(15日の記事の続き)
それでこちらの記事もまたひどい。
>組み体操の事故、どう防ぐ 苦慮する学校 神戸
神戸新聞NEXT 10月12日(月)11時1分配信
今年の運動会や体育祭に、かつてない緊張感が漂っている。多くの小中学校が取り入れる組み体操の事故が相次いでいるが、神戸市内でも本年度、4人が骨折などで救急搬送されていたことが分かった。神戸市教育委員会は初めて安全最優先で指導するよう各校に通知。大勢の生徒が力を合わせ、成功させる姿に胸を打たれる保護者も多く、組み体操の人気は根強いが、大きなけがにもつながりかねない。学校現場で模索が続いている。 (竹本拓也)
運動会シーズン終盤の10日。有瀬小学校(神戸市西区)のグラウンドで、6年生男女約150人が四つんばいになり、ピラミッドを完成させた。7段の大型で、高さは3メートル以上にもなる。拍手が沸き起こり、カメラを持つ保護者の人だかりができた。男性(43)は「家では見ない顔つきだった」と息子の演技に目を細めた。
ピリピリムード
ピラミッドの周囲には、体操服姿で児童以上に緊張した面持ちの教職員24人がいた。全体のバランスに気を付け、体勢を崩しそうな児童がいると、声を掛けて励まし、両手で支えた。中山倫太郎教諭(32)は「今年は緊張感が違った。何よりも安全第一。けがなく終わってよかった」と胸をなで下ろした。
同小は毎年、1学期から教職員が補助の訓練を行っているが、今年は教職員に全児童を1人ずつ割り振り、誰がどの児童をサポートするかを明確にした。また、組み体操の一部をダンスに切り替え、児童が“大技”に集中しやすいよう配慮した。
【大阪では規制】
市教委によると、本年度は小学6年の男女、中学2年と3年の男子計4人が骨折するなどし、救急搬送された。昨年は1人だったという。
大阪府八尾市内の中学校ではピラミッドが崩れるなどし、過去3年間で8人が骨折していたことが発覚。各校がより高く、より大きくを競うような動きもあり、大阪市教委はピラミッドは5段まで、肩の上に立ち塔をつくるタワーは3段までとする“高さ規制”を打ち出した。
一方、神戸市教委は「高さを過度に競うのではなく、安全性を考慮すれば大きな事故は防げる」との姿勢。9月に出した通知は、安全性に考慮した指導計画の作成や、演技時の教職員の配置を確認するとともに「集団で一つの作品をつくる喜び、相手の気持ちを理解する」といった教育的価値にも触れている。
【小学校は99%】
すでに組み体操をやめた学校もある。岩岡中(同市西区)は「地域文化の継承と安全面への配慮」から、地元の保存会と取り組む「岩岡音頭」に切り替えた。原田中(同市灘区)も「男女で一つの作品をつくりたい」と生徒側から要望があり、8年前からマスゲームに統一した。
神戸市教委によると、組み体操は市内の小学校で164校中162校、中学校では84校中65校が実施。市内では、中止などの動きはほとんどなく、力のこもった演技を“看板”にしている学校が多い。
記事というより神戸市の学校の認識、見識の問題でしょうが、
>「今年は緊張感が違った。何よりも安全第一。けがなく終わってよかった」と胸をなで下ろした。
って、そんなに安全第一なら、組み体操なんかしなければいいだけの話じゃないですか。ふざけるのもいいかげんにしてくださいよ。
だいたい
>大勢の生徒が力を合わせ、成功させる姿に胸を打たれる保護者も多く
って、そうじゃない保護者も(たくさん?)いるっていうことを前提とする表現ですけど、私は組み体操なんかで感動なんかしません(笑)。仮に感動するとしたって、親だか教員だかの感動なんかのために、子どもを危険にさらしちゃいかんでしょ。どこまで非常識なんだか。
こちらの記事には、次のようなことまで引用されています。
>組体操の指導と普及に取り組む、関西体育授業研究会の大阪教育大学付属池田小学校の垣内幸太教諭は、組体操の最大の魅力は"感動"であるとして、以下のように述べています。
「55人規模の大きなピラミッドにおいて、最も大きな負担のかかる子どもたちは、外からはその姿を見ることはできません。それでも、その子どもたちは、たとえ膝に小石が食い込んでも、歯を食いしばりピラミッドの完成を願っています。そんな彼、彼女らを信頼しているからこそ、最後の一人は、勇気を出してピラミッドの頂上で両手を広げることができるのです。
もちろん最初からそんな信頼関係が存在しているわけではありません。何度も失敗を重ねながら、何度も練習を積んでいくからこそ、その信頼が生まれていくのです。保護者たちも、子どもたちのその努力を知っているからこそ、感動してくれるのです。そして、私たち教員も、その過程を知っているからこそ、ピラミッドが完成したとき目に涙を浮かべるのです」(『子どもも観客も感動する! 「組体操」絶対成功の指導BOOK』より)
ね、ね、ね。そういう「感動」ってもののために、3年続けて1つの公立中学で骨折その他の事故が起きてもいいのって私は思うんですけど。たぶんいいとおもっているんでしょうね、この先生は。 あるいは仕方ないとでも思っているのかな。
それにしても、この記事のタイトル
>ハイリスクでも感動を......
って怖いですよねえ・・・。大阪教育大学付属池田小学校の垣内幸太教諭は、あからさまにそのような発言はしないまでも、たぶん本気でそう考えているんでしょうね、きっと。それで子どもが半身不随とか死亡しちゃったらどするの、って死んでいる子どもはほんとにいますけどね。それは不運な事故だ、組み体操が悪いわけではない、っていうところですかね。オバタカズユキ氏の書いたこちらの記事より。
>1988年、愛媛県の小学6年生が、卒業アルバム撮影中にピラミッドが崩れ、圧死。
1990年、福岡県福岡市で県立高校3年生が、体育祭の練習に崩れた構築中の8段ピラミッドの下敷きになり、脊髄損傷。全身麻痺の後遺症(身体障害者1級)を負う。
1995年、神奈川県相模原市の中学3年生、人間タワーが崩れて、死亡。
断っておきますが、骨折レベルなら枚挙しきれないくらい起きているんじゃないんですか。「感動」ってのは、こんな危険なことをしてまで追求するべきものなんですかね。私にはとてもそうは思えませんけど。 inti-solさんは記事の最後に
>だいたい、人間ピラミッドがなんの役に立ちますか?
かつて、「うさぎ跳び」という運動(?)がありました。私が小学生の頃はやらされた記憶がありますが、中学生になった頃には姿を消しました。怪我や故障のリスクが大きいだけで、運動能力を向上させる役にはまったく立たないからです。
人間ピラミッドもそれと同じです。屈みこんで背中に人を乗せる役割にしても、人の背中に乗る役割にしても、それによって運動能力あるいは体力の向上に寄与する可能性など、まるでない。つまり、崩れて怪我をするリスクはあるが、メリットは何もない。人間ピラミッドを見て感動するのは勝手ですが、他人の感動のために怪我を負うリスクを子どもに負わせるべきではありません。もっとも、私はそもそも人間ピラミッドを見て感動などしませんけど。
引用記事によると、2012年度の小学校における組体操中の事故は約6500件だそうです。全国の小学校総数は役22000校です。つまり、毎年、全国の小学校の3校から4校に1校で組体操の事故が起きている。組体操など行わない学校も相当数あること、運動会とその練習の時期以外は行われないことを考え合わせると、事故確率は相当に高い。こんなくだらなくも危険な行為で「感動」を誘うような馬鹿げたことはやめるべきでしょう。
とお書きになっています。まったく同意します。
今回の記事は、inti-solさんの上に引用させていただいた記事に触発を受けて執筆しました。感謝を申し上げます。また今日の記事は、スマートフォンではともかく、PCではうまく更新できないので、前後に分けた記事になりました。15日、16日の記事ですが、12日発表であることをお断ります。さらに凡太郎さんからいただいたコメントを、管理者権限でこの記事に移させていただきました。凡太郎さん、この件申し訳ございませんが、前の記事を削除しましたので、そのようにさせていただきました。ご了解いただければ幸いです。