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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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年末年始の旅で持っていく予定の本

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年末年始に恒例の海外旅行に行きますが、本来行きたかったキューバが予算超過で行けなかったので、今回は中国経由でタイ(バンコク、もしかしたらパタヤ)とカンボジアのシェムリアップに行きます。シェムリアップがメインです。

それでかつては旅行の際に、海外文学やチョムスキーの本、哲学書、数学の本など、普段読む気のしない本、難しい本を持っていって読んだものですが、昨今スマートフォンやタブレットを持っていくようになり自動的にそちらを閲覧するようになったので、あまり本をもっていかなくなり、読まなくなりました。が、今回はちょっと本を持っていこうと考えます。

どのような本を持っていくかというと、フランス文学づくし、読んだことのない本を持っていくことにして、下のような本を持っていくことにしました。順番は読もうと考える順番です。もちろんすべて日本語訳で読みます。

モーリアック愛の砂漠

サルトル水いらず

カミュペスト

バルザックゴリオ爺さん

ジッド贋金つくり

選択の基準を申し上げると、桑原武夫著「文学入門」のなかで桑原先生が選定した「世界文学50選」に選ばれた本と、ノーベル文学賞受賞者の著作を選ぶことにしました。バルザックとジッドのは、桑原本で推薦された本だし、あとバルザック以外はノーベル文学賞受賞者です。ただしサルトルは受賞を拒否しています。なおジッドは、フランスにおけるプロテスタント(新教)の作家の権化という意味合いもあります。モーリアックがカトリックの人だからです。遠藤周作高橋たか子(高橋和巳の奥さん)のような深くカトリックに帰依している人が彼の翻訳をしているのもそういうことです。当方キリスト教には通り一遍の知識しかありませんのでよくわかりませんが。なお前に記事にした故・アンヌ・ヴィアゼムスキーは、モーリアックの孫です。

私の勝手な予想ですと、モーリアックの本は読める。サルトルもたぶん読める。カミュは読めるかどうか分からない。バルザックは難しい。ジッドはたぶん読めない、といったところで、全部読むのは難しいと思いますが、貧乏性なので多く持っていないと安心できないので持っていきます。まーったくこういうのは三つ子の魂百までというやつで、子どものころから旅行の際、親に本はそんなに持っていくなとよく注意をされたものです。

サルトルなら「嘔吐」、カミュなら「異邦人」が初心者が読む本でしょうが、これらは昔あるいは最近読んだので(「異邦人」は原書でも読み通しましたが、「嘔吐」はかなりいいかげんな読み方なので、「読んだ」といえるか怪しいところはあります)、今回は別の本を持って行きます。

それで前にも書きましたけど、桑原本で推薦されている本を取り上げれば、「マノン・レスコー」も「赤と黒」も「ボヴァリー夫人」も「女の一生」も「武器よさらば」も「怒りの葡萄」も、私はだいたい旅先、飛行機や電車の中などで読んでいます。そういえば、ヘミングウェイスタインベックも、ノーベル文学賞受賞者ですね。

当方ボブ・ディランあたりはわりとよく聴きますが、基本的に小説にはきわめて暗い人間です。が、来年はレッシングル・クレジオイシグロあたりの21世紀の受賞者の小説も読んでみようかなと思います。フランス語は大変ですが、英語の小説は原文で読んでみても面白そうです。いやもちろん20世紀の受賞者であるフォークナーフォークナーやゴーディマあたりもいいですが。私はゴーディマってアフリカーンス語で執筆していたのだと考えていたのですが、彼女は英語での執筆ですね。

なに? 川端大江はどうしたって? 来年はそれも少しは読まなければな。上でとりあげた桑原先生ご推奨の世界小説50選(日本語の小説はなし)も、数えたら最後まで読んだのは1/3くらいですので、来年は計画的に読もうかと思います。

ついで:桑原武夫著「文学入門」より。引用はこちらから。

>世界近代小説50選

イタリー
1 ボッカチオ『デカメロン』(1350-53)
スペイン
2 セルバンテス『ドン・キホーテ』(1605)
イギリス
3 デフォオ『ロビンソン漂流記』(1719)
4 スウィフト『ガリヴァー旅行記』(1726)
5 フィールディング『トム・ジョウンズ』(1749)
6 ジェーン・オースティン『高慢と偏見』(1813)
7 スコット『アイヴァンホー』(1820)
8 エミリ・ブロンデ『嵐が丘』(1847)
9 ディケンズ『デイヴィド・コパフィールド』(1849)
10 スティーブンスン『宝島』(1883)
11 トマス・ハーディ『テス』(1891)
12 サマセット・モーム『人間の絆』(1916)
フランス
13 ラファイエット夫人『クレーヴの奥方』(1678)
14 プレヴオ『マノン・レスコー』(1731)
15 ルソー『告白』(1770)
16 スタンダール『赤と黒』(1830)
17 パルザック『従妹ベット』(1848)
18 フロベール『ボヴァリー夫人』(1857)
19 ユゴー『レ・ミゼラブル』(1862)
20 モーパッサン『女の一生』(1883)
21 ゾラ『ジェルミナール』(1885)
22 ロラン『ジャン・クリストフ』(1904-12)
23 マルタン・デュ・ガール『チボー家の人々』(1922-39)
24 ジイド『贋金つくり』(1926)
25 マルロオ『人間の条件』(1933)
ドイツ
26 ゲーテ『若きウェルテルの悩み』(1774)
27 ノヴァーリス『青い花』(1802)
28 ホフマン『黄金宝壺』(1813)
29 ケラー『緑のハインリヒ』(1854-55)
30 ニーチェ『ツアラトストラかく語りき』(1910)
31 リルケ『マルテの手記』(1910)
32 トオマス・マン『魔の山』(1924)
スカンヂナヴィア
33 ヤコブセン『死と愛』(ニイルス・リイネ)(1880)
34 ビョルンソン『アルネ』(1858-59)
ロシア
35 プーシキン『大尉の娘』(1836)
36 レールモントフ『現代の英雄』(1839-40)
37 ゴーゴリ『死せる魂』(1842-55)
38 ツルゲーネフ『父と子』(1862)
39 ドストエーフスキイ『罪と罰』(1866)
40 トルストイ『アンナ・カレーニナ』(1875-77)
41 ゴーリキー『母』(1907)
42 ショーロホフ『静かなドン』(1906-40)
アメリカ
43 ポオ短編小説『黒猫』『モルグ街の殺人事件・盗まれた手紙他』(1838-45)
44 ホーソン『緋文字』(1850)
45 メルヴィル『白鯨』(1851)
46 マーク・トウェーン『ハックルベリィフィンの冒険』(1883)
47 ミッチェル『風と共に去りぬ』(1925-29)
48 ヘミングウェイ『武器よさらば』(1929)
49 ジョン・スタインベック『怒りのぶどう』(1939)
中国
50 魯迅『阿Q正伝・狂人日記他』(1921)

フランス文学が多いんじゃないのとか、やはり「異邦人」は入れるべきじゃんとか、「ユリシーズ」は入れないとまずいんじゃないのとかいろいろ考えますが、1950年当時の氏の選択というのは、時代の証言という意味で面白いですね。


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