過日報じられた記事を。
>30年間仕事せず父の年金で…“住宅2遺体”逮捕の男
テレビ朝日系(ANN) 11月7日(土)11時55分配信
福島県西郷村の住宅から母親と父親とみられる遺体が見つかった事件で、逮捕された長男は約30年間、仕事をせず、収入は父親の年金だけだったことが分かりました。
西郷村の無職・小磯信幸容疑者(48)は、92歳の母親の遺体を自宅に放置した疑いが持たれています。小磯容疑者は「遺体をどうしていいか分からなかった」と話していて、容疑を認めています。また、自宅の小屋からは、白骨化した父親とみられる遺体も見つかりました。関係者によりますと、小磯容疑者は中学を卒業後、仕事に就いたことがなく、収入は父親の年金のみだったということです。警察は、年金が振り込まれた銀行の通帳を押収するなどして調べを進めています。
最終更新:11月7日(土)13時26分
以上、大して情報のない記事ですが、もう1つ。
>「気付いたら死んでいた」 西郷の死体遺棄容疑の長男
福島民友新聞 11月8日(日)7時16分配信
西郷村の民家で5日、夫婦とみられる2人の遺体が見つかった事件で、白河署に死体遺棄容疑で逮捕された長男の同村、無職小磯信幸容疑者(48)が、母親(92)の死亡について「気付いたら死んでいた」と供述していることが7日、同署への取材で分かった。遺体は死後、半年以上経過しているとみられる。
小磯容疑者は仕事に就かず、同居する両親が死亡したとみられる後も両親の年金を受給していた可能性があり、同署によると、「自宅にある現金で生活していた」と供述しているという。父親(80)とみられる男性の白骨化した遺体は死後、1年以上経過しているとみられ、同署は死体遺棄罪の時効の3年以上たっている可能性もあるとみている。同署は7日、小磯容疑者を地検郡山支部に送致した。
福島民友新聞
こちらも。
>に母親の遺体を放置したとして、福島県警は死体遺棄の容疑で、福島県西郷村の無職の男( 48 )を逮捕したと発表した。自宅そばの小屋からは、父親とみられる遺体も発見された。
死体遺棄容疑で逮捕されたのは、西郷村の無職・小磯信幸容疑者( 48 )で、2 人が死亡した経緯などについて調べる。
福島県警によると、5 日 15 時頃、西郷村熊倉の住宅を訪ねた警察官が 1 階の和室で布団に横たわっている女性の遺体を発見した。高齢者への記念品を届けようと複数回にわたってこの家を訪問していた村役場の職員が、高齢の夫婦がいつも不在にしていることを不審に思い警察に相談したことから事件が発覚した。
遺体はこの家の 92 歳の女性と見られ、警察がこの家に暮らしていた無職の小磯信幸容疑者( 48 )から事情を聴いたところ「 遺体は母親で放置していた 」などと話したことから 6 日未明、小磯容疑者を死体遺棄の容疑で逮捕した。
小磯容疑者は両親と 3 人暮らしで、自宅の小屋からは白骨化した父親とみられる遺体も発見された。
県警では 2 人が死亡した経緯などについて詳しく調べる方針。
たぶんこの男性は、知的障害、発達障害のたぐいでしょうね。だからとても仕事なんかできるようなものではなかったし、例えば親が死んで、年金がなくなって生活手段がなくなったらそれでどうすればいいかということもわからなかったのでしょう。そして、死んだら死亡届を出すとか、そういったことも実行する能力も低かったのでしょう。年金詐取というのも、どれくらい故意なのかはきっちり調べなければいけませんが、はたして本人からどの程度の供述が得られるか難しいかもです。警察が描いたストーリーをそのまま調書に書く、というようなことがなければいいのですが。
兄弟姉妹の有無とかも上の記事からはわかりませんが、母親が92歳で、この人が48歳ということは、母親が44歳くらいの時の子どもなんですかね。この人はたぶん1967年生まれくらいでしょうから、その時代の医療水準とかを考えれば現代をはるかに上回るかなりの高齢出産です。とすると兄か姉はいる可能性が高そうですが、幼くして亡くなったとか連絡がつかない状態にある可能性もあります。そうだとしたらそれもどうかです。いずれにせよ決して短くない間親と連絡が取れなくても特に不審に思ったりもしない程度の関係だったということでしょう。たぶん近隣や親戚なども、あまりかかわりあいたがらなかったんじゃないんですかね。
年金の不正受給ということもさることながら、たぶんこの男性に金を稼ぐ能力はないんでしょうね。それであれば、行政に助けを求めるとかほかになんとかする手段を見つけなければいけなかったんですけどねえ。なかなかその手助けをしてくれる人もいなかったのでしょう。
こういうのは、本来なら地域の民生委員とかが見守ってほしいところでもあるんですが、結果的に高齢者の独居者でもなかったからそのあたりから抜け落ちていたんですかね。
今回逮捕された人に対しては、不起訴になるか起訴になるか、実刑になるかどうかは今後の話ですが、かりに刑務所に入ることになったとしても、そのあとが心配ですね。たぶんこの人にお金を稼ぐ能力はない。施設のたぐいが引き取ってくれればいいのですが、どうなることか。
前に、知的障害者が、ほとんど行政からも地域からもまともに相手にされてもらえず、それで最終的には強盗殺人事件をしてしまって、死刑が確定した事件をご紹介したことがあります。
行政その他の支援がなかったことが非常に悪い事態をもたらした大きな要因と思われる強盗殺人事件の実例
この事件の場合、行政なりなんなりがもう少し犯人に対して支援をしていれば、少なくとも強盗殺人事件までは引き起さなかったと思います。世間から完全に見捨てられて、それで取り返しのつかない犯罪をしてしまい、そして死刑まで確定してしまいました。今回の事件では、この男性はそこまでひどい状況になる前に警察が介入する事態になりましたので、あるいはこれを機に何らかの支援が実現するかもしれません。それならむしろそちらのほうが幸いかもです。いずれにせよこの男性の能力ではなにもどうにもならないと思います。どうにかできるのは、周囲であり、行政その他です。