リオデジャネイロ五輪が終わって個人的な意見を言いますと、やはりテニスとゴルフはオリンピックの競技にはそぐわないなと思いました。他にもオリンピックの競技としてはどうかと思うものはいろいろありますが、テニスとゴルフは非常にそぐわないなと思います。
で、なぜそう考えたかというと、けっきょくこのスポーツが個人スポーツで、しかもプロ化が進んでいる、ということです。この2つは、オリンピックの競技としては根本的にそぐわないのです。
つまりテニスもゴルフも、それをする人は基本的にオリンピックのメダルとか出る意義について興味がありません。それは当然な話で、テニスやゴルフをする人にとっては、四大オープンや全英オープンなどで勝つほうがよっぽど目標になるわけです。オリンピックの金メダルをどうしても取りたいと考えるのなら、違う競技をするでしょう。
おまけにテニスも、今回はどうもランキング加算にもならなかったわけで、それでは選手だってやる気などおきません。アンディ・マレーは、前回ロンドンは地元だからがんばったし、今回もその流れでがんばったのでしょう。日本の錦織圭は、日本人がオリンピック好きなのと、あとは日本テニス協会に対してだかどこだかそのあたりはつまびらかでないですが、つまりは義理で一生懸命やったんでしょうね。彼自身は、そんなにオリンピックのメダルというものに興味があるとは思えません。ゴルフにいたっては、やる人はみんな何らかの義理で参加しているだけでしょう。
それで、今夏のオリンピックは、治安が悪いだジカ熱だなんてのが、かっこうの出場辞退の理由になったわけです。治安が悪いのは事実だし、ジカ熱もいやでしょうが、出る価値があれば、また態度も違います。
そしてこれは上に書いた話につながることですけど、この2つのスポーツは、基本的に個人スポーツなわけで、国同士の戦いという趣旨がどうしてもぬぐえないオリンピックにはそぐわない部分が大きいわけです。マレーが金メダルを取って英国旗が掲げられて「God Save The Queen」が流れるというのも、本来変な話なわけです。私はどっちみちオリンピックでの国旗(?)掲揚と国歌(?)斉唱なんてのは非常にばかばかしいので絶対やめろと思いますが、しかし現実にはなくならないでしょうが、そんな私の個人的な意見はともかく、基本的にテニス選手というのは国籍とかいうものとほとんど無関係にプレーしているわけです。それはゴルフもご同様。国別対抗戦より個人戦のほうがずっと大事だし、またファンも興味があるわけです。
例えばテニスのダブルスは、オリンピックでは国籍が一緒であることが求められます。こんなのなんの意味もないのですが、IOCはそういったことにこだわります。フィギュアスケートのペアやアイスダンスもそうですが、国籍の統一にこだわる必要はないでしょう。どうしても国旗を掲げたいのなら、五輪旗でも掲げればいいだけです。テニスのダブルスに国籍なんか関係ないはずですが、そういうわけにはいかないというのも、テニスがオリンピックにそぐわない理由です。
以上ほとんどテニスの話ばかり書きましたが、ゴルフも事情は一緒でしょう。ゴルフが五輪競技になったのは、つまりはゴルフ振興のための方策ですが、ゴルフは多分テニス以上にオリンピックにそぐわないスポーツだと思います。だから長きにわたってオリンピックの競技から外されていたのです。
たとえば今回日本がわりと活躍した種目でいえば、水泳も柔道もレスリングも、日本を統括する協会のたぐいが最終的な権限をもっていますし、そこを軸に強化したり選手を選抜したり各大会に派遣しているわけです。しかしテニスもゴルフも、基本的にあるところまで来たら自分でどうこうしなければいけないスポーツです。自分でコーチを選び、マネジメント委託をしたり、いわば自分が主体になって動かないとダメなスポーツです。つまり個人の裁量が大きい。こういう部分も、けっきょくオリンピックの体質とそぐわないのだろうなと思います。
そう考えると、オリンピックで金メダルを取ることが最高の栄誉であるスポーツとそうでないスポーツの違いというのがありますよね。次の東京オリンピックで野球とソフトボールが復活しますが(しかしたぶんこのオリンピックのみの復活になるでしょう)、ソフトボールは金メダルが最高の栄誉ですが、野球は、もしプロが参加するのなら、たぶん「もらえればうれしい」という程度の大したことはないものになるでしょうね。プロ野球の選手なら、ペナントレースに勝つこと、そして最終的にMLBで活躍したり自分の年俸が上がるほうがよっぽど重要だし、またそれが当然なわけです。そしておそらく、MLBは東京オリンピックに選手は派遣しないでしょう。
ゴルフは今大会私はほとんど関心を持ちませんでしたが、テニスに関しても、正直「美女探求」に取り上げる対象としての関心以上は持ちにくいと思いました。