過日(5月23日)拙ブログのアクセスが非常によく、gooで39位でした。翌日はこれ以上のアクセスでしたが、これは同時に北原遥子(吉田由美子)さんの記事が注目されたためです。
それでなにかあったのかと思ったら、こちらの記事のアクセスが非常に高かったわけです。
名古屋闇サイト事件における被害者の母親の主張を批判する(1)で、「闇サイト」事件でなんか動きがあったのかと思いました。犯人の死刑が執行されたわけがないし(3人の犯人のうち、1人は死刑執行済み、1人は無期懲役確定後、別件で逮捕・起訴、高裁で死刑判決、上告中、3人目は無期懲役確定)、また被害者の母親が非常識な講演でもしたのかとも思ったのですが、それで拙ブログのアクセスがここまで上がることもないでしょう。
そうしたらこちらの事件の影響のようですね。記事発表当日の追記:この事件についてのテレビ番組が放映されたようですね。コメントくださったアスペ主婦さんありがとうございます。
>高3女子殺害で無期懲役=31歳男、「身勝手な犯行」-東京地裁
東京都江戸川区のアパートで2015年、高校3年の岩瀬加奈さん=当時(17)=を殺害したとして、強盗殺人などの罪に問われた青木正裕被告(31)の裁判員裁判の判決が23日、東京地裁であり、島田一裁判長は求刑通り無期懲役を言い渡した。
島田裁判長は「被告には首を絞められて苦しむ女性に性的興奮を覚える性癖があった」と指摘。「執拗(しつよう)で残忍、動機は身勝手極まりない」と批判した。
青木被告は最終意見陳述で、「有期刑か遺族の求める死刑ならよいが、無期懲役だけはいやです」などと述べていた。
判決によると、青木被告は15年11月、自宅アパートで岩瀬さんの首を絞めて殺害。性的暴行は未遂に終わり、現金約7500円などを奪った。(2017/05/23-18:57)
「連続殺人で死刑になるつもりだった」「“すっきり”して自首」 東京・江戸川の女子高生強殺、青木正裕被告が供述
平成27年11月、東京都江戸川区の自宅アパートに同区の高校3年、岩瀬加奈さん=当時(17)=を連れ込み、首を絞めて殺害し現金を奪ったなどとして、強盗殺人と強盗強姦未遂の罪に問われた無職、青木正裕被告(31)の裁判員裁判の初公判が16日、東京地裁(島田一裁判長)で開かれた。同日午後には弁護側の被告人質問が行われ、青木被告は「連続殺人をして、死刑になろうと思っていた」などと述べた。
(以下略)
被害者もそのご家族も非常に気の毒ですね。被害者の女子高校生の方のご冥福をお祈りします。
それで考えるに、この犯人、被告人の発言
>有期刑か遺族の求める死刑ならよいが、無期懲役だけはいやです
>連続殺人をして、死刑になろうと思っていた
というのは、もし本当にこの被告人がそう考えているとすると、非常に悪質ですが、またどうしようもないなという気がします。「自分は死刑になってもいい。犯罪をしたい」という人間に対して、刑罰による抑止効果はありません。死刑判決が下ったら、なんであろうと控訴なり上告をすべきだと私は思いますが、往々にして控訴(上告)もせずに確定する被告人も存在します。そのような人間は、最高裁まで争った死刑囚より早く死刑が執行されるようですが(法務省が優先して執行予定者としてリストアップするのでしょう)、いずれにせよ裁判すら受ける気が乏しいのですから、これはそういうことになってしまうでしょう。実際には、控訴しなかった人間の中にも、後悔して裁判をしてくれと訴える死刑囚も存在しますが(上の闇サイト事件で死刑になった人物もそうです)、なかなか裁判の再開も困難です。しかし初めから死刑になりたいという趣旨のことを訴えてそれで現実に死刑判決が出て、そのまま早急に死刑が執行される死刑囚もいます。宅間守(執行時は吉岡姓)などがそうです。あまりいい表現ではないですが、ちょっと別格の犯罪者という気がします。
政治団体や宗教団体などの公安事件などはまた性質が違う部分がありますが、「死刑になりたい」犯罪者は、家族、身内を殺す場合もありますが(こちらの事件の犯人は、身内を殺害しました。ただし後に裁判のやり直しを求めてかなわず刑場に消えました)、多くの場合無関係な人間を通り魔的に殺します。大阪教育大学附属池田小学校の事件、大阪市での姉妹殺害事件、茨城での通り魔事件など。これらは、姉妹の事件は特定の人間を標的にした事件ですが、別に殺すような理由もないものです。池田小学校や茨城の事件などは、単にそこにいただけの人が被害にあったわけです。今回の事件も、たぶん被害者の方は上の姉妹のようなもので、単に犯人に何らかの形で目に付いたから被害者になっただけです。日本は治安のいい国ですから、ある人間が殺される場合その加害者の半分くらいは家族です。多くの場合、人を殺すためにはそれなりの強い人間関係を必要とする。通り魔的殺人事件は、単にそこにいただけ、殺人犯に何らかの形で関係があっただけで被害者になる。つまり運が悪いから被害者になっただけです。
それで運が悪いというのはこれはどうにもなりません。被害者に落ち度がないんだからどうしようもない。「死刑になりたい」のだったら、刑罰を受ける恐怖も抑止力にならないのだから、お話になりません。
もちろん最高裁まで争って、自分を死刑にしないでくれと訴えた通り魔的殺人死刑確定囚もいます。福岡の3女性連続強盗殺人事件などがそうです。こういう人間も度し難い馬鹿ですが、しかしいずれにせよ犯罪をしている間は、刑罰はこの人物の犯罪を抑制することができなかったわけです。被害者は、みな犯人と関係ない人間です。交通事故や電車の脱線、飛行機事故、登山中に御岳で噴火にあい死んだ人、テロの犠牲者、それと同様の不運が故の死です。何もどうしようもないとはいえ、せいぜい私たちとしては、自分やその周囲にそのような被害が起きないことを祈るしかありません。
なお英国のコンサート会場での自爆テロでは8歳の女の子まで亡くなっています。自爆テロ犯は、まさに命を賭してこの事件をしているのだから、これまた防げないですね。報じられているところによると、今回はコンサート会場そのものでなく、駅への通路で爆破させたとのこと。コンサートが終わる際に大勢の客が変える時間にやられてはどうにもなりません。防いだって、防がないところで同じことをすればいいだけです。日本だって、TDLとか渋谷の交差点とか大都市の歩行者天国とかスタジアムとか京都とか、その国の顔みたいなところがいっぱいあるじゃないですか。満員電車をねらったっていいし、通勤ラッシュ時の大都市のターミナル駅など、大量殺人を簡単に実行できるところなんてたくさんあります。立花隆の本に、彼がイスラエルの治安機関の類の人から、死ぬつもりのテロリストの犯罪は防げないという趣旨の話をされたという内容のことが書かれていました。「死んだっていい」と考えられたら、そしてそれを実行されればなんでもありですから、これまたどうしようもありません。オウム真理教の犯罪の実行犯は、浅原彰晃もふくめて「死んだっていい」とは考えなかったみたいですが、自爆テロの類をする連中は「死んだっていい」どころか死ぬつもりですからこんな人間どうしようもありません。極端な話、命知らずを数人雇って、ラッシュ時の山手線、小田急線、新幹線、離陸、着陸直前の飛行機などを同時にロケット弾とかで攻撃すれば、想像を絶する被害が出ます。現段階する人はいませんが、する人が出現したっておかしくはない。
テロリストは、不特定多数の人間を殺害しようと考えるわけだから、個々の人間への恨みなんかありはしないわけです。それでも事件を起こす。地下鉄にサリンをまいたり、高層ビルに飛行機で突っ込む人間もいるし、子どもに爆弾を持たせて子どもごと爆破する人間もいるわけです。なお地下鉄サリンについては、私も被害にあう可能性がありました。私があわなかったのは、単に運がよかったからに過ぎません。そしてあなたも私も、運が悪ければ何らかの事件に遭遇し、最悪死ぬわけです。防ぎようはありません。なお写真は、上の英国のテロで死亡した8歳の少女Saffie Rose Roussosの写真です。この事件の犠牲者の方々のご冥福も同時にお祈りいたします。写真は、こちらのサイトより。他の犠牲者の方がたの写真も掲載されています。