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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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篠田正浩監督「沈黙 SILENCE」を観よう

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いよいよ土曜から、マーティン・スコセッシ監督の「沈黙 -サイレンス-」が公開されます。話題にもなっているかと思います。

それで、この映画は遠藤周作の小説を原作としていますが、ご存知の方も多いでしょうが、この小説はすでに1度映画化されています。1971年の東宝製作の「沈黙 SILENCE」です。篠田正浩監督、篠田作品の常連(奥さんだからね)である岩下志麻丹波哲郎戸浦六宏らが出演しています。遺憾ながら私もまだ観ていません。

なお主人公を演じたのはデイヴィッド・ランプソン(David Lampson)という無名俳優です。調べてみましたが、あまり活動が見えません。もちろん英語版Wikipediaにも名はなく、わずかにIMDbに名が見られるくらいしか情報がありませんでした。

 

こちらの記事に掲載されている公開当時のパンフレットによると詩人であり作詞家であり前衛演劇をやっていると書かれています。またこちらによると英国出身で、この映画に出演したさいはもっぱらロサンゼルスで活動していたようですね。しかしその後彼が出演したドラマや映画は英国制作のようなので、あるいは英国に戻ったのかもです。70年代なかばで映画・テレビ関係の俳優活動はしていないようです(舞台などでの活動はあるかもしれません)。

そもそも主演をはれる格の俳優ではなかったのでしょうが、たぶんこの映画への主演が彼の最初で最後の大きな役になったようです。現在存命しているかも定かでありませんが、たぶん彼あるいはその関係者は、スコセッシ監督で自分が出演した映画と同じ原作の映画が製作、公開されるというのにはそれなりの感慨があるんじゃないんですかね。

いずれにせよ当時は、日本製作の映画では思い切って有名な俳優を招聘するというのは、特にこの「沈黙 SILENCE」のような映画ではできなかったんでしょうね。そういった日本映画でしか活躍できなかった外国人俳優たちについて調べてもそれなりに興味深そうです。

 

それでこの篠田作品ですが、2005年にDVDが発売されたものの、現在絶版状態のようで、Amazonなどでも高く取引されています。あるいは近日中に廉価で再発売されるかもですが、現段階やや敷居の高い価格です。

しかしスコセッシ作品の公開にあわせて、この篠田作品を観る機会にめぐまれます。まずは劇場公開から。来週22日、24日、26日とやや変則的な日程での公開ですが、都内の早稲田松竹で同じ遠藤原作の」「海と毒薬」とのセットで観ることができます。変則な公開の仕方ですのでご注意ください(別の日には、スコセッシの映画が公開されます)。

「沈黙 SILENCE」と「海と毒薬」を同じ日に観たら思いっきり精神が欝になりそうですが、どちらも35mmフィルムによる上映ですので、かなり貴重な機会かと思います。ぜひどうぞ。

映画館に見に行けない人は、日本映画専門チャンネルでこの映画が放送されるので観ることができます。

3回の放送予定ですかね。もちろん映画館で観るほうが好ましいには決まっていますが、しかしCSで観るのも良いチャンスです。加入している方はもちろん、していない方も、これを観るだけで1か月だけ加入するのも悪くないのかなと思います。私もかつて、ジェーン・バーキンのライヴや「透明ドリちゃん」、好きな某芸能人の出演ドラマを観るために特定のチャンネルと契約したことがあります。

ところで「沈黙 SILENCE」は、遠藤周作が脚本【脚色)を担当しています(篠田と共作)。遠藤原作の映画は何回も製作されていますが(ただし遠藤の死の翌年の97年の「愛する」(原作は、「わたしが・棄てた・女」)以降は、今回のスコセッシ作品まで製作はないようです。遠藤の小説も過去の小説になったのかなという気はします)、脚色を担当したのは、この映画が最初で最後のようです。その理由については私も調べていないのでよくわかりませんが、やはりそれなりの思い入れはあったのだろうなと思います。この映画のパンフレットや当時の映画雑誌を参照したり、遠藤についての著作なども確認してみても面白そうです。

もちろん私も、両方とも映画を観るつもりだし、また原作も読んでいないので(すみません)、いろいろ楽しみたいと思います。


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