興味のない方からすればどうでもいいことですが、ある人からすればそれなりに面白い(まあ世の中の森羅万象だいたいそんなものですが)報道がありました。
><選抜高校野球>春夏通じ初…小中学生ドリームシートに招待
毎日新聞 1月13日(水)20時24分配信
今春の第88回選抜高校野球大会で、小中学生を無料招待する「ドリームシート」が新設されることが13日、発表された。バックネット裏中央2ブロックの最前列から7列目までの計118席。本塁の真後ろにあたり、投手の球筋や打者のスイング、本塁上でのクロスプレーなど、野球の醍醐味(だいごみ)を間近で味わうことができる。バックネット裏に招待する制度は春夏通じて初めてという。
大会運営委員会によると、日本中学校体育連盟に加盟する軟式野球部員数は2004年の29万8605人から14年は22万1150人まで減少している。日本高校野球連盟の竹中雅彦事務局長は「昨年100年を迎えた高校野球が200年と続くため、未来の高校球児を育てるのが我々の使命。小中学生が将来、甲子園でプレーするイメージを持つには一番いい」と裾野拡大につながることへの期待を示した。
参加した小中学生は試合観戦に加え、甲子園歴史館も見学する。今春は近畿地方のチームのみを招待するが、来年度以降は対象の範囲を広げることなども検討する。【安田光高】
>小中学生をセンバツ無料招待、毎日ネット裏118席
日刊スポーツ 1月14日(木)8時14分配信
第88回選抜高校野球大会(3月20日開幕)の運営委員会が13日、大阪市内で行われ、同大会から甲子園に「ドリームシート」を新設することが決まった。甲子園中央特別自由席内のバックネット付近の118席で、全国軟式野球連盟に所属する小中学生の軟式野球チームの選手を連日、無料招待する。招待選手は毎試合ごとに入れ替える。
甲子園の特等席の無料開放という思いきったプランは、日本高野連の強い危機感の表れだ。甲子園人気に衰えはないものの、少子化の影響などで少年野球人口は年々減少。中体連の資料によれば、06年は30万2037人だった軟式野球人口が15年は20万2488人に落ち込んだ。日本高野連の竹中事務局長は「未来の球児を確保することが大事」の考えで、昨年から温めていた計画を実行に移した。
バックネット裏を確保したのも、捕手や打者のすぐ後ろの臨場感あふれる場所からの観戦で、小中学生球児の野球への興味をより高めるため。初年度は旅費など金銭面の負担を軽くするために近畿2府4県のチームが対象になるが、来年度以降は硬式野球チームも含めて招待地域を広げる。観戦の前後には甲子園球場内の甲子園歴史館にも招待。同シートは夏の甲子園大会にも導入される予定だ。
バックネット裏は一般ファンにとってもあこがれの場所。大会中は徹夜のファンが球場前に列をつくる。そういった熱意を理解した上で、竹中事務局長は「球児をともに育てていかなければいけない。ご理解いただきたい」と訴えた。【堀まどか】
日刊スポーツの記事は、最後の段落にちょっと注目して下さい。また、日刊スポーツの記事には、下の写真があり、そこには
>赤色部分が新設される「ドリームシート」。写真は14年3月、校歌を歌う池田ナイン
とあります。
それでは「しつこい」と思われるかもですが、次の記事を読んでください。同じ内容の記事を3つも紹介するのには、それなりの理由があることはご理解いただけると思います。
>ラガーさん“引っ越し”へ 高野連がセンバツで「ドリームシート」新設
スポーツ報知 1月13日(水)22時33分配信
8号門クラブも「お引っ越し」へ―。日本高野連は13日、センバツ高校野球大会の期間中、バックネット裏前方に118席の「ドリームシート」を新設し、軟式野球チームの小中学生を無料招待すると発表した。
今年は全日本軟式野球連盟の加盟チームが対象。旅費の負担を考慮して、近畿地区に限定する。夏の甲子園大会でも設ける方向だ。少年野球人口は毎年減少しているだけに、臨場感あふれる席で観戦することで、甲子園へのあこがれを持ってほしいとの狙いがある。
甲子園大会のネット裏ではこれまで、同球場の8号門入り口で大会期間中に野宿している熱烈な高校野球ファンのグループ「8号門クラブ」の会員が最前列に座ることが多く、中でもラガーシャツを着て最前列で応援する名物客「ラガーさん」は有名だ。新たにドリームシートが設置されることから、8号門クラブのメンバーも「引っ越し」の必要に迫られそうだ。
どうでしょうか。だいぶこちらの記事は、報道の力点が異なるのではないでしょうか(笑)。
つまりどうもこの高野連の措置は、このシートについてのトラブルが昨年の夏に噴出したためのようです。報知新聞の記事にありますように、
>熱烈な高校野球ファンのグループ「8号門クラブ」
がかなり強引な席の確保を行い、トラブルが頻発しました。例えば「8号門クラブ」でない人が座ったらむりやりどかすとか、それでいて芸能人や若い女の子を隣に座らせたりとか。それで、上の記事でも紹介されている「ラガーさん」という人物は、著作まで発表したりマスコミでも好意的に取り上げられたりもしたくらいなのです。2015年の段階でも、神戸新聞で
>(前略)「私たちも球児とともに戦っている」。蛍光黄色の帽子にラガーシャツとひときわ目立つ男性。通称「ラガーさん」こと善養寺(ぜんようじ)隆一さん(49)が口を開く。
東京で印刷業を営む善養寺さんは、開幕4日前の今月2日、トレードマークのラガーシャツ約30枚を携え、高速バスで甲子園球場に乗り込んだ。
バックネット裏最前列で初めて観戦したのは85年春。桑田真澄、清原和博の「KKコンビ」擁するPL学園の試合を見て、バックネット裏のとりこになった。
「A列73番」。善養寺さんの“指定席”だ。99年からの連続観戦は、今夏1300試合を超えた。(尾藤央一)
という記事が出ています。で、下の写真を見てください。
前列の右から2番目の蛍光色の帽子をかぶっている人物が「ラガーさん」という人物です。彼が座っている席が
>A列73番
という席のわけで、一番上の写真の赤い部分に入ります(笑)。
しかし、挑発に乗ったといっていいのかどうかはともかく(そのあたりは、興味のある方はご自分でお調べください)、かなり重大なトラブルが発生してしまい、change org.で
>甲子園のバックネット裏は八号門倶楽部のものではありません。一部団体の私物化に抗議します
高校野球を応援する会 8号門クラブをはじめとする、一部団体は高校野球大会の自由席を私物化しています。具体的には、1人につき1席使用すべきところ、過剰なほど多くの席を占有していたり、先に着席していた観客を恫喝し、座席を強奪して他の席に移動をさせたりしています。また、阪神甲子園球場の警備員は一連の行為を黙認しています。これらの行為は健全な高校生スポーツにあるべき姿とは言えず、高校野球そのものを冒涜していると言って過言ではありません。来年の春には甲子園が球児たちにとって気持ちよくプレー出来る環境となることを望みます。そして、私たちは高野連、朝日新聞社、8号門クラブに対し、これらの行為が無くなるよう、具体的な行動を取ることを強く要求します。(後略)
というのが出ました。それで、「8号門クラブ」も引っ込まなかったので、それにより特にフロントの立場にいた「ラガーさん」という人物がどうもかなり激しいバッシングを受けたみたいですね。こちらのサイトでは、昨年の夏の甲子園の際にご当人へ取材を試みていますが、
>SPA!特捜班は過熱するバックネット裏の真実を探るため、ラガーさんと親しい野球ライターの菊地選手氏にコンタクトをお願いした。
「準決勝の前日に電話で話したのですが、本人は今回の騒動について非常に戸惑っていました。ラガーさんの主張としては『お金を払ってチケットを買い、席を取るために徹夜して並んでいるだけで何も悪いことをしていないじゃないか』ということ。8号門クラブのメンバーによる恫喝など、いろいろと取り沙汰されているので、その辺りについても聞きたいと伝えたのですが、『すべては甲子園が終わってからにしてほしい』と言われました」
特捜班も現場取材の際にラガーさん本人に直撃したのだが、「菊地さんと話した通り。終わったら話します」と言われ足早に去ってしまった。そしてこれ以降、ラガーさんとは連絡が取れなくなってしまったのであった。
とあります。「甲子園が終わってから」とありますが、その後彼が何らかの弁明などをしたかについては当方確認できていませんが、「どうもなあ」です。また、こんな発言も見かけました。
>ラガーさん、いろいろと大変なことになっている。ただ、8号門クラブのネット裏席占拠は別として、ご本人は中学生がそのまま40代後半になったような人なので黙認頂ければ…と、個人的には思う。8号門の人からも長年全試合観戦を続けたことで徐々に認めてもらってあの席に到達しただけらしいので。
そんなん全然ご当人(たち)の行動の弁護になっていないじゃん(苦笑&呆れ)。だいたい
>8号門クラブのネット裏席占拠
を「別」にしちゃ、全然問題の本質から外れちゃいます。不可分でしょ、これ。
>ご本人は中学生がそのまま40代後半になったような人なので黙認頂ければ…と、個人的には思う。
って、そんなことを黙認する義理なんか赤の他人にありゃしないでしょう。ていいますか、「ラガーさん」て、40代後半になっても中学生並みの社会性しかお持ちじゃないってことなんですかね? そんなの単なる馬鹿かそうでもなければ発達障害じゃないですか。いずれにせよ自慢したり居直ったり擁護したりするような話ではない。
>8号門の人からも長年全試合観戦を続けたことで徐々に認めてもらってあの席に到達しただけらしいので。
って、そんなの何の権限があって、「認めてもらって」なんて話になるんでしょうか。馬鹿も休み休み言え、というレベルです。
あんまり書いても長ったらしいのでやめますが、そう考えてみると、上の3つの記事のスタンスも面白いですよね。毎日新聞は当事者だから、まったくこの席取りトラブルのことを書かない、朝日新聞系の日刊スポーツは、多少なりとも書く(夏の甲子園だったら書いたかどうか?)、高校野球とは直接関係ない報知は、はっきり書いている(笑)。この件て、正直主催者側(朝日、毎日両新聞と高野連)と阪神甲子園球場側がきっちり峻厳な態度を「8号門クラブ」その他に取っていればこんな事態にならなかったわけですが、そのあたりは高野連としては責任を取りたくないスタンスだから、
>「未来の球児を確保することが大事」の考えで、昨年から温めていた計画を実行に移した。
という建前のもとに、体よく追い出すということなんでしょうね。それは関係者たちの不徳の致すところというやつでそうなることはしかたありませんが、こんな馬鹿げた事態になる前に、いくらだって手は打てたでしょうにねえという印象はぬぐえませんね。主催者と会場(スタジアム)とファンというのは、少なからず癒着が生じやすいところはあるわけですが、これもその典型なのだろうなと思います。どうもなあです。