過日記事にしましたように、1984年2月に発生した福山市の誘拐殺人事件の現場を歩いてみました。事件が起きたのが1984年2月13日で、犯人逮捕が翌日、私が福山を訪れたのが今年の2月13日から14日にかけてです。
早朝、高速バスで福山に到着します。西日本とはいえまだ2月ですから早い時間は暗いので動きがとれません。
時間をつぶして、学校が始まるちょっと前くらいの時間になったので、身代金奪取の現場となった福山八幡宮へ向かいます。ここは犯人、被害者ともに地元です。
八幡宮の前に止まっている車に現金とキャッシュカードを入れた風呂敷を置かせて、犯人は現金奪取に成功します。
しかしこんな狭い道で、よく犯人は身代金を奪って逃げることができたなと思います。警察(広島県警)は、当然奪取に来るとしたらその瞬間に逮捕するつもりだったのでしょうが、ここで逃がしたのは大変な失態と批判されても仕方ないでしょう。ただしさすがに車のナンバーは記録できたので、所有者が重要参考人として警察にマークされます。もともと犯人の男性については、このナンバー確認以前から、繰り返しかかる脅迫電話によって被害者の父親は、電話の声が知人と酷似していることに気づきます。しかし、犯人が盗難車を使って、しかも複数用意していたら、そう簡単には逮捕できなかった可能性はあります。
お宮の近くにあった家です。基本的に裕福な人たちが多いエリアのようです。高級げなマンションもありました。もちろん事件当時は建てられてはいないでしょう。
そこからもう少し西に歩くと、被害者の通っていた小学校があります。そしてそこに隣接して犯人の自宅がありました。
小学校は、写真で見た限りでは1984年の新聞記事と変わりはありません。犯人の家は、現在駐車場になっていました。いつ家が取り壊されたかについては確認していませんが、たぶん今日にいたるまでその犯人宅跡地には住んでいる人はいないようです。
八幡宮方面へ行こうとすると、小学生が集団登校をしていました。この学校は制服を着ているようです。事件当時の新聞でも同様です。小学生や女子高校生から「こんにちは」とあいさつされました。
つぎに東にある被害者宅の家の前に行こうと思いますが、その前に福山八幡宮へ行きます。
写真はありませんが、絵馬があり、そこは季節柄大学や高校その他入試関係の願いが書きこまれていました。被害者の少年は、まさにこのようなものを祈願するチャンスすら奪われてしまったのだと思うと、さすがに複雑な心境になりました。
写真でお分かり用のように、基本的に昔ながらの建築の家も多い閑静な住宅街です。
歩いていて感じたのが、ものすごく宗教施設が密接しているところだなということです。仏教の寺から神社に至るまで実にたくさんある。あるいは、城のすぐ近くの町であるということも影響しているのかもです。
すみません、被害者宅です。こんな記事を書いていてこんなことを書くのもなんですが、さすがにプライバシーその他の問題がありますので、被害者宅の写真をあからさまに記事でお見せするのは避けます。ただこの時間人はいらっしゃらなかったようです。
実はこの日は、この地区のゴミ出しの日だったようで、さまざまな人が道にいました。昔からの住人らしき方もいるので、ここで可能なら「実は・・・」と話を聞くこともできたのかもですが、今回はそこまでする用意はないので、インタビューその他の取材はしませんでした。あくまで「現場を歩く」のみです。
もう1度学校に行ってみることにしました。小学校の隣にある池です。
犯人宅の跡地です。犯人は、犯行直前の83年12月、奥さんと離婚し、父親と同居していました。まえにも記事に書いたように、この事件のあおりで犯人の家族もだいぶ迷惑を受けたようで…。父親の方も、かなり苦しい想いをされたと思います。
二宮金次郎の像があるのは、古い学校の証拠でしょう。HPによると、1909年開校とのこと。
おそらくこの校門を出た被害者を、犯人が声をかけて誘拐に至ったのだと思われます。学校を去って、犯人が被害者の帽子を置いた、福山城近くの公衆便所へ向かいます。
護国神社があるのを見ると、ここは軍隊の街だったのだなと思います。この事件とも若干関係のある旧福山国立病院(現・独立行政法人国立病院機構福山医療センター)も、もとは陸軍病院です。
これは確実にここだとは断言できないのですが、たぶんこの公衆便所に犯人は被害者の帽子をおいたのではないかと思います。そうであれば、たぶんこの公衆便所は、そのころから改装されていないかもです。
ちょうど10時ですので、福山市立中央図書館で資料調べをします。非常にフレンドリーな対応をしてくださいました。詳細は書きませんが、いろいろ貴重な情報を入手できました。2時間半ほど滞在します。
図書館を出て、犯人逮捕の現場へ向かいます。
この交番のある交差点で、犯人は警察に取り押さえられました。
犯人は、国立福山病院近くの公衆電話から最後の脅迫電話をかけましたが、これを警察が逆探知に成功、警察が電話ボックスに向かっている最中に手配車両を発見したのです。交差点に止まっていたとすれば、この交差点だったはずです。
この近辺でしょうか。
いずれにせよこの写真に写っている近辺で犯人は取り押さえられました。任意同行されたのが、午前4時25分とのことです。
明日もこの記事を続けます。