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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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なかなかすごいニュースだ(英国のEU離脱)

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私の職場は、12時から1時が昼休みですが、昨日は私は「昼当番」で、電話番をしていました。そうしたら、12時40分ごろでしょうか、Yahoo!のニュースを見ていたら、英国のEU離脱の是非を問う国民投票で、離脱派が若干優位にあるという報道を見ました。

で、この時の私の印象は、でも最終的には残留派が勝つんじゃないのくらいのものでしたが、1時になって職場の厚生室に入ったら、NHKのニュースをやっていて、BBCが、離脱派の勝利が確実になったと報道していました。思わず私「うひゃー」です。職場の連中も、さすがに驚きを隠せませんでした。

このブログでは特に記事を書きませんでしたが、私は、この間(2014年)のスコットランドの独立投票と同じで、最終的には残留派が勝つんじゃないのと考えていました。inti-solさんのブログに、その旨コメントしています。

>Re:イギリスのEU離脱国民投票(06/12) Bill McCreary さん

私個人は、この間のスコットランドの独立投票と同じで、現段階ではやはり残留派が有利ではと(勝手に)予想していますが、仮に残留派が勝つとしても票差には注目したいですね。たぶんEU残留の話も、今後英国ではまだ問題となりつづけるでしょう。

現在私も、英国の旅行記を書いていますが、英国はシェンゲン協定にも加盟していないし、英国ポンドを使用しているなど、独自路線を取っていますからね。独自路線を今後も取りつづけることが、英国がEUにとどまるための条件であり続けるのかもしれませんね。 (2016.06.13 07:48:55)

私の勝手な想像では、たぶん多くの日本人も、そしてEUや米国その他の国々の人々も、最終的には残留派有利ではと考えていたのではないでしょうか。しかし離脱派が勝ちました。これはほんとにすごいことですね。保守党と労働党で政権交代があったかどうかというよりはるかに英国とEU、その他の国々に与える影響は甚大です。「革命」とまではいいませんが、その次くらいの体制の大変動があったといってもいいかもです。

英国はご存知の通り、EUの中でもかなりの独自路線を歩んできました。シェンゲン協定には加盟していないし(だからアイルランドも、協定に参加していません。英国とアイルランドは伝統的にパスポートチェックをしていませんから、英国が加入していない以上アイルランドも加入するわけにいかないのです)、また英国ポンドを使用しています。ユーロを使っていないというのは、つまりは英国内でユーロ移行への反対が多かったということです。Wikipediaのユーロの項目によれば、

>イギリスでは2006年に当時の首相のトニー・ブレアの発言により、ユーロ導入の是非については国民投票を実施することになっていた。ところが2005年にフランスとオランダでの国民投票の結果、欧州憲法条約の批准が反対されたことにより、イギリスでは欧州憲法条約の批准の是非を問う国民投票が無期限に延期された。またブレアの後任であるゴードン・ブラウンはユーロに対して懐疑的な立場を持つとされ、さらにブラウンがブレア政権で通貨政策を担う財務相を務めていた時、ユーロ導入について両者が対立したこともあり、ブラウン政権下ではユーロ導入の議論が進まなかった。

ということです。どっちみち今回の国民投票で残留が決定したとしても、とてもユーロ導入などできない相談でしょうが、今回の離脱により、まさに英国ポンドは今後とも英国の通貨であり続けることとなりました。

で、今回は、年長者に離脱支持派が多く、さらに労働者階級にも離脱支持派が多かったとされます。さらに地方も離脱支持派が優勢でした。逆にスコットランドは残留派が強かったわけです。

詳しいことは専門家がいろいろな知見をもとに解説してくれるでしょうが、素人の私が勝手に考えを書きますと、まず年長者にとっては、やはり「英国は英国であり、欧州の一部にあらず」という考えがあったのだろうと思います。若い世代は、より「英国は欧州の中の一国だ」という考えが強いと思われますが、1973年1月1日にEECに英国が加盟した日より前を重視する人たちからすれば、英国は欧州の一員でない、十分自分たちでやって行けるしやって行かなければならない、くらいの想いがあるのかもです。

さらに労働者階級、地方でもEU離脱の支持者が多かったというのは、つまりは、移民その他の負担は耐えられない、みたいなところがあるのでしょう。連中に金を出すのなら、自分たちに金を出せということです。いくら移民の受け入れが、英国の経済に取ってプラスだといっても、いや、シティとかの金持ちはそうかもだが、我々にとっては競合する相手でしかない、ということについて、けっきょく残留派は、最終的な説得が出来なかったということなのかもしれません。

逆にEU残留派が強いスコットランドは、さらに独立の機運が高まるかもですね。北アイルランドもです。記事を。

>英国がEU離脱へ、スコットランド首相は独立を示唆

AFP=時事 6月24日(金)14時40分配信

英国がEU離脱へ、スコットランド首相は独立を示唆
【翻訳編集】 AFPBB News
【AFP=時事】英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票は24日、英国放送協会(BBC)によると382選挙区のうち374選挙区で開票が行われた段階で「離脱」票が52%となり、離脱派の勝利が確実となった。為替市場では英ポンドが急落し、31年ぶりの安値を付けている。

 こうした中、スコットランド(Scotland)のニコラ・スタージョン(Nicola Sturgeon)自治政府首相は「スコットランドの未来はEUの一部となることだ」と発言し、独立を目指す可能性を示唆した。英スカイニュース(Sky News)がBBCへのコメントとして伝えたところによると、スタージョン氏は「スコットランドは62%がEU残留に投票した。明確かつ断固とした答えだ」などと語ったという。

 一方、北アイルランド(Northern Ireland)でも、カトリック系民族主義政党シン・フェイン党(Sinn Fein)が、アイルランドとの統一の是非を問う住民投票を行うべきだと表明。「北アイルランドは、イングランドの投票結果に引きずられている。シン・フェイン党は今こそ長年の要求である南北統一をかけた国民投票の実施を強く求める」とデクラン・キアニー(Declan Kearney)党幹事長が述べた。【翻訳編集】 AFPBB News

北アイルランドの場合独立でなくアイルランド統合ですが、英国の長きにわたる枠組み、つまり1922年にアイルランドが北部を除いて分離してから約100年続いた「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland (UKと略称されます。英国のネットもuk.です))が、ことによったらイングランドとウェールズのみになるということも考えられます。それは英国の安定を阻害するし、また当然他国にも大きな影響があります。

最大の影響は、たぶんEUから(英国のような)大国が脱退する、といういわばタブーだったことが「あり」になったことでしょうね。英国は、上にも書いたように、シェンゲン協定にも参加しないし英国ポンドを維持したりと、いいとこどりとまで言っていいかはともかく最大限の配慮をされていたのですが、それでも離脱になれば、じゃあ我々もと考える人たちが出てくるのは自然の流れというものでしょう。そういうことも考えると、いやー、すごい時代になったと思います。いいとか悪いとかはともかく(経済では悪いでしょうが、しかし国民の判断ですから、これはしょうがないわけです)、実にいろいろな影響、私たちがなかなか想像しえないことが起きるかもです。私も英国は好きな国ですが、これは私なりに大きく注目したいですね。それにしても、エリザベス女王もさすがにもう長い時間人生が残されているわけではないですが、彼女も自分の在任中に英国がEUを脱退するなんて想像しなかったでしょうね、きっと。

ほかにも国民投票の功罪とか考える論点はいろいろありますが、これは違う時に記事にできればと思います。あるいは参議院選挙の結果で改憲(憲法改正とは私は書きません)の発議と国民投票が日本でもあるかもです。

なお英国紙幣の写真は、昨年の英国旅行の際にみやげで持ちかえったもの、ヒースロー空港のイミグレーションの写真は、その時の旅行の際のものです(こちらの記事でご紹介しました)。


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