海外を旅行する際、その国の言語が話せれば、あるいは日本語が通じれば、たいへん旅行しやすいわけですが、日本語は原則日本のみ第一言語だし、英語以外の言語を日本人はあまり勉強しません。これもなぜ勉強するかといえば、一に学校で強制的に勉強させられるからで、第二が英語ができれば(なんとなく)かっこいい、ドラマや映画を原語で見たいとかいう実用性に欠ける理由じゃないですかね。これじゃあ英語なんかできるようになるわけがありません。できなくったって不自由しないんだから当然の話。が、私の場合、年に複数回どっかの国に行っていますから、そうなると外国語の勉強も多少なりとも役に立ちます。
私がまともに勉強した言語は、英語とフランス語だけですが、英語なんかすっからかんに通じない国もたくさんあるし、また現地の言語が多少なりともできれば悪い顔はされないわけです。
たとえばオランダとかスウェーデンとかデンマークなんて、国民がだいたい英語を話しますが(これは教育制度の問題も大きいわけです。大学教育のテキストが英語で執筆されていれば、高等教育を受けていれば否が応でも英語に強くなります)、それだって私みたいな人間がスウェーデン人に「タック・ソ・ミュッケ」(だいたいご想像はつくでしょうが、「ありがとうございます」くらいの意味)というだけで、かなり驚いた顔をされることもあるわけです。もっとも私が言ったのは日本(愛・地球博でのはなし)ででして、スウェーデン本国ではそんなに驚いた顔はされませんでした。
逆に内戦前のシリアに行ったとき、夜に街を徘徊していたら、シリア官憲から鋭い目つきでにらまれました。強権国家で警官とトラブルが起きたらやばいなあと思ったら、その警官は「ヤバーニ」とか言って、笑顔になりました。それで私がアラビア語で「シュクラン(ありがとう、の意味)」と言ったら、「おお、アラビア語を話せるじゃないの」と嬉しそうに言いました。世の中そんなこともあります。
そんな話はともかく、私がそこら中の国をほっつき歩いて、いろいろな経験をした上で考えたところ、知っていると役に立つ単語は、まずは次の4つが基本です。すなわち
こんにちは
ありがとう
さようなら
どうぞ(英語のpleaseに類する単語)
の4つです。つまりハローとかダンケとかオルヴォワールとかポルファボールとかを知っていれば、たいへん役に立ちます。これは、個人で外国旅行をした人はだいたい賛同してくれるのではないかと思います。
これに1から10までの数が数えられて、東西南北がいえれば、ほぼ最低限はクリアしているのではないかと思います。
それで私はというと、スペイン語は、1から10までは数えられますが、東西南北はいえませんので、これは勉強しなければいけません。ドイツ語は、1から10までも怪しいくらいです。逆に中国語は弱くても、方角と数は数えられる人は多いでしょう。マージャンの効用?
次の段階は、ちょっと失礼します、○○があるか、これはいくらか、高い(安くしろ)、領収書くれ、××はどこだ、△△をしてくれなんていう初歩の表現が言えるかです。実際には場所やレシートとかを言えば向こうも理解するし、嫌そうな顔(高いじゃん)をすればだいたい話は通じますが、知っていればそれに越したことはないわけです。
現実問題としては、私の持論を申し上げると、ビジネスをするのならその国の言語をきっちりやらないとだめですが、消費だったらカタコトでも何とかなります。金儲けは難しいのですが、消費は、先方だって売りたい(消費させたい)のですから、言葉ができないということがそんなに問題となるわけではない。
それで話を元に戻しますと、単語を連呼するだけでなく、多少まとまった文をいえればそちらのほうが一目(?)おかれます。たとえば「ハーベン・ジー・アイネ・ミネラル・ヴァサー・オーネ・ガス?」(ドイツ語で「ガスなしのミネラルウォーターある?」と言ったつもり)なんて言えば、多少はドイツ語ができそうな人間だと思われるかもしれません。実際のところは、「Haben Sie・・・」という決まり文句を知っているだけの話ですが、ともかくいろいろ役に立ちます。
また私がデンマークに行った際、客室乗務員に「水一杯ください」と英語で言ったら、隣に座っている若い2人の日本人女性(ギリシャのガイドブックを持っていました)が、「いいわねえ、英語ができるのって」なんて話していました。単に「Would you mind・・・?」と言っただけで、こんなの英会話教室の最初にやるようなものですが、そういうはったりもかませるわけです。
さてさて、年末年始にキューバに行く予定ですが、もともとスペイン語圏の人たちは外国語が苦手です。ブラジル人もやはり英語が苦手らしい。大きな言語人口を抱えている国は、だいたい自分たちの言語で間に合っちゃうのであまり外国語を勉強しようという意欲にも実用にも欠けるわけです。英語やスペイン語やフランス語や中国語、日本語を話す人たちが外国語を苦手とする大きな理由がこれです。必要なければ、好きでなければ外国語を勉強しようなんて人間考えません。
もっともそう考えるとドイツ語なんて人口は多いですが、やはり英語に近い言語のせいか、わりと英語は得意です。またフランス本国の人は、私の知る限りたぶんスイスやベルギーなどと比較しても英語は苦手で嫌いなところがあります。
キューバに関しては、外国人観光客が増えているのでその関係者は当然として一般市民も、昔よりは話せる人間がだいぶ増えているでしょうが、しかしやはりスペイン語ができないと不便なはずです。そういうわけで、簡単にスペイン語を勉強することとしました。スペイン語が第一言語の国というのは初めてですので、1度勉強すればあとあと役に立ちます。
なおキューバのスペイン語についての本もあります。
スペイン語というのも、yoという表記を「ヨ」と発音するか「ジョ」とするかなど、スペインとラテンアメリカ諸国、スペイン内、ラテンアメリカの国々、その地方でもいろいろ違いがあります。英語が、英国、アイルランド、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、シンガポール、その他旧英国植民地の国々ほかで、すべてがいろいろ違っているのと同じです。
いずれにせよ英語があるていどできればフランス語やドイツ語は勉強しやすいし、そこから発展させてスペイン語やポルトガル語、イタリア語、オランダ語や北欧系の言語なども習得は容易なわけです。日本人の99%は、最初の外国語として英語を勉強する(させられる)し、ドイツ語は英語と同系統の言語、フランス語はラテン系の言語ですが、文法、語彙共に英語と双方に影響があるので、実は日本人にはとっつきやすい言語なわけです。フランス語で、「ル・モンド」や「異邦人」を読めるくらいの読解力があれば、スペイン語などは非常に勉強しやすいはず。
話が長ったらしくなりましたが、ともかく外国語をちょっぴりでもやっておくと大変役に立ちます。読者の皆様も、よろしければぜひ興味のある言葉を勉強してください。