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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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日本の治安は良好な状態にある(今後は新規の死刑確定者は減少する可能性が高い)

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ちょうど昨日、秋葉原の大量殺人事件の被告人の上告を最高裁判所が棄却しました。記事を。

><秋葉原殺傷>加藤被告の死刑確定へ…最高裁が上告棄却

毎日新聞 2月2日(月)15時7分配信

 東京・秋葉原で2008年6月、7人が死亡し10人が負傷した無差別殺傷事件で殺人罪などに問われた元派遣社員、加藤智大被告(32)の上告審判決で、最高裁第1小法廷(桜井龍子裁判長)は2日、被告の上告を棄却した。1、2審の死刑判決が確定する。

  1、2審判決によると、加藤被告は08年6月8日午後0時半ごろ、東京都千代田区外神田の歩行者天国の交差点にトラックで突入、5人をはねて3人を死亡させ、さらにダガーナイフで12人を刺し、4人を死亡させた。【川名壮志】

これによってこの人物の死刑が確定することとなります。おそらく判決訂正申し立てなどがされると思われますし、確定は若干先でしょう。これが2015年最初の死刑確定ということになります。また、加古川7人殺害事件の弁論が今年の3月27日に予定されています。彼については最高裁で判決が今年中に出ると考えられます。ほかに、2013年に高裁で死刑判決が出た被告人については、最高裁の判決が出るかもしれません。2014年に出た人たちは、おそらく弁論が行われるのは15年以降でしょうか。

このサイトで確認した限りでは、2014年に死刑が確定している人は、7人です。

それで05年の確定者数が11人、06年20人、07年23人、08年10人、09年が17人、10年が9人、11年が19人、12年が9人、13年が8人といったところです。

2011年に死刑確定者数が多かったのは、オウム事件の被告人が確定したためです。それで現在最高裁上告中の被告人の数は、この記事を書いている2月2日現在で11人(上の秋葉原の事件は除きます)、さらに高裁に控訴中の被告人の数は、2人です(資料はすべて、こちらのサイトより)。2014年に死刑判決が出た被告人は、現在高裁に係属中の2人のみです。ちなみに2013年に地裁で死刑判決があったのは4件4人、12年は3人です。

地裁で死刑になった被告人が無期懲役(あるいはそれより軽い刑、無罪の可能性も)になることはありえますし、その反対も然りですが、地裁での死刑判決が減少していること自体は事実です。これらの人間が仮に死刑が確定するとして、いつ確定するかは不明ですが(繰り返し書くように、それはおおざっぱな予測しかできません)このペースで行けば、最高裁での死刑確定人数は減っていくことが予想されます。もちろんオウム事件のような事件があればまた別です。

殺人事件の被害者数を確認してみますと、下の図になります。出典は、こちら

こう見てみると、日本の殺人事件発生数は順調に減っていることが分かります。重罰化が進めば殺人事件が減少しても死刑判決が増える可能性はりますし、ましてやオウムのサリンのようなすさまじい犯罪が起きればまた話は変わりますが、殺人事件の件数が減っていることは事実です。

さらにこちらによると、2012年の殺人事件被害者数は383人で、これは最大だった1955年の2,119人(なお同じ統計によれば、戦後の日本で殺人事件の被害者数が1年あたり2,000人を超えたのはこの年のみです)と比べると18.1%の数、人口10万人あたりの被害者数は0.30人、これは同じく最大の被害者数だった1955年の10万人あたり2.37人と比較すれば12.6%という少なさです。

それでつぎのような報道がされました。過日読んだ記事を。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150108-00000036-jij-soci(リンク切れ)

>昨年の窃盗、戦後最少=初めて90万件下回る―刑法犯12年連続減少・警察庁
時事通信 1月8日(木)10時4分配信


. 2014年に全国の警察が把握した窃盗事件は前年比8万3924件(8.6%)減の89万7309件(暫定値)で、戦後最少となったことが8日、警察庁のまとめで分かった。90万件を下回るのは現行の統計を始めた1946年以降初めて。
 窃盗も含めた刑法犯全体の認知件数も10万1900件(7.8%)少ない121万2240件で、12年連続の減少。35年ぶりに130万件を割り、過去3番目に少なかった。
 自転車盗や万引き、空き巣などの窃盗は81年まで90万~120万件台で推移。130万件を超えた82年から右肩上がりで増え、02年に過去最多の237万7488件に上ったが、翌年から12年連続で減っている。
 これまでの最少は53年の93万1791件だった。
 警察庁の担当者は「警察と住民、自治体、民間企業が犯罪抑止で連携したほか、住宅や店、駐車場の防犯基準がつくられるなどし、ハードとソフト両面の対策を強化した効果が出た」と分析。「安心せずに取り組みを進めたい」と話している。


最近は、いろいろなところで「そういうものでもないんだよ」という指摘がなされるようになったせいでもあるのか、あんまり治安悪化言説というのも(少なくとも以前ほどは)語られなくなったように思いますが、上の統計やこの記事を読む限りでは、日本の治安悪化は、殺人と窃盗という代表的な犯罪については現状にあわない言説ということになりますね。

警察庁担当者の語る

>警察と住民、自治体、民間企業が犯罪抑止で連携したほか、住宅や店、駐車場の防犯基準がつくられるなどし、ハードとソフト両面の対策を強化した効果が出た

というのは、(現段階では)日本の防犯対策というのはそれなりにうまくいっているということを警察でも認めているということでしょう。たいへんいいことです。

殺人事件から窃盗に至るまで、日本の治安は良好です。治安について語るにしても、そういったことは前提として議論をしなければ事実に基づいた議論にならないと思います。


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