すみません、これ2月にも放送されていたのですが、その時は記事にし損ねたので、今日記事にします。
CSチャンネルの「ザ・シネマ」で、明日5月3日に、「ゴッドファーザー」シリーズの、かつて日本テレビで放送された吹き替えバージョン(1作目と2作目)、フジテレビのバージョン(3作目)が放送されます。現在ソフトは、1作目と2作目は、野沢那智以外の人が担当しているバージョンが収録されています。3作目は、ソフトは野沢ですが、放送されるのは別録のバージョンですから、これはなかなか貴重です。
で、そういうことを言うのもちょっと気が引けますが、やはりアル・パチーノの声は、野沢那智に限りますね。野沢さんが亡くなったので、もう今後野沢のパチーノの声を聞くことは出来ませんが、そしてパチーノの声が野沢みたいな声のわけでもないのですが、そういったことを超越して野沢のアル・パチーノははまっています。実際、私もちょっと出典はいま示せないのですが、野沢那智に、どの映画の吹替えが一番思い出にあるかという(かなりすごい)質問をされた際、野沢氏は、いろいろあるが、やはり「ゴッドファーザー」シリーズの吹替えは、すごい経験だった、というような趣旨のことを語っていました。私も、やはりこの時の野沢の声はすごかったと思います。
それで、マーロン・ブランドの声を担当しているのが、鈴木瑞穂です。鈴木氏は、前にも記事にした「ペーパー・チェイス」で、その名もいかめしいキングスフィールド教授(ジョン・ハウスマン)の声をあてました。それで、鈴木、野沢両氏は、これまたきわめて知名度の高い映画でも、親子の声を担当していました。その映画は、「エデンの東」です。野沢さんのジェームズ・ディーンも良かったですね。ちなみに、ディーンと双子の兄弟役のリチャード・ダヴァロスの声は、 富山敬が担当しています。関係ない話ですが、ダヴァロスは、「暴力脱獄 」にも出演していまして、その映画でアカデミー助演男優賞を受賞した(過日記事を書きました)ジョージ・ケネディがお亡くなりになった直後の3月8日に亡くなっています。この映画のスタッフや俳優も、多くはすでにこの世の人ではありません。
以下だんだん話が違ってきますが、「暴力脱獄」には、わりとディーンと関係のある俳優たちが出演しています。前述のダヴァロス以外にも、「エデンの東」で母親を演じたジョー・ヴァン・フリートがポール・ニューマンの母親役で出演していますし、ニューマン自身ディーンと親交があり、また「エデンの東」に出演するためにオーディションでもいいところまで行っていたくらいです。「理由なき反抗」で不良少年を演じ、「ジャイアンツ」でも出演していたデニス・ホッパーもこの作品に出演しています。つまりは、1950年代半ばくらいにデビューした俳優たちが60年代半ば過ぎに中年の役を演じるようになったということですが、これはこれでなかなか興味深いところがあります。
話が脱線しましたが、いずれにせよ鈴木、野沢のほかにも、森川公也のロバート・デュヴァルなんかも最高にいいし、鈴木弘子のダイアン・キートンも最高です。鈴木さんは、野沢同様3作とも担当しています。また、ジェームズ・カーンを担当した穂積隆信も、よく声がはまっていました。また麻薬取引を持ちかけるソロッツォ( アル・レッティエリ)の声を演じた小林清志も、さすがの鋭い吹き替えです。
長くなるのでこのあたりでやめますが、そういうわけでこれはなかなかいいと思いますので、せっかっくの連休ですから、ぜひご覧になるか録画しておくことをお勧めします。やはり吹き替え黄金時代だったのだなと思います。