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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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沢田教一の写真展に行ってきた

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28日(月)で終わった写真展の話を書くのもなんですが、沢田教一の写真展が、日本橋高島屋でありましたので、27日(日)に見に行きました。

入場料は800円ですが、クリックしてクーポンとなる窓口でサイトを見せるだけで100円引きです。ありがたいことです。しかしこういったことにアクセスするのが苦手な老人などにとってはちょっとどうかという気もします。

沢田教一は、1936年に青森県で生まれました。高校が、寺山修司の同級生です。

大学入試がうまくいかず三沢の写真店に勤めた彼は、カメラマンとしての腕を磨き、様々な被写体を撮っていきます。61念に上京、UPI通信に職を得て、65年にベトナムへ行きます。これは会社が彼を派遣したというより、無理やり行った(休暇を取って、事後的に会社に認めさせた模様)ものでしたが、彼は危険な戦場で様々な写真を撮り、そしてピューリッツアー賞を取る有名な写真を撮ります。これは皆さまも見たことがあるのでは。

今回は、この写真に写った女性も日本に来たとのこと。

真ん中が沢田の奥さん、左の赤い服を着た女性が、上の写真に写っている当時2歳だったというグエン・ティ・フエさんです。

それで写真展は、沢田が無名時代に奥さんを撮った写真、青森の様子、恐山の様子を撮ったもの、三沢基地の米軍兵、将校やその家族を写したものなどが最初に展示されています。50年代はまだカラー写真が非常に高価だったはずですが、それでも彼の撮影した写真が残っているのは、彼が写真店にいたことや、米軍基地との関係で貴重なカラーフィルムなどを入手しやすい立場だったということもあるのかもですが、ともかく非常に貴重です。

それでやはり、ベトナムでの写真が一番興味深いわけですが、戦場の写真ばかりでなく、街の人々、子どもたちの写真なども印象深いものがありました。彼は、子どもの面倒を見る子どもの姿に強い関心があったようです。なお沢田に子どもはいません。以下、数枚写真をご紹介。

最後の写真は戦場での写真ですから趣旨はちがいますが、なかなかいい写真です。もちろん比較の対象になりませんが、私も海外で子どもの写真をよくとりますので、沢田がこのような写真を撮ろうとした気持ちはなんとなくわかります。

香港支局駐在になったものの、ふたたびベトナムに戻った彼は、70年、取材中のカンボジアで当地のUPI支局長とともに殺されます。34歳でした。彼は非常に慎重な性格でしたが、この日はなぜか危険な時間に取材に出かけ、そして亡くなったわけです。

戦場の写真は白黒ばかりですが、ベトナム戦争という非常に自由に取材のできた戦争(展覧会で石川文洋もコメントしてましたが、朝鮮戦争までは従軍している国に不都合な取材はできなかったし、ベトナム戦争以降は再び戦争取材は規制が厳しくなっています)を彼はきわめて自由闊達に取材しました。実は彼はフリーメイソンのメンバーでして、どうもその方面からも、取材になる戦場についての情報が来ていたという話もあります。逆に彼はそのあたり大変抜け目のない人間だったのでしょう。

それで最後に沢田夫人のサタさんが、2016年にベトナムを訪れた時の映像があり、彼女は大要「この平和で発展したベトナムを、沢田に見せたかった」と述べていました。私もベトナムを1度だけ旅行したことがありますが、私の行ったのはホーチミン(旧サイゴン)だけですが、大変立派な街です。戦争に明け暮れた時代のベトナムしか知らない彼が、現在のベトナムを知ったらどう考えるか。興味深いところです。

それにしても、戦場の写真が迫力があるのは当然ですが、子どもたちの写真や普通の市民の写真もいいですね。また東京オリンピックの閉会式の写真もありました。次なる東京オリンピックを沢田が取材することも、彼が存命ならあり得たわけです。

なお今回の写真展は、次の書籍に収録されている写真と共通のようです。この展覧会には、出版元の山川出版社も協力しています。山川って歴史の本以外にもこのような本も出すんですね。いや、これも歴史の本という位置づけ?

戦場カメラマン沢田教一の眼―青森・ベトナム・カンボジア1955-1970

私もこの本を買おうかな? なお本日の写真は、最初の写真以外は高島屋、朝日新聞、産経新聞からいただいていることをご了解ください。


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