2日続けて死の記事を書くのも嫌ですが、やはり書かないではいられないので。
日曜日、前にも記事にした「ライアンの娘」を見ました。それでネットで検索していて、主人公の女性(サラ・マイルズ)と不倫する英軍将校を演じた米国人俳優のクリストファー・ジョーンズの死を知りました。もう昨年の話です。
>第二のジェームズ・ディーンと言われた『ライアンの娘』のクリストファー・ジョーンズさん、死去
2014年2月9日
映画『ライアンの娘』『鏡の国の戦争』のクリストファー・ジョーンズさんが、がんの合併症によりカリフォルニア州の病院で亡くなったとThe Hollywood Reporterなどが報じた。72歳だった。
クリストファーさんは第二のジェームズ・ディーンと呼ばれ、大注目された俳優だったが絶頂期に引退している。2007年のインタビューによると、ハリウッドで活躍していた当時、彼はロマン・ポランスキー監督の妻だったシャロン・テートさんと不倫をしていたとのこと。シャロンさんはポランスキー監督が家を留守にしていた1969年8月に妊娠8か月半で殺害され、そのショックでクリストファーさんは引退したらしい。
カムバックもまったく考えていなかったようで、クエンティン・タランティーノ監督が映画『パルプ・フィクション』のゼッド役をオファーしたが断られたと以前に語ったことがある。
最近では芸術家として活躍をしており、ハリウッド・フォーエヴァー墓地には彼が描いた名優ルドルフ・ヴァレンチノさんの絵が飾られているとのこと。(澤田理沙)
上の記事は、2月9日付けですが、実際に亡くなったのは1月31日とのこと。
ほかにも死を報じている記事があるのかもですが、たぶん日本では話題にもならなかったと思います。それは当然で、彼は「ライアンの娘」出演後映画界を去り、唯一出演したのが、四半世紀後に公開された「マッド・ドッグ」でした。それから亡くなるまでの20年弱、彼が映画界に復帰することはありませんでした。
正直上の記事は、彼の軌跡を非常に手際よくまとめてくれているので、これに付け加えるところもあまりないのですが、上のシャロン・テートの死以外にも、「ライアンの娘」でのデヴィッド・リーンの演出の厳しさも、彼にとって精神的に大きな負担だったようですね。もともとこの映画での英軍将校役は、マーロン・ブランドにオファーされていて、ほぼそれで決まっていたのですが、スケジュールが合わずに流れました。ほかにピーター・オトゥール、リチャード・ハリス、リチャード・バートンなども考慮されていましたが、けっきょくリーンが彼を気にいり、抜てきしたわけです。ただどうも現実には、リーンが要求するだけのものをジョーンズはなかなかこなせなかったようで、これも彼が映画界での今後に希望をなくした理由だったようです。
映画では、少佐という立場はやや彼の実年齢(1941年生まれで、撮影はもっぱら1969年)にそぐわない感があり、実際の年齢の設定はたぶん30代半ばくらいなのでしょうが、個人的な意見では少々演技に難があったように思います。マーロン・ブランドやピーター・オトゥールはちょっと別格ですから比較しても気の毒ですが、本来だったら演技開眼すべき映画の出演で、結果的にキャリアを終わらせてしまったのは、本人の問題ですから仕方ないことですが、やはり残念なことでした。
なお、映画での彼の台詞は吹き替えられています。これも、彼にとってはとても面白くなかったことでしょう。
「ライアンの娘」については、いろいろ書きたいこともあるのですが、本日はクリストファー・ジョーンの死を読者の方にお知らせして記事を終えます。クリストファー・ジョーンズさんのご冥福をお祈りします。
最後に、こちらの記事(魚拓)は、サラ・マイルズのコメントなど貴重な内容が書かれていますので、興味のある方はお読みになってください。
Christopher Jones
(1941-2014)