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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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金をためられる人、財産を残せる人は、けっきょく金にシビアなのだと思う

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前にこのブログで、私の母方の祖父の悲喜劇の話を書いたことがあります。

つまり家を処分したことによりもらえることになった金を、たぶん勘違いあるいは理解不足だったせいで、その話を自分の妹にしてしまい、それで妹たちにも分配されて祖父にはじゅうぶんに行き渡らなかったという話です。

当方は孫ですが、別に直接の当事者ではないのでその話を聞いても苦笑するだけでしたが、祖母が私の母に「その金であんたへの借金を返したい」と言っていたとかで(こんな話、あんまりあてにはならないと思いますが、それはともかく)、母は大変失望していました。

それで過日母と話をしていた際、私が(よせばいいものを)大要「こんなことがあったよな」というと、母は言いました。「2人とも金銭的に余裕があるんだから、そんなことにこだわらなくても」

私はやはり苦笑して言いました。

「母さん、それは違うよ。金にシビアだから、裕福なんだよ」

ちなみに私の大叔母っていうんですかね? 祖父の2人の妹は、1人は医者の母親、1人は夫と子どもが銀行員で、たしかにそんなに金には困っていない家庭です。

でも世の中、芸能人(小室哲哉とかホイットニー・ヒューストンとか)やスポーツ選手(清原和博も、あんまり金に余裕があるわけではないらしい)などでも莫大な金を食われたのか散財かはともかくなくしちゃった人っているじゃないですか。つまりは、金なんて場合によっては簡単になくしちゃうものです。

世の中本でもテレビでもネットでも、いろいろ家計の節約、金のため方、運用の仕方、教育費、老後の問題などいろいろなやり方や心構え、今後の見通しなどについて解説をしています。それらに意味がないわけではもちろんないし、その人にあてはまるものなら大変役立つのでしょうが、最終的には金についてシビアかどうかでしょうね。けちということとも重なりますが、つまりは金の使い道についてきっちりしているかどうかでしょう。自分は金を残すということを前提にして金銭についてシビアであるかです。

かなり極端な事例をご紹介します。私の家族の知人の女性の話です。

ある未亡人(亡夫は医者だったとのこと。本人は確か専業主婦。子どもなし)がそれなりの遺産をもらったのですが、仲間と とある飲食店に寄った際、店に歌手崩れ(?)みたいな男性がいて、彼女の友人がその歌手崩れにこんなことを言ったのだそうです(まーったく世の中、こういう他人に迷惑をかける人間がいるのです)。

「この方最近夫を亡くしていま遺産をもらって一人暮らしなのよ」

で、男のほうがこいつはカモだと思ったか、女の人が本気でこの男を気に入ったのかは定かでありませんが(たぶん両方でしょう)、女の人はずぶずぶにこの男に入れ込んでしまったわけです。

それで女の人はこの男に金を貢いで、しまいには「養子にする」みたいなことまで言ったとか(実現はしなかったみたいですが)。

そしてこの男が「店を出す」みたいな計画を立てて、それに膨大な資金援助をしたというのです。

で・・・以下だいたいご想像がつくでしょうけど、その店はうまくいかないで、ほとんど金を食われちゃったということです。さらに、時期は定かでないのですが、その男は、女性の知人に資産家の未亡人がいるという話を聞いて、その女性を自分に紹介してほしいとまで言ったそうです。それで女の人も適当に断ればいいのに、よせばいいものをその知人に連絡しちゃったそうなのです。もちろん資産家の女性は断って、すぐ引越ししちゃったとか(苦笑)。

なおこれも時期は定かでありませんが、途中でこの女性は、男について「訴えてやる!」と息巻いたそうですが(弁済能力はないでしょうから勝訴してもどうしようもないでしょう)、けっきょくやっぱり男と縁が切れなかったようです。

それで現在その女性は脳疾患で亡くなったか意識不明かは分かりませんが、そのどちらかとか。けっきょく生活保護を受給しながら最低限の世話を甥だか誰かがしている(していた?)とのことです。また男のほうは、他の女性と結婚して子どももつくったといいます。

以上間接的に聞いた話ですので、事実かどうか怪しい部分が多いのかもですが、それは確認不能ですので議論はしないとして、この女性は「あまりに馬鹿すぎる」「いくらなんでも(いろんな意味で)ひどすぎる」としかいいようがないですね。私もこの女性に同情はできません。

つまりこの女性は、いくらだって引き返せるチャンスがあったわけです。「いくらなんでも」と考えた瞬間が多々あったはず。が、けっきょくこの女性は、男の気を引くために金銭を使い続けたわけで、その気持ちを私も全く理解しないわけではないですが、だからといってほかに彼女を助けてくれる人間が誰もいないのですから、ここはご当人しか自分を助けられないわけです。彼女に直接注意のできる人間がそんなにたくさんいたわけでもないのかもですが、たぶん注意をしてくれる人間はみな注意したわけで、これ以上は法的に権利を制限するというレベルの話になる。そこまでは親夫子ども以外は難しいでしょう。そしてこのトラブルが起きた時は、それができる関係者はいなかったわけです。

本気でこの男を気に入ったのかもですが、それはもうあらゆる苦しみを覚悟の上で手を切るしかありませんよね。もっともこの男のためなら全財産を使っていい、あとは生活保護で暮らせばいい、とまで考えたのならもうどうしようもないですが、たぶんそこまでは考えなかったでしょうしね(苦笑、他人事だから苦笑ですむのです)。

それで、この男を紹介されそうになった資産家の女性は、その後引越しまでして連絡を絶ったそうです。それでこの女性は、いまだに資産を持っています。引越しまでする必要があったかどうかはともかく、そこまでする人もいるということです。

で、これいろいろな側面はあるでしょうが、最終的には金銭にシビアかどうかですよね。けっきょく自分の持っている金、今後必要な分の金を食う形で男に貢いだのだから、このような事態はなるべくしてなったということです。彼女の場合、金だけの話でなく、ありとあらゆる部分がだめな人だったのでしょうが、極端な話ほかはだめでも金銭にシビアなら世の中なんとかなります。どんだけ嫌われても、うらまれて殺されるとか犯罪に巻き込まれるみたいな事態にならなければ、金さえあればそれでいいわけです。

われながらどうかと思うところもあるのですが、こういうことで損をするのは自分です。前に某ゴム会社の社員が、女に貢ぐために莫大な金を横領して逮捕・(当然)実刑になりましたが(こちらの記事でも取り上げました)、女のほうは罪には問われていません(笑、他人事だから笑えるのです)。女に貢いだその金だって、たぶんそれなりの額が女からどっかの男か誰かに渡っていたんでしょう(笑、他人事だから笑います)。

で、この女がどうやって金をたかったかというと、自分が不治の病なのでそれでお金をほしいとか言ってきたそうです。それがエスカレートしたと。この横領社員だって、この女の話を聞いて「変だ」とは必ず考えたはずです。そもそも高額医療制度もあるのだから、そんなに極端な負担があるわけがない。だいたい金を渡してしばらくしたら女と直接会うこともできなくなったらしいですから、たぶんたいていの人間は、「だまされた」「ばかばかしい」と考えて女と縁を切るでしょう。が、この横領社員は、最後の最後まで女に貢ぎ続けました。あんたどこまで馬鹿なんだよという気はします。

でも・・・たぶんその人にとっての最後の一線(たとえば弁償できる額を超えた時)を過ぎた後は、もう完全に彼は、いろいろな意味で「どうだっていい」という心境になったんでしょうね。女にだまされていようが、自分が刑務所に行こうが、他人がどれだけ迷惑しようが、もう仕方ないと。上の女性がそこまでの心境になったかはわかりませんが、人間「どうにでもなれ」となったらもうどうしようもありません。例えば最後の金を横領してどっかに消えるということだって可能なわけですが、もうそんなことをする気力もなかったのでしょう。

この男は裁判で懲役7年の実刑判決を受けています。服役理由の犯罪と顔、雰囲気などから判断して、だいぶ刑務所でもいじめられているんじゃないんですかね。まだ仮出所はしていないと思いますが、どうなのか。それは不徳のいたすところというやつでしょうが、いずれにせよろくなことではありません。

上の女性とこの横領社員とではもちろん事情がちがいますが、全財産を失うとか逮捕・起訴・刑務所なんて人生台無しにしてしまうこともあるわけです。これもやっぱり最終的には金についてシビアかどうかだと思います。私の考えでは、恋愛感情と金は人間を狂わせると思いますが、この2人は恋愛感情のほうを金より優先させたわけです。それ自体は悪いとはいいませんが、全財産を失ったり刑務所に入ったり実名をさらされて世間から馬鹿にされたりするほどの価値はないでしょう。それもどうかです。

いずれにせよ金にシビアな人間が世の中得をするのです。それは考えたほうがいいと思います。


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