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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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自衛隊関係者ですら、自衛隊による人質の救出について難色を示した

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このブログで、私はくりかえし、反北朝鮮派の主張する、自衛隊特殊部隊による拉致被害者救出なんて話は現実性がないからそんな主張はひっこめろと書いてきました。私は部外者だから、最終的には「馬鹿ほざいてろ、クズ」という話になるのかもしれませんが、拉致被害者家族は、そんな与太をえんえん聞かされていてよく怒らないなと思います。そんな話がえんえん語られること自体、ぜんぜんそんな話が現実性がないというだけの話じゃないですか。たとえば1998年発売の書籍に発表された意見を。かつてこちらの記事で引用しています。

>8:拉致被害者を救うにはどうすればよいか

玉城 素:政治、経済、軍事、情報のすべてを動員した圧力のみ。(救出作戦本部、救出レインジャー部隊の設置を考えたらどうか)

(後略)

なお、ほかの人では、このような主張をした人はいません。荒木和博ですら、

>あくまで原則的かつ強硬に対処すべき。基本的な姿勢を崩さなければ、相手は折れざるを得ない。

程度の主張です。

それで荒木のブログでこんな記事が出ました。

>2015年2月 1日 

拉致被害者救出と自衛隊に関するシンポジウム  

 28日の調査会理事会決定では「交渉による『解決』ではなく力による『救出』を」という方針のもと「自衛隊による救出の具体化」の実現に向けて活動を進めることになっていますが、これについて私が代表を兼務する予備役ブルーリボンの会(通称RBRA)ではシンポジウム「『拉致被害者救出と自衛隊(3)』 邦人救出のシミュレーション-憲法改正と絡めた二つのシナリオを考える」を行います。このシンポジウムは同じテーマで昨年8月、11月に行われたものの3回目ですが、今回は具体的にシミュレーションをします。ご関心のある方はぜひご参加下さい。

日時 平成27年2月26日(木)14:00〜15:30
場所 衆議院第1議員会館第1会議室(千代田区永田町2-2-1 丸ノ内線国会議事堂前駅下車3分)

◆登壇予定
荒木和博(RBRA代表・特定失踪者問題調査会代表・予備陸曹長)
荒谷卓 (RBRA幹事・陸上自衛隊特殊作戦群初代群長)
伊藤祐靖(RBRA幹事長・海上自衛隊特別警備隊初代先任小隊長)

 司会 RBRA広報部会長 葛城奈海(キャスター・予備三等陸曹)

(後略)

また同じブログからの記事として、違う記事でご紹介した

>【調査会NEWS1773】(27.1.30)

 1月28日に開催された特定失踪者問題調査会理事会において、今後の活動について次のように決定しました。

1、交渉による「解決」ではなく力による「救出」を

 昨年後半の「再調査」に関わる交渉は失敗であり、今後継続しても成果が得られる可能性はほとんどない。交渉するにしても必要なことは力の裏付けである。その意味で以下のことを求めていく。

(1)自衛隊による救出の具体化

(後略)

 だからそんなことできっこないじゃんという話でしかないじゃないですか。それにしても、荒木の非常識極まりない発言はいつものこととして、呆れるのが

>◆登壇予定
荒木和博(RBRA代表・特定失踪者問題調査会代表・予備陸曹長)
荒谷卓 (RBRA幹事・陸上自衛隊特殊作戦群初代群長)
伊藤祐靖(RBRA幹事長・海上自衛隊特別警備隊初代先任小隊長)

という荒木以外の2人の元(でしょう)自衛官です。あんたたち本気でそんなこと可能だと思っていないだろうに、どんだけ恥知らずなんだよとは思います。

それでイスラム国(最近NHKは、「過激派組織IS=イスラミックステート」と表記しています。)による日本人人質問題とかとからんで、自衛隊による日本人人質奪還とか、どうもろくでもない質疑が国会でもされています(北朝鮮関係では、さすがに安倍晋三でもこのような話は現実性がないと考えていたようです)。これまた困ったことです。

そんなことを考えていたところ、私がいろいろ勉強させていただいているinti-solさんのブログで興味深い記事を読みました。

朝雲寸言(コラム更新のためすでにリンク切れ)

過激派組織「イスラム国」による日本人人質事件は残念な結果となった。悔しい気持ちはわかるが、自衛隊が人質を救出できるようにすべきとの国会質問は現実味に欠けている。
人質救出は極めて困難な作戦だ。米軍は昨年、イスラム国に拘束されている二人のジャーナリストを救出するため、精鋭の特殊部隊「デルタフォース」を送り込んだが、居場所を突き止められずに失敗した。
作戦に際し、米軍はイスラム国の通信を傍受し、ハッキングもしていたに違いない。さらに地元の協力者を確保し、方言を含めて中東の言語を自在に操れる工作員も潜入させていたはずだ。もちろん人質を救出するためであれば、米軍の武力行使に制限はない。それでも失敗した。
国会質問を聞いていると、陸上自衛隊の能力を強化し、現行法を改正すれば、人質救出作戦は可能であるかのような内容だ。国民に誤解を与える無責任な質問と言っていい。
これまで国会で審議してきた「邦人救出」は、海外で発生した災害や紛争の際に、現地政府の合意を得たうえで、在外邦人を自衛隊が駆け付けて避難させるという内容だ。今回のような人質事件での救出とは全く異なる。
政府は、二つの救出の違いを説明し、海外における邦人保護には自ずと限界があることを伝えなければならない。私たちは、日本旅券の表紙の裏に記され、外務大臣の印が押された言葉の意味を、いま一度考えてみる必要がある。(2015年2月12日付『朝雲』より)

『朝雲』とは、そのHPの巻頭の文言を借りれば

>『朝雲』は自衛隊の活動、安全保障問題全般を伝える安保・防衛問題の専門紙です。

とあるくらいで、つまりは自衛隊の(事実上)機関紙です。そんなものが、自民党の主張する安保政策にここまで批判をしたというのは、まずめったにないことじゃないですかね。

inti-solさんは、

>人質救助作戦というのは、自国内で行う場合だって、決して簡単なことではありません。ましてそれを国外で行うことは、実質的にほぼ不可能であり、世界最強の米軍でさえ、対イスラム国の人質救出作戦にはことごとく失敗しています。そんなことは右翼のおとぎ話にすぎないのです。
と、いうはなしを書いたら、何と、自衛隊の事実上の機関紙である「朝雲」が、どう趣旨のことを書いていました。しかも、それをホームページ上にドンと掲載しています。文章上では、「無責任な質問」を批判していますが、この質問に対して安倍は同意を示して、人質救出作戦のための法改正のに意欲を示しているので、実質的には安倍首相を批判しているのです。

「朝雲」は、読者の大半が自衛隊関係者であり、その主張は自衛隊内部の意見を代弁したものになっています。自衛隊だから右翼、ということはないですが、少なくとも左翼であったためしなどなく、自民党の安保政策に逆らうような内容であったためしはないはずです。その自衛隊の御用新聞が、安倍の政策に公然と意を唱えている。別に、朝雲新聞が左になったわけではなく、自衛隊関係者が引いてしまうくらい、安倍政権の主張が右に傾いている、ということでしょう。

要するに、このような軍事的冒険主義に対する不安と不満が、自衛隊関係者の中にも相当程度広がっている、ということでしょう。そりゃそうです。成功の望みもない救出作戦というバクチの掛金は自衛隊員の命なのですから。命令した首相は、政治生命は失うかもしれないけれど、本物の命を失うわけではないのです。


とお書きになっています。まったく同感ですので、長々と引用させていただきました。それにしても

>命令した首相は、政治生命は失うかもしれないけれど、本物の命を失うわけではないのです。

というのは本当にその通りですね。安倍(あるいはそのあとの首相)は机上の命令を下すだけで済みますが、少しは自衛隊員の命を考えろです。

今回は、inti-solさんの記事に全面的に依存してしまいました。強く感謝を申し上げます。同じinti-solさんのこちらの記事もぜひお読みになってください。

自衛隊を出せば解決するわけではない(訂正・追記あり)


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