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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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けっきょく辛坊治郎は、自分がその立場になったらどうなるという想像力が欠けていたのだと思う

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辛坊治郎ヨットの太平洋横断失敗は、いろいろと話題になっています。

最初に書いておきますと、(読者の皆さまご想像の通り)いくら私が辛坊治郎を大嫌いだからといって、私は辛坊治郎が彼の遭難救援のための費用を払うべきだとかそんなことは考えませんよ。そういうことを主張したら、私がこれまた大嫌いな自己責任論者といっしょになってしまいますし、辛坊の単独行ではないのだから、相方の人にも迷惑がかかってしまいます。それは私の本意ではない。実質はともかく、いちおう話の流れとしては、今回の航海は辛坊のほうが計画に協力したっていう立場のはずだしね。

別にこのブログあるいはその他の場でもそんなことは書きはしませんでしたが、私は、辛坊治郎がヨットで太平洋横断に挑戦するということを発表した時、それって救助される立場になったらまずいんじゃないのと思いました。そうなったら、彼は立場が非常に悪くなると思ったのです。

なにしろ「自己責任」が好きな人だから、遭難でもしたらまさか救助を要請しないわけにもいかないでしょうから、救助された後で、実に格好がつかなくなるんじゃないのと思ったのです。。辛坊個人のヨットセーリングでしたらまだいいですが、協力者ばかりでなく相方のセーラーの人に迷惑をかけるわけにもいかないですから、やっぱり救助を要請しますよねえ。そして救助を要請したら、世間からの指弾はさけられないでしょう。

もちろん彼が救助を依頼する立場になるかどうかはその時点では不明でしたが、そうなってしまったらやっぱり彼は立場が悪くなりました。日ごろの自らの言論活動が彼の首を絞めたのです。仕方ないことですが、しかしやっぱりこういうことに関しては、人間ある程度発言は慎重にしたほうがよろしいですね。

ところでこんな記事を読みました。

>辛坊治郎さん遭難で、イラク人質事件の今井紀明氏がコメント

(中略)

イラク人質事件の被害者としてバッシングされた当の今井紀明氏にお話しを伺いました。事件後は道を歩いているだけで突然殴られることもあったという今井さん

だそうです。

もちろん辛坊自身がこんな愚にもつかない暴力を直接あおったわけではないにしても、けっきょくこのような社会の雰囲気をかたちづくる役割の一端を彼が担ったのは否定できないと思います。といいますか、それなりの位置を占めるでしょう。

それだったらですよ、自分がそういう立場に追い込まれないように、こんなヨット太平洋横断などというそれなりに遭難の可能性のあることにかかわらなければいい、あるいは、失敗した際に自分(たち)が受けるバッシングの覚悟がそれなりにでもできていたのかなあという気はします。私の勝手な偏見では、あんまり彼はその辺を突き詰めて考えていなかったような気がしますが、どうなんですかね。

実は辛坊は、こんな本を出版しています。

ふらっとアフガニスタン7泊8日

どうでもいい話ですが、私はこの本を読んでいます。いまのところ(そしてたぶんこれからも)辛坊の著作で読んだ唯一の本です。

読んだのはずいぶん昔ですので、正直あんまり内容は覚えていないのですが、ただアフガニスタンで殺されるとか負傷するとか武装勢力のたぐいに身柄拘束されるかすれば、たぶんどっちみち程度の問題はあれ日本政府が遺体送還や日本への帰国手配、身柄解放その他で動かざるをえないでしょう。アフガニスタンでは、旅行保険も通用しないか実効性がないでしょう。

で、辛坊は、自分がアフガニスタンに行っても絶対自分はそんな目にあうことがなく、日本政府に迷惑あるいは面倒をかけない自信でもあったんですかね。あったとしたら、それは単なる根拠のない自信でしかないんじゃないんですかね。仮の話として、辛坊が出国する際に、自分にどんなことがあっても絶対日本政府に面倒をかけさせるなという書置きや外務省その他に誓約書でも内容証明書かなにかで通知したところで、やっぱり周囲の人間は辛坊救出、あるいは遺体を日本に運ぶために動きますよね、当然。そうなれば日本政府の協力をいやがおうでも仰がざるをえないんじゃないのと思います。

自己責任だ何だというのなら、旅行するにしてもせめて旅行保険が通用する国ぐらいにしておけよといったらいいすぎかもしれませんが、アフガニスタン行きとかヨットの太平洋横断をするのなら、自己責任なんてことを主張するなよと思います。しょせんそんなことを主張したところで、自分が最悪の事態に陥った際にはやっぱり政府に助けを求めるくらいのものでしかない。けっきょく彼は、自分が同じ立場になったらどうなるという想像をしなかったか不十分だったのでしょう。いずれにせよしばらくは彼は偉そうなことを口にはしなくなるでしょうから、ほかはともかくそのことはたいへんけっこうなことです、って私もひでえこと書くな。

ところで、これはすでに削除されている出航時の辛坊のブログ記事より。こちらでブログ記事を読むことができます。いちおう魚拓も。

>それにしても今回の大阪〜福島回航は、とても実りの多いものでした。まさに「荒天」に恵まれたために、完璧に整備したと皆が思い込んでいたエオラス号にいくつかの問題点が見つかったんです。まず一つは、船の舳先に突き出ている大きな棒、これをバウスプリットって言うんですが、この根元から少量の漏水が発見されました。エオラス号には既に太平洋横断用の資材をすべて積み込んでいたために相当喫水が下がっていて、台風の余波のうねりに舳先から突っ込んで派手に海水をすくい上げる局面が何回かあったんですが、この時バウスプリットの止水に不具合があって、水が漏れることが分かったんです。

当初、この2日間で舳先をすべて解体して、充填剤を入れなおすことも計画されたんですが、様々なリスクを計算した結果、内側からの充填で対処することになりました。余程荒れた海でない限り漏水しませんし、エオラスの設備で簡単に排水できる程度のものですから、これで、まず大丈夫でしょう。

なーんか無理に出航を強行したような気がしますね。やはり予定通りの日に出航しないわけにはいかなかったんですかね。詳細は知りませんが。でも辛坊単独の航海ならまだしも、相方の人がいるんだから、もうちょっと慎重にしたほうがよかったんでしょうね、きっと。

この記事は、inti-solさんの記事を参考にしました。感謝を申し上げます。


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