにより時間があまりにない。できることがあまりに限られています。
今後、次の湯川さん、後藤さんのような犠牲者が出ることがないことを祈って、この記事を終えます。