だいぶ以前の朝日新聞で、ちょっと聞き捨てならない記事を読みました。
>台湾はもっとステキ? 「ブルータス」表紙、現地で議論
台北=西本秀2017年7月21日10時13分
台湾特集を組んだ日本の雑誌「BRUTUS(ブルータス)」(マガジンハウス)が表紙に掲載した写真が台湾で議論を呼んでいる。下町の食堂街の昔ながらの風景が選ばれたことに、ネット上で「これが台湾を代表するの?」と論争に。「もっとステキな台湾がある」と、お気に入りの風景写真を雑誌風に加工し、SNSに投稿する動きが広がっている。
15日に発売された最新号のテーマは「台湾で見る、買う、食べる、101のこと」。表紙には南部・台南市の食堂街に「焼肉飯」「牛肉湯」など原色の看板が並び、バイクが路地を行き交う風景が掲載された。
「恥ずかしい」「看板が醜い」。ネット上では当初は否定的な反応が注目を浴びる一方、「表紙を通じて日本の人々がその地域のにぎわいに触れることができる」と評価する学者も。現地・台南の頼清徳市長は地元メディアに「(観光地の高層ビル)台北101ビルだけが台湾ではない。台湾全体に自信を持つべきだ」と語った。
ネット上には、誰もが好きな写真を雑誌の表紙風に加工できるソフトも登場。人々は、にぎわう夜市や名物の小籠包(しょうろんぽう)、大自然の写真を「台湾で最も美しい風景」などと題してSNSに投稿している。その数は数千枚を超す。加工写真の題名は、元の雑誌をもじって「BPUTUS(ブプータス)」だ。
海を越えた台湾で広がる反響に、ブルータスの西田善太編集長は「たった一つの特集で、これほどの数の表紙が生まれた号は雑誌の世界でも前代未聞。とてもうれしい」と話している。(台北=西本秀)
>「恥ずかしい」「看板が醜い」。
ええー! ですよね。
「このような光景は、好きでない」というような反応なら、それは他人がどうこう言う話ではありませんが、
>「恥ずかしい」
というのはちょっとねえ。おいおい、それは皆さん方のたいへんな財産じゃないのと思いますね。
私としては台南市長氏の
>(観光地の高層ビル)台北101ビルだけが台湾ではない。台湾全体に自信を持つべきだ
という言葉を当然支持します。ニューヨークやドバイのような高層ビルばっかの街を、私も嫌いとはいいませんが、ていいますかドバイは行っていないので論じられませんが、わざわざ台湾で、高層ビル林立の街を見たって面白くありません。時代の関係で、高層ビルが建てられるのは当然ですが、台湾の魅力はやっぱり昔ながらの建物や、アジア独特の息吹みたいなところにある。ソウルも高層ビルの多い、東京同様つるっとした街になっていますが、それだけではソウルに何の魅力もありません。やはり昔ながらの市場や街並み、新しいビルができながらも息づく街の呼吸みたいなものが魅力なわけです。当然でしょう。
たとえば京都だって、まあ高層ビルとかがだいぶ多くなっていますけど、でもやっぱりミニ東京である京都に魅力はありません。外国人だって日本人だって、来てはくれません。日本人はほんと京都が大好きだと思いますが(成人の10%が京都が大好きだとしても、これだけで1000万人くらいの人が京都大好きなわけです。たぶん実数はもっと多いでしょう)、それはやはりこの「ブルータス」の表紙に出てくる台湾が好きな感性と重なるんじゃないんですかね。こういってはなんですが、この「ブルータス」の表紙を見てなんとも思わない人は、やはり台湾というところを魅力的な旅行先と考えないんじゃないんですかね。「ブルータス」の編集部ほかスタッフは、もちろん雑誌を売るためにこの表紙を選んだわけだし、そしてやはり読者にぜひ台湾に興味を持ってもらいたいと考えて、この表紙にしたわけです。祭りとか、ハレの場の写真を使うのは、たしかに地元民からすれば「どうもなあ」と思う部分があることは私も理解できないでもないですが、でもこれらの写真を、あるいは「台湾の遅れた部分」みたいな認識もあるのかもですが、恥ずかしがるとか嫌がるというのは、私としてはしないでいただきたいなと思います。まさに台南市長氏のおっしゃるように
>台湾全体に自信を持つべきだ
ということです。
ところで前にも書きましたように友人Nと秋に台湾に行く予定なので、その時は台湾の息吹を写真に撮ってきます。お楽しみに。