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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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こういう事件は防ぎようはない

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またまた痛ましい事故が起きましたね。読者の皆さまもご存知でしょうが…。

<宮崎・車暴走>700メートル6人はね 2人死亡5人負傷

毎日新聞 10月28日(水)19時3分配信

 ◇JR宮崎駅近く ひっくり返って止まる

 28日午後2時50分ごろ、宮崎市中心部のJR宮崎駅前の目抜き通りの県道で、鹿児島県日置市の男性(73)が運転する軽乗用車が歩道に乗り上げて約700メートル暴走し、歩行者ら6人をはねた。宮崎県警によると、宮崎市の無職、藤本みどりさん(66)と会社員、高木喜久枝さん(50)が死亡し、男性が重傷、宮崎県や東京都の17歳~68歳の男女4人が重軽傷。県警は回復を待って自動車運転処罰法違反(過失致死傷)容疑などで調べる方針。

 県警によると、監視カメラの映像から、軽乗用車は直進して県道(通称・高千穂通り)に入り、百貨店、宮崎山形屋前の交差点(宮崎市橘通東4)から乗り上げた。歩道上に止められた自転車などをなぎ倒しながら、歩いていた高校3年の女子生徒(17)らをはね、駅前交差点でひっくり返って止まった。目撃者によると、自転車に乗っていてはねられた人もおり、歩道上で加速し時速数十キロで暴走していたとみられる。

 男性は鹿児島県から1人で来ていたとみられる。宮崎県警は家族を呼び、持病の有無などを聞き、事故原因を調べる。

 現場は宮崎山形屋前からJR宮崎駅を東西に結ぶ目抜き通り。歩道は幅7メートルほどでガードレールはない。商業施設やオフィスビルが並び、事故当時も多数の通行人がいた。【尾形有菜、宮原健太】

こちらも。

>認知症で治療歴=暴走車の運転男性―宮崎県警

時事通信 10月30日(金)12時11分配信

 宮崎市で軽乗用車が歩道を暴走し、歩行者ら7人が死傷した事故で、運転していた鹿児島県日置市の男性(73)が過去に認知症で治療を受けていたことが30日、捜査関係者への取材で分かった。
 宮崎県警は事故との関連を慎重に調べている。
 県警によると、男性は事故直後、警察官らの「車道と歩道を間違えたのか」などの質問に対し、全て「はい」と答えるだけだった。また、「(男性が)前を向いて運転していた」という複数の目撃情報もあり、県警は男性が意識がある状態のまま、車道と歩道を間違えて運転していた可能性もあるとみている。
 男性は頭を強く打ち、外傷性くも膜下出血で入院中。県警は29日、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)の疑いで自宅を家宅捜索しており、回復を待って事情を聴く。 

過日のデロリアン事件では、運転していた男性は、友人に会いに来たと運転している理由を説明したそうですが(ただし、その友人の名前、所在は答えられなかったとのこと)、今度の人は、ほとんど何も答えられないとなると、デロリアン事件の人より認知症は悪性なのでしょうね。これでは危険です。

それで私が「おいおい」と思ったのが、次のくだりです。記事の一部を引用します。

>男性は28日朝、同居の家族が気付かないうちに自宅を出ていたという。

ってことは、この男性は、家族もかなり注意していたにもかかわらず、朝、家を(理由はさだかでありませんが)飛び出したことになります。家族の管理責任が問われるのでしょうか。私が思いだしたのが、次の事件です。

認知症の徘徊で鉄道事故 91歳の妻に約360万円の賠償命令 名古屋高裁

愛知県大府市で2007年12月、徘徊症状がある認知症の男性(当時91)が電車にはねられ死亡した事故をめぐり、JR東海が男性の遺族に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が4月24日、名古屋高裁であった。長門栄吉裁判長は、妻(91)のみに約360万円の支払いを命じ、長男には見守る義務はなかったとして、JR東海の請求を棄却した。一審の名古屋地裁の判決では、介護に携わった妻と長男に請求通り約720万円の支払いを命じていた。時事ドットコムなどが報じた。

(後略)

1審よりは減額されましたが、それでも360万円の賠償です。現実問題として、四六時中認知症の人を見守るってのは難しいと思いますけどね。inti-solさんは、この件について記事で、

>ホームヘルパーを利用しなかったことが過失だ、ということは、逆にいえばホームヘルパーを利用していればこういう事件が防げた、ということになります。当然、そんなことはあり得ません。最重度の要介護5の認定で、目いっぱいの訪問介護を受けられたとしても、1日2~3時間程度です。24時間のうち2~3時間だけヘルパーの目があることで、この種の事故が防げるはずがないのは明らかです。

もちろん、こういう状況の人を家庭だけで面倒を見るのは非常に困難で、そのままでは介護者の生活は、肉体的にも精神的にも経済的にも破壊されます。だから、ヘルパーや通所施設は利用すべきだったとは思いますが、それによってこういう事故がなくなるわけではありません。入所施設の申し込みもすべきだったと思いますが、そう決意したとしても、実際に入所できるまでには時間がかかります。

とおかきになっています。私もそう思います。実際問題としてこの男性の家族に管理不備があったかどうかはわかりませんが、どっちみち四六時中完璧に監視するなんてことができるわけがありません。そういう点をどうかんがみるかが問題かなと思います。

で、この件と同じく問題なのが、当然認知症の人の運転の問題です。私は、上にリンクしたデロリアン事件についての記事で次のように書きました。

>大事には至りませんでしたが、本人愛知県の人で、大阪まで友人を訪ねてきたというのですが、しかしその友人の連絡先その他を警察に説明できなかったと報じられています。そもそもそんな友人が実在するかも不明ですし、実在したとして、その近辺あるいは方面に居住しているのかも怪しいし、なんでわざわざ車に乗って出かけようとしたのか、そこまでして友人と会わなければいけない理由があったのか、きわめて話はあやふやです。たぶん認知症なのでしょうが、ご当人きっと、会おうと考えたら、行動しないではいられなかったんでしょうね。に私の祖父が、つまらんことを聞こうとして数十キロ離れたところに住む自分の妹に会おうと車を走らせたということがありました。その時祖父が認知症をすでに発症していたのかは不明ですが、理由はともあれ「会おう」と考えたら、もうストップがきかない状態だったのでしょう。私の祖父が自分の妹に会おうとしたところで家庭内不和が起きるだけですが、電車と車がぶつかったら、車の運転手が死ぬだけでは話がすまなくなります。たぶんこの運転手の人も、

「わからねえ、さっぱりわからねえ」

ということなのでしょうね。「心神喪失」とまではいいませんが、刑事責任は問いにくいかもです。なお、最初の男性も、免許証を持っていました(笑、いや笑っちゃいかんか)。さすがに次の更新で本人更新を断念するか、免許は取り上げられることになろうかと思いますが、しかしそれまでに事故が起きる可能性もあります。そうならないことを祈るばかりです。また免許証がなくても車の運転はできるしね。

私が注目したいのは、けっきょくのところ一番最後のところです。

>また免許証がなくても車の運転はできるしね。

免許を保持していない状態で運転すれば、免許不携帯、あるいは無免許運転になりましてこれは道路交通法違反です。でもたぶん先の事故を起こした男性は、車とキーがあれば運転しちゃったということでしょう。上の男性は無免許ではないようですが、しかしどっちみちそんな議論は意味がありませんよね。本人免許のことなんかまるっきり頭の中から消えていたのでしょうから。免許を取り上げる、あるいは免許の更新をしないことによって車の運転をやめてくれる人ならいいですが、全部が全部そういうものでもない。車とキーを処分して、運転手が乗ることができなくするようにするのが1番でしょうが、これもどこの家庭でもできることでもないしね。また家族がいれば管理もできますが、1人暮らしの認知症の人の場合、管理してくれる人すらいないという事態も考えられます。おまけにこれから団塊の世代もどんどん認知症になる年齢になるし、また彼らは普通に免許を持っています。若いころから日常的に車に乗っている人は、あるいは今回の男性のような行動を取る可能性もある。

うーん、危険ですね。しかしこれは正直どうしようもないですね。防ぐ方法なんかありはしない。後は、自分たちにはその災難が降りかからないことを願うしかない。うれしくはないですが、しかしどうしようもないですね。

上の記事は、inti-solさんの知見を参考にしました。感謝を申し上げます。


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