行くところが全然違うじゃんと思われるでしょうが、アルゼンチン、ウルグアイ紀行は航空券高騰による予算超過により中止することにし、アイルランド共和国(北アイルランドは、今回は行かないつもり)に行くことにしました。アイルランドに行く前に、私もビートルズファンの端くれなので、リヴァプールにも行ってみようと思います。
カタール航空で140,000円にてのブエノスアイレス行きの航空券が出ていたので、これを買うに限ると思っていたら、いつのまにか米国経由で230,000円とかになり、寄りもしないのに指紋押捺をするのも馬鹿馬鹿しいので行くのをやめました。リオデジャネイロ五輪が終わったら、また行くことを考えます。
南米に行くのをやめたときは、じゃあニューヨークシティでも行こうかと考えたのですが、「午前十時の映画祭」で「ライアンの娘」を見たら、アイルランドに行くに限ると考えを変えました。ロンドンまでのわりと安い航空券を入手できたので、LCCで英国とアイルランドを往復すれば面白い旅になりそうです。ニューヨークは2回行ったことがありますが、アイルランドは北アイルランドしか行ったことがないし、アルスターもベルファストと(ロンドン)デリーなど都市しか回っていないので、ダブリン以外の田園風景もごってり楽しむ所存です。
こちらの記事でもちょびっと書きましたように、私は実は大学院で「アイルランド文化」なるものを専攻しましたので、わりとその方面にはくわしいのです。面白い旅行記になると思います。
ただ「ライアンの娘」については、ファーストシーンのモハーの断崖(ロージー(演じたのはサラ・マイルズ)が、日傘を落としたところ)には行くつもりですが、映画のロケーションにつかわれたディングル半島は行くかどうかは未定です。ダブリンは当然行くとして、ほかは予定を綿密に立てずに旅をしようかと考えています。ディングル半島に行くのは、次の旅行かな。いつ行くかは未定です。
どうでもいい話ですが、モハーの断崖はディングル半島にあるわけではなく、このあたり映画の都合による地理上の飛躍があります。たぶん映画の製作者(監督はデイヴィッド・リーン、脚本はロバート・ボルト。ちなみにボルトはこの当時前述のサラ・マイルズの夫)は、何が何でもモハーの断崖を舞台にしたかったのでしょう。
もっともそういうことを言い出せば、この映画も完全にアイルランドでロケをしているわけでなく、南アフリカのケープタウン近郊の海岸で撮影がされています。具体的には、ジョン・ミルズとクリストファー・ジョーンズの砂浜でのシーンなどは南アフリカでのロケーションとのこと。そういわれてみると、空気や太陽の様子がやや他のシーンと異なるように感じました。他のシーンと比べて空気が澄んでいて、太陽の光も強いような気がします。このあたりは「ライアンの娘」のDVDでのオーディオコメンタリーで語られているようですし(まだ未聴)、
またこの映画のロケーションについて詳述している(らしい)書物もあります。
The Making of 'Ryan's Daughter': Troubled Epic
英語の本ですが、翻訳される可能性はありませんから、これはやはり取り寄せて読む必要がありますかね。日本語の本でも、アイルランドに関する本には、この映画について記してあるものが散見されます。
そうすると、私がこの本を読んだら、得られた情報をもとにして記事を書いても面白そうです。好きな映画について研究する、こんな楽しいことは世の中ありません。それで、この映画を見てアイルランドにあこがれた人は数知れないかもです。この映画は、欧米ではあまり評判が良くなかったのですが、興行的には成功しました。当時はまだアイルランド西海岸の田舎なんて知名度はいまの比ではないくらい低かったはずなので、この映画を見て「お、すごい」と世界中で知れ渡ったのでしょう。
そう考えると、私がアイルランドについて並々ならぬ関心を持ち続けているのも、この「ライアンの娘」を見たからというのが大きな理由だと思います。この映画を見ていなければ、たぶん私も大学院なんかでアイルランド文化など専攻はしなかったでしょう。つまりは、この映画は私の人生になんらかの影響を与えたわけです。映画との出会いというのも、そんなに馬鹿にして良いものでもありません。
そういうわけで、私の南米紀行を楽しみにしていた方々、申し訳ございません。特にinti-solさんごめんなさい。